ツェナーダイオードを使ってみよう!

電圧を操作しよう!

ツェナーダイオードとは別名定電圧ダイオードと言い、目的の電圧を作る時に使用する電子部品です。(Wikipedia:ツェナーダイオード)

電子回路を作っていると、5Vでしか動かない電子部品があるのに12VのACアダプタしか持っていなかったり、回路の中にモジュール3.3V・マイコン5V・モーター12Vという感じで複数の電源が必要になる事があります。

それぞれの出力電圧に対応したACアダプタを用意するのも1つの手ですが、電子回路の中で目的の電圧を作ることが出来れば見た目やコスト的に非常にスマートな回路にする事ができます。

必要な電圧を作る方法はいくつかありますが、そのなかで最も一般的な方法がツェナーダイオードと呼ばれる電子部品を使う方法です。これは電圧を下げる降圧にしか使えませんが、ツェナーダイオードと抵抗1本だけで必要な電圧を自由に得る事ができるため非常に便利な電子部品です。

今回使用する表面実装用のツェナーダイオード ROHMのUDZV5.1B。表面実装用のツェナーダイオードのため非常に小さいが、手でもはんだ付けできるアキシャルリードタイプのツェナーダイオードもある。

ツェナーダイオードの基本的な使い方

ツェナーダイオードを使った基本回路。左の端子に電源を接続すると、右端子にツェナー電圧に応じた電圧を取ることが出来る。

ツェナーダイオードは抵抗1本と組み合わせることで目的の電圧を得る事が出来ます。ツェナーダイオードにはそれぞれ品名ごとにツェナー電圧という作り出せる電圧の値が決まっていて、データシート上でそれを確認することが出来ます。

ツェナーダイオードのデータシート。赤枠内のツェナー電圧Vzに注目すると、ツェナー電圧ごとにラインナップされていることがわかる。購入するときは欲しい電圧に対応した品名のツェナーダイオードを選ぼう(画像はROHMのツェナーダイオードのデータシート)

今回使用するツェナーダイオードには5Vを取り出すことができるROHMのUDZV5.1Bを使用しています。UDZVシリーズは5mA程度の電流を流すとツェナー電圧を取り出すことが出来ます。

ツェナー電圧には様々な種類がありRSコンポーネンツなどの電子部品通販サイトではツェナー電圧はもちろん、様々なパッケージサイズのツェナーダイオードが取り扱われています。

今回は抵抗と5Vのツェナーダイオードを使った検証回路を作ってみました。

ツェナーダイオードと抵抗で構成した基本回路。真ん中のピンから5Vの電圧を取り出すことができる。

電源をつないで0Vから10Vまで入力電圧を変化させて確認してみると、ツェナーダイオードの特性によってツェナー電圧である5Vを取り出せている様子がわかります。

作成したツェナー基本回路の動作確認。入力(下・白線)電圧を0Vから10Vまで変化させてオシロスコープで電圧の変化を測定している。出力(上・黄線)は5V以上上昇せず、ツェナー電圧を取り出せていることがわかる。

ツェナーダイオードで簡単な電源回路を作ってみよう!

先ほどの基本回路にトランジスタを追加した簡易的な電源回路。右側の出力端子にはツェナー電圧と同じ電圧が現れる

さて、先ほどの基本回路で取り出した5Vはそのまま使えるのかと言われればそうではありません、ツェナーダイオードと抵抗だけの基本回路だと大きな電力を扱うことはできないのです。
そこで、ツェナーダイオードで作り出した5Vをトランジスタに肩代わりさせることで、より大きな電力を流せるような回路に作り直してみます。トランジスタを追加する場合には

