展示会

ロボットのある日常はもうすぐ!Japan Robot Week 2014レポート

東京ビッグサイトで開催されたサービスロボット展示会「Japan Robot Week 2014」。ロボットが拓く新時代というテーマのもと、介護・福祉・医療・インフラメンテナンスに関わるロボットや加工、デバイス、最先端研究などが集まった!

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社会人になってもロボコンに出場できる!

かわさきロボット競技会をご存じだろうか。脚・腕構造を持つラジコン型ロボットによる異種格闘技戦で、21年の歴史がある。そのロボコンに会社ぐるみで参加している企業がある。神奈川県川崎市に本社を置く、株式会社日の出製作所。本業は金属加工で、従業員40名、平均年齢31歳の中小企業だ。7年前にスポンサーの打診をうけて社員が大会を見学に行ったところ、「自分たちでも出場したい!」と社内で話題になり、参戦することになったそうだ。「参加を重ねるうちに、かわロボ出場者から『日の出に入れば、ロボコンが続けられる!』ということで入社してくれる若者が増えたんです」(株式会社日の出製作所 専務取締役 岩さん)。

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現在では、ROBO.kitというロボットキットを作り、これを使用した「ものづくりセミナー」を開催している。このキットを製作することを通し、設計・製図・機械加工・電子回路・電子工作・組立などものづくりの基本を習得できる。脚機構が特にカッコイイ!

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さらに、この会社では、女性技術者の育成にも力を入れている。

製造業の基盤設備の習得のためにロボットストラップを新人研修で作っており、これは、2014年度の「神奈川なでしこブランド」にも認定された。

今年の「かわロボ」には、6チームが参加したが、決勝トーナメントに残ったのは1チームだけだったとか。圧倒的に学生の方が強いそうだ。「操縦練習がひたすらできるのは学生の強みですよね。当社も負けずに挑戦しますよ」(岩さん)。

 

株式会社日の出製作所

http://www.hinode-ss.jp/

 

転落を事前に察知せよ!Raspberry Piを使った見守りシステム

Japan Robot Week 2014では大学、大学院の研究室が先端研究を紹介しているのも特徴だ。そのなかから、Raspberry Piを使った医療センサロボットを取り上げよう。

病棟内や在宅介護の現場で、認知症患者のベッドからの転倒・転落事故が問題となっていて、いろいろな防止策が取られている。その中でも、患者に負担をかけない「設置・調整・操作」をこだわったのが、こちらのシステム。

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現在マット型のセンサや赤外線のセンサでは、転落前にどうしても間に合わない問題がある。鳴った時にはベッドから出てしまった後なので、そこから駆けつけても患者さんが歩き出し、ときには転んでいる場合がある。そのワンステップ手前のタイミングをナースステーションへ知らせるのが本システムだ。

本体はワンボードマイコンのRaspberry Piを利用している。カメラから得られた情報を元に、パターン認識の手法である、HLAC(高次局所自己相関特徴アルゴリズム)で特徴量を計算し、SVM(サポートベクターマシン:ニューロンモデルとして最も簡単なモデルの改良による学習を用いた認識)を用いて分析している。これにより患者さんのベッドでの状態が『安全』なのか『危険』なのかを判断している。 病院内の予備実験では『安全・危険』の識別率は、約94%と高い結果を残している。

筐体は、3Dプリンタで作成し、アルゴリズムも今後はオープンソースとして公開していきたいという。「少しでも事故を減らせたら」という研究者の熱い想いが伝わってくる。今後の実用化を期待したい。

 

奈良先端科学技術大学院大学 情報科学研究科ロボティクス研究室

http://robotics.naist.jp/

 

 

家族の一員として迎えられるのも夢じゃない!会話を楽しむコミュニケーションロボット

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パーツ付き組み立てロボットマガジンとして大ヒット、デアゴスティーニの「週刊ロビ」。

ロビの大きな魅力である会話機能にフォーカスしたのがRobiジュニアだ。今回、2015年1月24日発売にさきがけ、会場に愛らしい姿を見せてくれた。

Robiの幼少期をイメージしており、560グラムととても軽く、「行ってきます」と声をかけると「早く帰ってきてね!」と応えてくれる。子ども向けだけではなく、家族の一員としてのコミュニケーションロボットは、来年には珍しくないものになっているかも!

 

株式会社タカラトミー

http://www.takaratomy.co.jp/

 

ルンバのコマンドをハックせよ!(ただし研究用です)

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ルンバには隠れたコネクタがある。ここにケーブルをつなぐと、シリアル通信ができる。さらにルンバの各センサの情報を引き抜くことも可能になるという。モビリティ機能を研究現場へ提供したのが、アイロボットルンバ “ロボット開発応援プロジェクト”だ。

このコネクタを利用することにより、各タイヤへ指示が出せて、完全なルンバの制御ができる。制御用のプロトコルもアイロボットが提供しており、インターネット上で公開している。モビリティ部分はルンバで動かし、それより上位のロボット部分のアプリケーション開発を進めてほしいという会社の想いがある。

研究が目的のため、販売はロボット研究機関やそれに従事している方が対象となっているが、2台で70,000円(税抜き)は圧倒的に安価だ。Webサイトではロボット開発コミュニティも公開されているので、こちらもチェックしたい。

 

アイロボットルンバ “ロボット開発応援プロジェクト”

http://science.irobot-jp.com/

 

 

人間との協働できるロボット、NEXTAGEがなんとカフェのバリスタに!

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NEXTAGEは、双腕ロボットとして2013年グッドデザイン賞を受賞しているロボット界のイケメンくん。視線の置き方や所作がとても人間らしく、今後は工場の外でも活躍が期待されている。

このロボットは、設備というよりはパートナーという立場で、人との共存型のコラボレーションロボットだ。全軸80ワット以下、安全柵が不要のロボットで、他の産業用ロボットとは一線を画している。既に100台以上が導入されており、人間と一緒に働いているという。NEXTAGE単独で介護や福祉の現場に貢献するには、もうちょっと先になりそうだが、サービス分野でバックヤード作業での活用が考えられる。例えば、ロボットがカフェのバリスタや料理人の役目を務めるというデモをすることにより、ニーズを喚起しようと考えたそうだ。

3日間、デモンストレーションでは、常に黒山の人だかりで注目を集めた。人間は、作業している方向へ身体や視線が向いていないと、不安感や違和感を感じてしまう。そんな感情にも配慮してプログラミングされているのも特徴だ。コンビニなどで、人間とロボットが一緒に接客をするのも、夢物語ではないのだ。

 

川田工業株式会社

http://nextage.kawada.jp/

 

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今回の展示会で登場したロボットたちは、活躍分野は違うが、私たちの生活を豊かにする仲間であること実感させてくれた。ロボットがある日常はもうすぐ!

 

Japan Robot Week 2014
2014年10月15日〜17日 東京ビッグサイト
http://www.nikkan.co.jp/eve/s-robot/

 

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