決勝は熊本高専「本気(マジ)の宅配便」と旭川高専「ベルーガ」の対決になった。
準決勝の後、エキシビションでいったん会場の空気がゆるむ。しかし、両アナウンサーのコール、そして本番、決勝ならではのド派手な演出で、会場の空気が一気に変わる。固唾を呑む、とはこのことだろう。
熊本はこれまで抜群の安定感を見せてきた。20枚以上を積み、2回のお届けを成功させているのは熊本と和歌山だけだ。インタビューで、リーダーはしきりに「2012年のくやしさ」ということを口にした。5年間、ずっと優勝を狙い続けてきたとのことだ。
旭川は、1回の枚数は少ないものの、スピードは抜群。1分以内でコンプリートできる力を持ち、しかも安定している。しかし、試合前のリポートでは、タレントの足立梨花さんが、旭川がずっとトラブルと戦っていたことを教えてくれた。
試合開始を告げるコール。応援席からは、ひときわ大きな声が飛ぶ。
熊本は24枚。これまでの実績通り。
対する旭川は12枚を積んだ。これはチャレンジングな枚数だ。しかし、少なくともこの枚数以上で2回目を狙わなければ、熊本には勝てない。
両者とも、これまで通りの安定性。それぞれ1回目を届け、2回目に移る。
しかし、旭川は戻る途中にまさかのリトライ。おそらく、これがマシントラブルの影響なのだろう。急ぎ、2回目を目指す。13枚を積む。熊本が2回目を失敗すれば、勝てる枚数だ。
残り5秒。最後ににせいろを届けたのは、熊本だった。計44ポイント。旭川は2回目、坂でのリトライ中だった。
会場は歓声と拍手、ひときわ大きなアナウンスに包まれる。駆け寄って抱き合うメンバー、金銀のテープが、熊本チーム全員をつつむ。
旭川メンバーは、しばしの間、固まった。3人の顔には悔しさが見える。しかし、記者の耳には、旭川への声援も確かに聞こえた。
○ 熊本高等専門学校(八代) 44
× 旭川工業高等専門学校B 12
記者は、今大会の戦略の見どころについて、「スピードかパワーか」という言葉を使った。しかし、熊本を見ていると、スピードもパワーも兼ね備えることができる、ということを思い知らされた。
もちろん、熊本以外の各校も同様だ。数多くのアイデア、可能性を見せつけられ、そして何より楽しんだ。勝敗のみならずその知力、発想、努力、実現力にも、デバプラは敬意を表したい。同時に全国大会のみならず、地区大会への参加者、そしてすべてのロボコン参加者に、エールを送りたい。
各賞
ロボコン大賞 & 優勝:熊本高専(八代)
準優勝:旭川高専
アイデア賞:鈴鹿高専
技術賞:和歌山高専
デザイン賞:大島商船高専
アイデア倒れ賞:仙台高専(広瀬)
出前迅速賞:大分高専
特別賞・本田技研工業:木更津高専
特別賞・マブチモーター:大島商船高専
特別賞・安川電機:高知高専
特別賞・東京エレクトロンFE:熊本高専(八代)
特別賞・田中貴金属グループ:仙台高専
会場では、高専生のみならず、未来のロボコニストたるお子さんの姿も多く見られた。この経験は、きっときっと彼ら彼女らをインスパイアしたに違いない。これからも、ますますロボコンが楽しみだ。
トーナメント表
※2014/11/25追記:本記事の内容に、一部誤りがありました。お詫びして訂正いたします。