  1. ツェナーダイオードの動作が安定するように十分な電流を流す
  2. 電流に余裕を持ったトランジスタを選定する

この2点に注意します。特に、大電流が必要な場合は余裕をもった大容量のトランジスタにしないと回路が焼けてしまうので注意しましょう。

実際にユニバーサル基板上に回路を構成してみたところ。ツェナーダイオードの5V電圧をトランジスタが受け取ってより大きな電流を扱えるようにした

この回路はツェナーダイオードの電圧をトランジスタのエミッタフォロワでドライブすることで、ツェナー基本回路よりも大きな電流を流すことができます。もちろん、入力電圧を変化させても出力は常に一定の5Vになります。

トランジスタを追加して5V出力させている回路。オシロスコープで電圧の変化を測定している。基本回路の時と同じように入力電圧が変化しても出力は5V以上上昇しない。トランジスタでドライブしているため出力側に負荷をつなげても安定して5Vを出力できる。

なお実際に電源回路として大電流で使用する場合には帰還や補償・保護回路の追加などを行う必要があります。この回路は検証用の最小構成なので注意してください。

[応用] ツェナーダイオードの許容電力を大きくする方法

一般的なツェナーダイオードは許容電力1W以下のものがほとんどです。大半の用途ではこれくらいの許容電力があれば十分なのですが、ごくまれに数Wクラスのツェナーダイオードが必要になるときもあります。

中には数Wの許容電力に対応した大容量ツェナー(パワーツェナー)もありますが、これは高価で入手性も悪いため、個人が購入するにはちょっと難があります。

どうしても大きな許容電力のツェナーダイオードが必要な場合は下の図のようにトランジスタを取り付けると、容量の小さいツェナーダイオードでも許容電力が大きいパワーツェナーと同じように使うことができます。小さなツェナーでも大きなツェナーと同等に扱えるので、覚えておくといいでしょう。(特性は若干変わります)

ツェナーの許容電力を大きくする等価回路。この回路を使うことによってツェナーの特性をそのままにしてトランジスタがツェナーのようにふるまう。

サージ対策にも使えるツェナーダイオード

ツェナーダイオードの特性は回路を保護する電子部品としても使用することができます。ツェナーダイオードを保護したい電子部品と並列に入れることで、サージや静電気の影響を小さくすることができます。

現在では、サージ対策だとより信頼性の高い過渡電圧サプレッサ(TVS)ダイオードが使われることが多いようです。

ツェナーダイオードのノイズ対策

非常に便利なツェナーダイオードですが、注意点としてツェナーはノイズの原因となる電子部品ということを覚えておかなければいけません。ツェナーダイオードから発生するノイズの量はツェナー電圧が高いほど大きくなり、電流量が大きいほど小さくなります。

  • ツェナーダイオードと並列にコンデンサを挿
  • ツェナー電圧の低いツェナーを直列に複数本入れる
  • ツェナーダイオードに流す電流を多くする

などのノイズ対策法がよく採用されます。

まとめ

ツェナーダイオードを使うと簡単に目的の電圧を作り出すことが出来ます。回路の中に基準電圧を作ったり、別の電圧ラインが必要になった時などで少ない回路構成で済ませることができるので非常に重宝します。

今でこそ3端子レギュレータなどの電源ICを使って手軽に定電源を作れるようになりましたが、実際には電源の容量や安定性、更にはコストなどの理由もあり、すべての電源を電源ICだけで対応させるというわけにもいきません。まだまだ、ツェナーダイオードを使う機会というのは数多く遭遇します。

今回、手持ちのツェナーダイオードが表面実装のものしかなかったので、ちょっと無理してユニバーサル基盤に表面実装用のツェナーダイオードを実装してみました。もちろん、アキシャルリードタイプのツェナーダイオードもあるので、電子工作などで使う場合では表面実装のツェナーダイオードを使う必要はありません。RSコンポーネンツなどはツェナー電圧のほかパッケージ形状・許容電力など様々なツェナーダイオードを探すことができます。

このROHMのUDZVシリーズは回路シミュレーションなどに使うSPICEモデルも提供されているため、実際の電源回路の設計においてシミュレーションができるのは非常に便利です。また表面実装のはんだ付けも慣れれば案外簡単です。

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Device Plus 編集部

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