インタビュー

「無駄づくり」を通じて見えてきた「無駄」の魅力と必要性

「無駄づくり」発明家・藤原麻里菜さんインタビュー【前編】

目次

  1. ものづくりに対するコンプレックスから始まった「無駄づくり」
  2. 「無駄」は社会に余裕や寛容性を与えてくれるもの

 

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今回インタビューを受けて頂いたのは、頭の中に浮かんだ不必要な物を何とか作り上げる「無駄づくり」を主な活動とし、YouTubeやSNSで多くの発明品を発表しているコンテンツクリエイターの藤原麻里菜さん。藤原さんは2013年からYouTubeチャンネル「無駄づくり」を開始し、これまで200個以上の不必要な発明品を世に送り出してきました。そんな「無駄づくり」には電子工作の知識も大いに役立っているとのこと。「無駄づくり」の発想はどのようにして出てくるのか。そして「無駄づくり」は今後どこへ向かっていくのか。じっくりとお話をお聞きしてきました。

 

ものづくりに対するコンプレックスから始まった「無駄づくり」

編集部:まず、藤原さんが電子工作に興味を持たれたキッカケを教えてください。

藤原さん:もともと「無駄づくり」というものを始めた際に、特に美大卒ということもありませんので、「ものづくり」というものに関しては小中学校で習うような「図画工作」や「技術」の時間に習ったハンダ付けの知識くらいしかないままやり始めたような状態でした。初期では段ボールを使ったりして、自分で頑張って作っていたのですが、ある時から、100円均一のお店でモーター付き掻き混ぜ器の先端にいろいろなものを取り付けてみたり、スイッチの部分をイジって違うものにしてみたりし始めたあたりから電子工作というものに興味を持ち始めました。

 

編集部:電子工作を始める上で、藤原さんはどういったところから入っていったのでしょうか?

藤原さん:電子工作の最初は、知り合いの方からArduinoを紹介してもらったことです。Arduinoが使えると、簡単にいろいろなことができるからオススメだよ、ということで教えてもらい、本を買って勉強を始めてみました。

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編集部:なるほど、先に「無駄づくり」があって、もっといろいろな「無駄づくり」をしてみたいということで電子工作を学ばれたということですね。ということは、先になぜ「無駄づくり」を始められたかをお聞きしないといけないですね。

藤原さん:「無駄づくり」を始めた理由は、もともとものづくりが好きだったのですが、めちゃめちゃ下手だったんです。高校生の頃、お金を稼ごうとするとコンビニやファストフード店でバイトするしかないと思いますが、その時は「誰の下にも付きたくない」という変な気持ちがあって、何か物を売ってお金を稼ぐことができたらそういったバイトをせずとも済むと考えました。その頃、私はとある着せ替え人形が好きだったのですが、その着せ替え人形の服を手作りで作って通販サイトで販売している方を見つけたのです。それが着せ替え人形の服なのに5千円もするものもあって、それを見た時に「自分で作ったらもっと安くできるし、うまくできたら自分で販売してみよう」と思いつきました。早速母にミシンを買ってもらい自分で作り始めたのですが、何度やってもうまくいかず、それでものづくりに対してコンプレックスを抱くようになりました。

 

編集部:ものづくりにコンプレックスがあったとは、今の藤原さんから見ると意外ですね。

藤原さん:高校生の頃はずっとものづくりコンプレックスがある一方で、やはり何かものづくりをやってみたいという矛盾した思いがありました。高校を卒業した時に、やはり何か面白いことをやりたいと思い、またものづくりに挑戦してみようと考えました。その頃は例えばYouTubeで「ピタゴラスイッチ」をやったりしたら面白いのではないかと思い、頑張ってみましたが、テレビで「ピタゴラスイッチ」を見ている時は「こんなの誰でもできる」と思っていたのに、いざやってみると全然できずでした。また、ものづくりに対してコンプレックスが出てきたのですが、一方でこういった失敗や自分のできないことをすべて受け入れられるようなコンテンツができないかと考え、無駄を作る=「無駄づくり」という形にすれば、そういった失敗や、コンプレックスといったものがすべて認められるのではないかと考えて始めたのが「無駄づくり」の原点です。

 

編集部:そういった方向性というのは、もともと藤原さんの中でも好きなほうだったのでしょうか?

藤原さん:はい。発明大国と呼ばれる日本でも、中には何のために発明したのか分からないようなものも多くありますが、そういったものが好きなんです。また、早稲田大学の建築家のゼミの授業で、役に立たないものを作る授業があり、それも大好きでした。それ以外では明和電機さんといったようなカルチャーが好きで、自分でも自然と「無駄づくり」に傾倒していくようになりました。

 

「無駄」は社会に余裕や寛容性を与えてくれるもの

編集部:普段「無駄づくり」をする中で、アイデアや制作に取り掛かる際のモチベーションはどういったところから出てくるのでしょうか?

藤原さん:元々ものづくりが好きなのですが、ものを作るということには意味や理由といったことが付いてきます。ただ、そういったことがなくても、やってみたいと思うことがあって、それを形に仕上げていきたいという衝動に駆られる時があります。それがどういったゴールであっても、手を動かす理由があることに嬉しく感じてしまいます。

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編集部:これまでも多くの「無駄づくり」を発表されてきていますが、続けていくエネルギーやアイデアの源泉はどういったところにあるのでしょうか?

藤原さん:「無駄づくり」を続けていくために大切にしていることは、考えて、手を動かして、作って、というサイクルをきちんと回すことを心がけています。考えているばかりではなく、しっかりと手を動かすようにし、出来上がったものを人に見せて反応をもらって、また考える…というようなことを、自分で一番気持ち良いバランスが取れるように意識しています。

 

編集部:作品を発表した際の周囲の反応というのは気になるものなのでしょうか?

藤原さん:本当に身内の人たちの反応は全然気になりませんが(笑)、SNSにアップしたものが、いいね!が少なかったりするとちょっと気になりますね。

 

編集部:藤原さんは「無駄」というものをどのように捉えているのでしょうか?

藤原さん:「無駄づくり」を続けていくと、自分の感情やネガティブな部分からアイデアが思いつくことが多くあります。そういったアイデアに対して、手を動かして発明品を作りつづけ、人に見せることで、自分の嫌な部分を容認することができると感じています。そして「無駄」は人に寛容性を与えるものだと思っています。無駄を排除して効率性を上げていくことも大切なのですが、例えば部屋には確保しておかなければいけない無駄なスペースが必ずあるように、人の心にも、社会にもそういった無駄なスペースがなければいけないのではないかと思います。私は日本人は無駄を愛する民族だと思っています。例えば床の間なんて普通に考えたら無駄なスペースですよね(笑)。そのような余白や無駄なスペースみたいなものを大切にする文化が日本にはあって、それは社会に余裕や寛容を与え、人の心を豊かにするものだと思っています。「無駄」というのはそういった「確保しなければいけない余白」だと考えています。

 

◆ ◆ ◆

 

藤原麻里菜さんのインタビューは後編に続きます。後編では「無駄づくり」と電子工作をどのように掛け合わせて活用しているのか、お聞きしていきたいと思います。お楽しみに!

Device Plus 編集部

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