ロボコン / 高専ロボコン2016

高専ロボコン東海北陸交流会レポ〜まったりしっかりGood Vibration編

高専ロボコン東海北陸交流会集合写真

2017年3月19日。愛知県岡崎市にたどり着いたデバプラ編集部の目的は、オカザえもんと会うこと。

……ではなく、もちろん東海北陸ロボコン交流会! 発足2回めとなる「東陸」だ。「愛知県青年の家」に集まった高専ロボコニスト達は、ひっくるめて70名ほど。天気にもめぐまれ、そして何より幹事団・OB・参加者の尽力により、朗らかかつスムーズな進行で、終始Good Vibrationだった24時間をレポートする。

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ざっくりスケジュールは↓こんな感じ。

▼1日め
12:00集合 夕食まで各校プレゼン
〜22:00 OBによる発表
▼2日め
〜12:00 ブース展示・交流・ミニロボコン

それでは早速、各校プレゼンから見ていこう。

▼1日め 各校プレゼン

まずは幹事団からの挨拶ともろもろ説明。「楽しんでいってくださいね」と豊田高専の川上さんの挨拶に、幹事団から「開会の挨拶らしくない!」とツッコミが入る、アットホームな展開。

富山射水プレゼン

富山射水プレゼン

各校の持ち時間は20分程度。トップバッターは7人で参加の富山射水。2016年大会のAチームの説明を行った。アットホームな空気も、実際のロボットの話になると引き締まってくる印象。箱をリフトする機構に関して、OBから鋭い質問が飛ぶ。

岐阜プレゼン

岐阜プレゼン

Bチーム ノブちゃんズの説明。メンバーは「けものはいてものけものはいない」という個性的なフレンズだったようだ。「株式会社NOBUNAGA」による岐阜誕生のエピソードが資料のモチーフになっており、魅せることを考慮にいれた発表だった。また、ハイパワーのアクチュエータを使うことで起こる問題に対する具体的な工夫を挙げていた。

沼津プレゼン

沼津プレゼン

チームのマネジメントがテーマ。
組織構成や新歓システム、
Jotoo、Todoist、Trelloといったイマドキのプロダクティビティ・ツールを用いた工程管理、
アイデア出しと意思決定のためのポジショニングマップ等のフレームワーク、
……等々、今後の組織力が楽しみになる内容だった。

石川プレゼン

石川プレゼン

地区最北の石川から、一人で参加した角野さん。素晴らしい。同校ロボット研究部の紹介で、その部室の写真の整理整頓具合に感嘆のため息が漏れる。さらには大型のレーザー加工機や自動帯鋸盤などの充実した設備には、羨望のため息。

豊田プレゼン

豊田プレゼン

「大田舎帝国豊田市」の説明から。チームを取り巻く環境の変化や、使う技術の変遷など、高い視座が印象的だった。ラズパイ、Arduino、Edison、Mbedを比較した話、Elecrowでの基板制作の実際など、具体的技術的な内容も盛り込まれ、充実した内容。

デバプラ編集部プレゼン

デバプラ編集部プレゼン

僭越ながら、デバプラ編集部もお時間をいただいて、その活用方法についてご説明をさしあげた。#東陸ロボコンを見る限り、楽しんでいただいたようで……、何よりです。

豊田プレゼン その2

豊田プレゼン その2

休憩を挟み、豊田その2。C++の便利な使い方などの、マニアックなプログラミングTipsの発表。言語を使いこなすことに関して、楽しそうに語る姿が頼もしいと感じた記者。こうした多様な知識が、イノベーションの源泉になるかもしれない。

豊田プレゼン その3

豊田プレゼン その3

さらに豊田。ロボカップにも参加しているメンバーから、「モータドライバで遊んでみた」1年の報告を。その経験の要点を説明した。

鈴鹿プレゼン

鈴鹿プレゼン

「Mbedのすゝめ」。Git機能についての「動かなくなっても前のバージョンに戻せる」というシンプルな理解は、慌ただしい現場で有効かもしれない。OBから鋭い質問が飛ぶが、これも後輩や技術に対する思いの深さからゆえ、と記者は見た。

鈴鹿プレゼン その2

鈴鹿プレゼン その2

続けて、鈴鹿Bチーム「ジグラー」の敗因分析。原因を分解し、因子を深掘りし、その対策の方向性も導き出していた。この繰り返しが未来に繋がっていくに違いない、重要なテーマ。

富山本郷プレゼン

富山本郷プレゼン

対して、「好成績の原因分析」。これも重要なテーマだ。特別な技術力があったわけでもない、と自己分析した上で、アイデアというテーマへのアプローチを発表。その内容は、ビジネスマンにも通じる本質的なものと感じた。核にあるのは、「アイデア対決という面においてすべての高専は平等」という捉え方。これは名言。

鳥羽商船プレゼン

鳥羽商船プレゼン

同好会から「部」へ昇進した報告。参加者からは暖かい拍手。その活動の報告のほか、話題の「ロボコン30年お祝いロボット」のマシンも発表! トースト! 食べられる!

福井プレゼン

福井プレゼン

「最低限抑えておきたいチーム運営・設計法」というタイトルで、自らの反省点を踏まえて発表。「設計者とは、単に設計をする人ではなく、皆の意見や要望を形にする人」という理解は、ある意味で核心をついたものかもしれない。

▼OBプレゼンの部 濃い! 実践的!

