第3回 中国地区ロボコン交流会/後半戦 ~自分では思いつかないアイデアが、ここにある!

前半:親睦をテーマに、ゆるふわホッコリの1日

 

2日目 3月10日(日)、ロボコン・クイズで、大いに盛り上がる

9:00 プレゼン

昨日とは打って変わって、冷たい雨。しかし「広島市三滝少年自然の家」の中は、高専生たちの熱気でいっぱいだった。
さて今回の交流会唯一のプレゼンは「ロボコン・クイズ」。なぜクイズなのか、企画者であり出題者の宮田 周さん(宇部高専)に、その意図を聞かせてもらった。
「もともとクイズを趣味でやっていて、ずっと『ロボコンのジャンルのクイズがあってもいいんじゃないかな』と考えていました。でもなかなか機会がなくて。そんな時、『交流会でクイズができないかな、そう言えば中ロボがあったな』と思いついて、プレゼンの枠の中でやらせてもらうことにしました。今回は技術的な問題よりも、歴史に比重をおいています」

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クイズの形式は、まず「○×式」の予選クイズ。ここで勝ち残った8名が決勝に進出し、早押しクイズ15問を行うという仕組み・・・のはずだったが、大きな誤算が。「○×」の最初の数問で、脱落者多数! 結局、2問目終了時点で、敗者復活戦になったわけである。

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ちなみに、「○×式」の問題はというと・・・
●ロボットの制作費制限が現在と同じ30万円になったのは10年以上前である。
●高専ロボコンを2連覇した学校がある。
●ロボコン31年間の歴史の中で、時間制限なしのルールが存在した などなど。
(答えは自分で探してみてね!)

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決勝進出者を最後はジャンケンで決めるなど、いささかバタバタはしたものの、何とか早押しの決勝ラウンドがスタート。

ここで圧倒的な強さを見せつけたのが、幹事である徳永さん!
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ちなみに「早押しクイズ」の問題はというと・・・
●社名が、抵抗器の頭文字と単位を組み合わせたものは? もちろん、みんな知ってる、あの・・・↓
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●チェコスロバキアの作家カレル・チャペックが『R.U.R』で初めて提唱した概念は?
●第31回大会「ボトルフリップ・カフェ」で、ひとつのチームが全てのテーブルにペットボトルを1本ずつ置いた場合、得点はいくつになるか?  などなど。
(答えは自分で探してみると新しい発見があるかも。)

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「宇部高専の作ったクイズに宇部高専が優勝するって、どうよ?」という声も多少(?)あったものの、「大人げないことをしました!」と言いながら徳永さんはちゃっかり優勝を手にしたのであった。

今回のクイズは、高専生たちからは好評で「真面目に話し合いするのもいいんですが、クイズならラフな感じでいろんなことを仕入れられるのでいいですね」(津山高専・藤原拓海さん)といった声も。出題者として頑張った宮田さんに感想を聞くと、「今後は初歩的な技術の話とか、みんな答えやすいクイズを作ってみたいと思いました」とのこと。次回のクイズが楽しみだ。

阿南から一人で参加。でもブース展示で大きな注目が・・・

9:00 ブース展示

「ロボコン・クイズ」で盛り上がっている隣では、座卓を出してブース展示が始まった。今年は、岐阜OBである問山 匡さんの基板展示、米子高専「変態部品とモタドラ6年史」と 阿南高専「過去のヒヤリハット及び自己満足の塊の展示」の3つ。

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自分の名刺も基板で作っている問山さんは、「興味を持ってくれるのはうれしい。他の分野の人がどう思っているのかが知りたくて。それを自分の基板にどう活かすかを考えたい。展示している側でも役に立ちますね。僕はOBなんで、これを現役の子たちにフィードバックできたらなと考えています」と意欲的だった。

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それ以上に注目を集めていたのは、阿南高専からただ一人、参加していた大島泰星さん。先輩達が作ったものを自分なりにアレンジして製作したメカを持ち込み、デモを行っていたのだ。「過去のヒヤリハット」というから、チャレンジングではあるが問題を抱えていたメカを、大島さんが自分なりにモデファイしたものだ。

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「昔の先輩が作って、技術が途絶えていたのを私が無理矢理、再現しました。これがはやっていけばいいですね。この形状は、もともと先輩が後ろに基板が出ているモータを使っていて、それを参考にしました。横に通風孔が空いていて、それでワッシャーが入ったと言う事故が以前にあって、それの対策としての役割も兼ねて作っています。逆回転防止のシステムは、もともと一関高専さんが設計したものを参考に作ったものです。モータを一方の方向に回すと、プーリーが回転して巻き取りますが、逆方向に回すとプーリーがフリーになって、巻き取った糸が一挙に開放できる仕組みになっています。ラチェットなど自分オリジナルの部品なども使ってます。今年のロボコンで一関さんに見て貰って、『その方式は考え付かなかった』と言ってもらえました」
と自作メカについて熱く語った。

