NHK学生ロボコン2017 / ロボコン

NHK学生ロボコン2017 振り返りと記事まとめ

2017年6月11日に大田区総合体育館で開催された「NHK学生ロボコン2017」は、優勝校の東京工業大学(チーム名:Maquinista)、準優勝校の東京大学(チーム名:RoboTech)がABUロボコン(ABUアジア・太平洋ロボットコンテスト)への出場権を獲得し、幕を下ろした。

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ABUへの気合い

関係者全員が明確にABUロボコンを見据えていたのが印象的だった。今年は8年ぶりのホーム開催。ホスト国は参加校枠が2つになるため、準決勝が事実上の出場権争奪戦だ。準決勝戦の熱はいつにも増して高かった。目の前で国際大会を逃した敗退校の悔しさは、いままでにない種類のものであっただろう。

主催者側も気合いが入っており、2015年にNHK放送技術研究所(NHK技研)が発表した「多視点ロボットカメラシステム」が本大会で初めて実装されていた。16台のロボットカメラを協調制御し、飛翔するディスクの周囲を回りこむように記録して映画のような映像づくりを可能にしたシステムとのこと。明らかにABUロボコン、そして3年後の東京オリンピックを見据えての運用だ。

このシステムをつかった映像は、7月17日の地上波放送で初お披露目となる。「現代人のテレビ離れ」を吹き飛ばすような、かっこいい映像が期待できる。これはぜひ観てみたい。

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「チーム」の勝負強さが試された

今回は明確に、ロボットの上半身とチーム戦略に重きをおいたルール設定がされていた。昨年が足まわりの速さや位置取り制御の妙技をメインにした、ストイックな「かけっこ勝負」だったのと対照的だ。対戦相手ありきの競技であり、本番になってみないと分からないことも多かったように思う。予選の時点から高度な心理戦がみられ、人馬一体の熱いバトルが多かった。ABU出場を決めた2校は、マシンのアップデートはもちろん、対戦相手の戦略を見極めて対抗策を練る必要もあるだろう。

優勝を決めた東京工業大学は、ここ一番の瞬間で、チームメンバーの勝負強さが際立っていたように思う。優勝未経験校とは思えない冷静さで決めた決勝戦のAPPARE!は、まさに天晴れの一言だった。

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では、東工大のマシンが最強で、他チームに勝ち目はなかったのかというと、記者にはそうとは思えない。本大会最速でAPPARE!(0分43秒)を達成した工学院大学は、同じ予選グループの大阪工業大学が予選2勝で優先的に決勝進出を決め、予選敗退となった。相手校の強みが発揮される前に試合を制するスピード感は、国際大会でも重要になるだろう。

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東工大を唯一破った東京工科大学は、東工大がスポットに乗せたディスクを撃ち落としてAPPARE!を防ぎつつ、ラスト5秒でシート機構の主砲を発射。予選で逆転勝利を演出している。APPARE!未達成のため予選敗退となったが、優れたディフェンス能力と会場を夢中にさせた試合展開を評価され、特別賞が贈られた。

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工科大と同じく、最強の常勝チームを破ったという点で注目したいのが、初出場の首都大学東京だ。名門チームの東京大学を初参加・初出場校が制したのは、ロボコニストにとっては大変興奮する番狂わせであった。残念ながら予選敗退となったが、来年の挑戦にも期待したい。

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東大はさすがの強さを発揮。「予選8位」が嘘だったかのように決勝トーナメントを駆け上がり、勝ち慣れたチームの凄みを見せてくれた。テストランや予選で弱点とみられた部分を、その後の調整時間内にしっかり直してきたのは、金沢工業大学と大阪工業大学も同様だ。決勝トーナメントでは、三重大学が精度の高さを活かして大工大の弱点をつく作戦を立てたが、大工大の調整力が一枚上手をとった。

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とくに決勝進出チームは、いずれも飛び抜けたマシンポテンシャルを持っていた。組み合わせが変われば、上位8校はどこが優勝しても不思議はなかったように思う。個人的には、東京農工大学のかさね投げと京都工芸繊維大学の緻密なシュートの対決や、豊橋技術科学大学と大阪大学の「かさね投げ対決」を観てみたかった。

予選敗退校のなかには、マシンの強みを活かしきれないまま悔しい負けとなったチームもあったと思われる。ただ、試合で対戦相手よりも早く動き、勝負に勝つ「だけ」が全てではないというのも、ロボコンの面白さだ。長崎総合科学大学や仙台高専名取の射出は、テーマの「投扇興」そのものの優雅さを魅せてくれた。

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新潟大学と九州大学は、「アームで掴んでディスクを投げる」という最もロボットらしいモーションを採用し、健闘していた。目的を達成するための発想力と、発想を形にする技術力。そして作られたロボットの強さ・美しさ・かっこよさの全てに敬意を表したい。

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勝利の決め手とこれから

準決勝レポートで少し触れたが、大きく5つに分類された射出機構のうち、「決定的に強い仕組み」がないという状況は、ABUロボコンにおいても続くと予想される。予選の徳島文理大学と信州大学のように、同タイプのマシンが技術力の真っ向勝負をすることもあれば、新潟大学と大阪大学の試合のように、全く違う機構のマシンが戦略的に競い合うこともあるだろう。自チームのマシンのアップデートとともに、対戦相手の情報も集めたい。

NHK学生ロボコン2017 デバプラ記事まとめ

今回の速報記事まとめ。

▼NHK学生ロボコン2017 今年もデバプラが全力出すってよ
競技ルールと観戦ポイントのまとめ。

▼NHK学生ロボコン2017 テストラン速報
テストランの様子をデバプラ的視点でお届け!

▼NHK学生ロボコン2017:出場校紹介
テストランの中お忙しいところ、みなさんご協力ありがとうございました!

▼予選組み合わせ表:NHK学生ロボコン2017
予選リーグの組み合わせと勝敗一覧。

▼決勝トーナメント:NHK学生ロボコン2017
決勝トーナメントの組み合わせと勝敗一覧。

▼予選リーグ1巡目:NHK学生ロボコン2017
予選1順目。開幕早々、波乱の幕開け。

▼予選リーグ2巡目:NHK学生ロボコン2017
APPARE!最短タイムにおおいに会場が盛り上がった。

▼予選リーグ3巡目:NHK学生ロボコン2017
続々に決勝トーナメント進出校が決まりはじめた運命の3順目。

▼準々決勝:NHK学生ロボコン2017
1戦目から、予選1位の京都工芸繊維大学vs予選8位の東京大学の試合に会場ヒートアップ。

▼準決勝:NHK学生ロボコン2017
準々決勝はすべてAPPARE! 最早どのチームが決勝進出するか予測不可能な準決勝。

▼決勝!東京大学×東京工業大学:NHK学生ロボコン2017
歴史に残るであろう決勝戦。最高の試合だった。

▼NHK学生ロボコン2017写真集:前半
テストランから予選リーグまで。

▼NHK学生ロボコン2017写真集:後半
予選リーグから決勝トーナメントフィナーレまで。

 

地上派での放送は、7/17(月)午前9時30分~

そして、東京工業大学、東京大学が出場するABUロボコンは、8/27(日)開催

待ちに待った日本開催。世界中のロボコニストのため、デバプラ編集部はNHK学生ロボコンに引き続き、ABUも全力でレポートする予定だ。乞うご期待!

学生ロボコン2017 出場ロボット解剖計画
Device Plus 編集部

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