夕食やお風呂タイムを挟みつつ、(主に)OBの発表へ。回路・制御担当と機械担当、部屋を別れ濃いめの内容に。

豊田Aチームの設計担当井木さんは、「自身が行った設計及び理想」というタイトルで、機械設計の実際を発表。自身が授業で苦労した点を解消した、オーディエンスにとてつもなく親切なプレゼンスタイル。
井木さんプレゼン

 

記者もしょっちゅうお会いする、本郷及び金工大OBの河原さんのテーマは「ROS」。念のためご説明しておけば、オープンソースのロボット開発ツール・ライブラリ。Robot Operating System。スーパークール。
河原さんプレゼン

 

豊田OBであり、そして豊田高専職員でもある近藤さんは、その経験を生かした「工作機械のねだり方」を発表。これは実践的。さらに、30万円の格安レーザー加工機は使えるのか、その精度はどのくらいか等々、やはり具体的実践的な内容だった。
近藤さんプレゼン

 

「本職」である中村さんによる「初心者にもわかるLinux講座」。その歴史、成り立ち等をおさらいした上で、ロボコンへの応用を解説。
中村さんプレゼン

 

鳥羽商船を卒業したばかりの岩崎さんは、その5年間の経験を総ざらい。
岩崎さんプレゼン

 

こちらも専門家による発表。鳥羽OB坂口さんは、設計の場で使われる体系的なトラブル分析手法「FMEA」を解説。懐中電灯の設計を例に、その考え方をわかりやすく伝えていた。
坂口さんプレゼン

 

鈴鹿OB谷島さんは、「大運動会でチームが壊滅した話」というなんともキャッチーなタイトル。大運動会とは、2005年の競技内容。この時の自身の経験を元に、「コミュニケーションは思った以上に取れていない」といった、チーム運営の核心部分に関わる知恵をまとめていた。
谷島さんプレゼン

 

永濱さんは、ITのプロ。「ITストラテジストの知識や経験について」ということで、企業運営の根幹の部分に関わる、IT戦略の現場の知恵を分けていただいた。前述の鈴鹿OB谷島さんも「聞きたかった!」内容。「高専ロボコンの顧客とは?」といった、ドラッカー的問いからスタートするマネジメントの手法のお話で、5年後、10年後にも廃れない知恵、と感じた記者。
永濱さんプレゼン

〜〜〜

以上で、1日目は終了。

おっさん記者の経験で言えば、この後は寝ろと言われてても眠れない、同好の士が喧々諤々する夜になると思うのだが……、これはオールドスクールらしい。みなさんきっちり正しく、施設の方々に迷惑をかけないように早寝したとか。

 

▼2日め ブース展示・交流・ミニロボコン

研修室から体育館へと場を移し、「実地」の2日めスタート。
ざっくり会場を一回りすると、こんな感じ

やはりみなさん、機械や回路の現物を目の前にすると、テンションが上がる模様。富山本郷や岐阜、鈴鹿などが実際のパーツを持ち込み展示しており、時間中ずっと人だかりができていた。

ブース展示・交流・ミニロボコン
ブース展示・交流・ミニロボコン
ブース展示・交流・ミニロボコン

一番下の写真は、鈴鹿の竿(橋)の中に仕込まれていたパーツ。改めてこうして見ると、一瞬で役割を終える小さなパーツでも、多くのアイデアと時間が注がれていることがわかる。こうした、(魂が宿る)小さな部分についても、じっくりと話せるのは交流会の魅力だろう。

ミニロボコン「Fetch & Throw」

会場真ん中のタイル張りは、いうまでもなくミニロボコンのフィールド。

「Fetch & Throw」ということで、フィールドに散らばったタマを取って、カゴに入れる競技。こちら↓のムービーがわかりやすいだろう。

シンプルな競技だが、戦略性は高い。玉は2種類、ピンポン球とカラーボールがあり、それぞれ1点と10点。カゴも2種類あり、高い方は特典が倍に。さらに、カゴにフタをするなどして防御戦術も可能。

目を引く活躍したのは、鳥羽商船のロボだろう。ピンポン球を次々と本体内の袋に吸い込み、その袋ごと高いカゴに入れてしまうというアイデア↓(ルール上問題なし)。どの試合も確実に得点を稼いだ。

ブース展示・交流・ミニロボコン

しかしフタを開けてみれば、優勝したのは富山射水。先ほどの動画でチラ見せした、「テープでカラーボールをくっつけて持ち上げ、これを高いカゴのヘリでこそげ落とす」というリスキーにも思えるアイデア。見事これを3戦中2回成功させ、高得点を稼いだ。

Fetch & Throw 結果

優勝:富山射水
準優勝:鳥羽商船
アイデア賞:岐阜
努力賞:沼津

そしてフィナーレへ

ミニロボコン表彰式の後は、幹事団からの会計報告や来年度役員の発表と決意表明などがあり、記事冒頭の集合写真でフィナーレ。

幹事団の皆さんは、おそらく大変なこともあったと想像するが、終始楽しそうに務めていた姿が印象的だった。OBの方々の陰日向に幹事団をサポートする姿は、毎度のこととは言えやはり感動的。そして全ての参加者の方々とお話しすることは叶わなかったが、おそらくそれぞれ何かを掴んだり、インスパイアされたり、モチベーションを高めたりしたに違いない、と思う。普段の活動では触れることができない部分に触れられる場だったと思う。

余談ながら、この交流会を取材させていただくと、編集部も毎回気持ちを新たにする。ぜひみなさん、これからもロボコンを応援させてください! ……という気持ち。ありがとうございました!

 

出場ロボット解剖計画
Device Plus 編集部

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