2014年11月24日。前日の高専ロボコンの熱気が冷めていない記者たちが向かったのは、東京ビッグサイト。DIY系ものづくりイベント「Maker Faire Tokyo 2014」の会場だ。「ちょっとユルめの展示でほのぼのしよう」などと油断した記者、そしてマンガ家・見ル野栄司氏を待ち受けていたのは……、まったりなど一瞬たりともできない、濃密なカオス空間だった。
野暮を承知で、Make、そしてMaker Faireについて
Makeは、アメリカ・オライリー社のDIY系工作専門雑誌。2005年に誕生した。このMakeを中心に広がっていったのが、いわゆるMakerムーブメント、そして今回の「Makerムーブメントのお祭り」であるMaker Faireだ。
Maker Faireは、ひと言で言えば「作り手たちの発表・交流の場」。作ったものを会場で展示・実演し、つくることの楽しさを共有するのが目的だ。
日本でのMaker Faireは、「Make: Tokyo Meeting」として2008年に初開催。今回で10回目となる。2013の出展社は250組、そして2014は約300組の出展社が集まったと聞く。より詳しい情報は、下記サイトをご覧頂きたい。
Maker Faire Tokyo 2014 | Maker Faire Tokyo 2014 | Make: Japan
http://makezine.jp/event/mft2014/
Makerは宇宙を目指す その1 HAKUTO
早速レポートに移ろう。まず見ル野さんと記者が向かったのは、宇宙。「HAKUTO」のブースだ。
HAKUTOは、日本初の民間・月面探査プロジェクトを進めているという。
HAKUTOが参加している「Google Lunar XPRIZE」は、Googleがスポンサーとなった国際賞金レース。純民間のロボット探査機を着陸させ、月のデータを地球に送信しようという試みだ。現在はその月面探査ローバーを開発するコンペティション中で、HAKUTOは世界各国18チームの中でも、有力候補だという。ちなみにその賞金は、総額4,000万ドル。
月面探査、4,000万ドルと聞くと、とても遠い世界の話と思ってしまう。しかし、その運営は、「好き」で始めたボランティアスタッフが中心になっているという。もちろん東北大学教授などもメンバーに含まれているが、それにしても、趣味のものづくりを突き詰めると、宇宙につながっているということで……、夢がある。
「見ル野が見た!」
遊び心満載であり確実に話題になる企画でしょう! 賞金4,000万ドルはロマンもあって、世の宇宙計画を楽しく進展させるハズ。
ハクト – 日本発の民間月面探査チーム | Google Lunar XPRIZE Official Team
http://team-hakuto.jp/
Makerは宇宙を目指す その2 チーム奥澤
こちらも、趣味、と言い切っては誤解があるかもしれないが、別に本業を持ちながら、宇宙を目指す人々。奥澤翔さんを中心にエンジニアが集まり、余暇やおこづかい(!)を使って開発を進めているという。
何を作っているのかと言えば、宇宙エレベーターの昇降機(クライマー)。
その舞台は一般社団法人 宇宙エレベータ協会が開催しているコンペティション。2014年の大会で、奥澤さんたちは、1200メートルの昇降を2連続で達成し、世界新記録を打ち立てたという。
JSEA 一般社団法人 宇宙エレベーター協会
http://www.jsea.jp/
「見ル野が見た!」
夢みたいな宇宙エレベータの話が、着々と実現に近づいている。そして奥澤さんたちのような人々が、さらに新機能と改良を繰り返して夢を追いかけている。理解ある企業が組んでもらえればなあ。
「チーム奥澤」の開発日記。
http://teamokuzawa.blog57.fc2.com/
ナウ○カのあのエアクラフトが!
会場でひときわ長い行列を作っていたのは、あのメーヴェ体験。その機体を見れば、ピンと来る人も多いだろう。
VRヘッドマウントディスプレイ・Oculus Riftと自作の機体を組み合わせた、いわばメーヴェのフライトシミュレーターだ。操作はもちろん、Arduinoと加速度センサーを組み合わせた機体を傾けて行う。画面は3Dゲームの開発環境・UNITYで制作されており、かなりの没入感。それもそのはず、開発者のワダタカヒコさんは、普段スマホゲームを作っているとか。
「見ル野が見た!」
まさにやりたいことを実現したビッグトイ。ナウシカの気分になれるし、ソフトウエア次第では、現実世界のMAPを飛び回れるようになるはず。自由度無限大。
ちょっと未来(ワダタカヒコさんブログ)
http://takahi5.hatenablog.com
いろんな人に会えるのも、Maker Faire
Maker Faireは、展示会ではなく交流会 or お祭り。「中の人」や本当にいろいろな人と直接コミュニケーションをとることができるのも、その魅力のひとつだ。
こちらはデバプラにも登場していただいた、RAPIROの開発者・石渡昌太さん。
もちろん次の製品も計画中とのことで、見ル野さんと熱く話し込んでいた。
「見ル野が見た!」
クラウドファンディングから製作まで成功させたパワーは圧巻。みんなが欲しいものを追及してビジネスに変えられるのは、本当に尊敬する。面白いガジェットをもっと作ってほしい!
そしてこちらは、見ル野さんと、そのファンの大学院生。前日、高専ロボコンの「副音声」をニコ生でつとめていた、ヒサケンこと久野顕司さんと一緒に会場を訪れていた。
今回の連載の流れ
Maker Faire Tokyo 2014レポ:その1(見ル野コメント付き!)(今回)
Maker Faire Tokyo 2014レポ:その2