電波新聞社が発行している「電子工作マガジン」は、最新のデバイスで、楽しい電子工作を、という編集方針で発行されているエレクトロニクス入門雑誌(年4回発行)です。2014年夏号では丹治佐一氏による「無線コントロールバギーカーを作ろう」という記事が掲載されています。
超低速走行とブレーキ機能をシンプルな回路で実現したラジコンバギーを紹介しましょう。
■Zigbeeを使ったラジコンシステム
ベースはラジコンカーのG-DRIVEで、ラジコンの送受信機の部分を最新の通信方式である2.4GHz帯の電波を使うZigbeeを搭載したモジュールの回路に換装しています。
このZigbeeモジュールはTOCOSの「TWE-Lite DIP-WA」で、マイコンを搭載していて、デジタルとアナログポートを持ち、様々な用途に使えます。モジュール同士の通信電波の到達距離は1km。丹治氏は、このモジュールを使ったラジコンの記事をすでに3本発表していますが、今回は超スローの走行を実現するために、パワーのあるモータードライバーの「BD6222HFP」が採用されました。
「手に入れやすい価格のラジコンの電気回路は、走行スイッチのオン・オフだけで操作しているため、急発進と急停止しかできません。超低速から滑らかに発車し、滑らかに走行速度を落として停止させる、臨場感を再現したかった」と丹治氏。テストを繰り返して、超リアルなコントロールができる装置が完成しました。
■期待される応用と専用コントローラケース
スムーズな発進と停止は、鉄道模型ファンにも喜ばれる機能です。また、実用的な装置での活用も考えられます。
一連のZigbeeラジコンシステムで使われるコントローラは、テレビでも盛んに登場している、「DMM.make 3D Print」のデザイナーが設計した3Dデータをもとにした3Dプリンタ出力が可能になりました。
超スローの動作が指令できるシステムが出来上がりましたが、エナジーハーベストの超小型モジュールも発売されました。小さな太陽電池と、電気二重層コンデンサを組み合わせると、電源なしで長期間使うことができます。
ホビーの他に、実用レベルのシステムにも利用することが可能です。これらの仕組みを使って、ガレージのシャッターをリモコン操作で開閉する装置を作ったアマチュアもいます。
電子工作マガジンの同じ号には、無免許で使えるZigbeeの無線電話・無線電信トランシーバの記事も掲載されています。
楽しみながら、次世代技術を開拓できる電子工作。夏休みを有意義に過ごすための最高のテーマです。皆さんも挑戦してみましょう。