インタビュー

世界でも尖った無線通信技術、EnOceanの可能性とは?

ローム株式会社主催のアイデアコンテスト「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」に登場する4つのキットに焦点を当てた、ロームのエンジニアインタビューシリーズ。第2回目の本記事に登場するのは、バッテリーレスの無線通信技術・EnOceanを担当する小宮さんです。

唯一量産されている、バッテリーレスの無線通信プロトコル

──ロームはEnOceanアライアンスのアジア地域のプロモーターをしていますが、そのきっかけは何ですか?

IoTに関する市場調査の際、EnOcean通信という技術の存在を知りました。「バッテリーレスの無線通信プロトコル」で、量産されているものはEnOceanしかありません。ZigBee通信比約10分の1の超低消費電力で無線通信ができるEnOceanは、世界でも尖った技術なんです。同様の技術をロームが自前で開発することも考えましたが、早く市場の反応を見たいと思い、EnOcean通信技術をアジア市場に投入する役割を担うことにしました。

センサノードとして介護や工場の現場を支える

──どんな使用用途を想定していますか?

ドイツのメーカーが開発したEnOcean通信技術は、ヨーロッパ独特の住宅事情(石造りが多く壁の裏側に配線できない、大切な家を傷つけたくないという文化)を背景に、家庭用の照明スイッチとして広く利用されていました。ただ、日本ではこうしたニーズは低い。むしろ、センサノードとしての需要が増えていると感じています。

たとえば、介護。在宅介護の流れが加速する中で、離れた場所にいる家族がお年寄りを見守りたいというニーズがあります。見守りのためにはセンサが使えるのですが、電池交換不要で運用できるのは、高齢者の家にも最適です。

あるいは、工場の設備監視。EnOcean技術を使えば後付けでセンサを付けられるので、15年も過ぎたような昔の設備でも、配線の手間をかけずに故障の予兆判断が可能になります。

──実際にEnOceanが採用されたケースや、検討された例を教えてください。

植木鉢の水分量をRaspberry Pi経由でTwitterに上げるとか、トイレの個室の混雑状況を伝えるのに人感センサ・開閉センサを利用するといった例はありますね。配置場所として相性が良いのは、山奥とか、橋とか、人の手が届かない高天井とか…。農業分野でもバッテリーレスの需要は高いかもしれません。畑は電源線が這わせにくいですが、獣の存在を感知してライトを照らしたり、罠を動かしたり。介護や農業などの領域では、社会課題の解決にもつながりそうな予感がします。

バッテリーレスならではの「縛り」に注意

──コンテストのアイデアを考える上で、注意すべき点はありますか?

バッテリーレスの無線だからこそ制限がかかってしまうこともあります。例えば、データ転送レートは高くありませんし、光発電の場合は光がないと電気が蓄えられず、無線通信ができません。そうした発電と組み合わせる必要があるという制限がある事を前提に考えてもらいたいです。ただし、通信頻度によっては200ルクス程度のかなり薄暗い場所でも動きますし、蓄電を上手く使えば一時的に暗くなる場所でも使えます。光発電・押し込み発電以外にも、機械の振動や風力など、さまざまな発電方法と組み合わせることが出来ますので、アイデアも膨らみます。

──最後に「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」への期待を教えてください。

「バッテリーレス」をいかに上手く活用するかがキモになると思います。EnOcean通信技術をあらゆるセンサと組み合わせれば、可能性は無限大です。自由な発想でいろんなアイデアを出してほしいと思います。

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ROHM OPEN HACK CHALLENGE

Device Plus 編集部

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電子工作マニュアルVol.5