記者は、そんな大島さんよりも、むしろ周囲の視線が大いに気になった。みんな大島さんのメカに釘付けになっているのだ。何人かに話を聞いてみよう。

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「新しい機械を取り入れて、素晴らしいなという印象です。自分たちもこういう技術力というか、工夫を真似したいと思います。大島さんのメカから吸収できるものがあればいいなと思います。万力とかを使って曲げているところも素晴らしいし、手造りにこわだっているなという印象です」(米子高専 塩谷快斗さん)

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「凄い刺激を受けました。僕はまだ設計をあまりやったことがないので、元からあるものを自分なりにアレンジしてさらにいいモノにしていこうという考え方が、今の自分に必要なのかなと思いました。そういうところから新しいモノが生まれるのだなと感じます。とても有意義な1日でした。

徳山高専 藤本樹宗さん・写真右。左は同校の則安聡至さん

徳山高専 藤本樹宗さん・写真右。左は同校の則安聡至さん

大島さんは、これからもあちらこちらの交流会に出展されるようなので、ぜひ、お見過ごしのないように!

茫然、唖然のミニロボコン。挫折を乗り越え、前へ進め!

11:00 ミニロボコン

展示ブースと並行に、開会式を行った第2研修室でミニロボコン。今年は、ランダムに置かれたチップスターの空き箱3つを、ミニロボで既定の場所まで運ばせるという方式。
ただ参加したのが津山高専の「ゴミバケツ」と大島商船の「猪突猛進」の2台というのが、ちょっとさみしい。が、しかし・・・始まってみたら、もっとさびしい結果になってしまった。テスト段階では動いて、空き箱を動かせていた「ゴミバケツ」が、本番を前に何と全く動かない!

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「ちょっと調整しようとしていたら、だんだん動かなくなって・・・」と、茫然自失の津山高専チーム横山竜士さんは力のない声で語った。バケツの取っ手を上下させ、空き箱を吊り上げて運ぶというアイデアは、なかなか秀逸だっただけに、残念。この挫折を乗り越え、みんな大きくなっていくのだろう。

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一方、大島商船チームは優勝したにも関わらず、大きな歓喜もなく・・・。でもおめでとう。名前の通り、シンプルに力強いメカだった。放熱板回りの設計にも、面白さを感じた。
毎回、ミニロボには何らかのドラマがある。だから目が離せない。

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ゆるふわ、でも時々ピリッとする「中ロボ」も、ついに終了

13:00 閉会式

さて、第3回 中国地区交流会もいよいよ終盤を迎えた。「ゆるふわ」な中にも、一本、筋が通った交流会だった。大前幹事代表から、来年度の役員も紹介され、「中ロボ」も新しい時代を迎えて行く。
次期幹事代表である大石涼真さん(徳山高専)に、抱負を聞いた。
「今回は盛り上がってよかったです。来年はもうちょっと参加人数を増やしてたいですね。私は今回、ミニロボコンの担当でしたが、時間の配分などが難しかったです。いろんな課題がありましたが、来年はもっと良いものにしたいです」とのこと。大いに期待したい。

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昨日、「ロボコンをする目的を探しに来た」という広島商船の伊藤明澄さん。彼女に答えは見つかっただろうか?
「勉強になることが結構あって・・・。今回の交流会で『設計』で頑張ってみようかなという目的もできました。次の中国地区交流会にも来たいですね」

最後に、津山の白神愛さんが語った話が、非常に印象的だったので、ご紹介しておこう。
「他の高専生のを見ていたら、感心するばかりで・・・。私もいつか人を感心させられるようになりたいです。交流会は、いろいろ引き出しが増やせるからいいですね。でも重要なのは、これから帰って自分でどれぐらい頑張れるかだと思います。交流会のメリットは、友だちを作れること。それと自分では思いつきもしなかったアイデアをポッと見せられることかな。『あ、こういうのもあるんだ』と思ったら、自分の中で別のものにも応用できるんじゃないかと、どんどん広がっていくから、自分のインスピレーションを高めるためにも、絶対に交流会に来た方がいいですね」

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交流会を終えたみんなの表情は、実に明るかった。この明るさが、日本のモノづくりの未来を照らす灯りになってくれればいいな、そうデバプラ編集部記者は思うのであった。

幹事代表の大前さん、そして幹事のみなさん、参加者のみなさん、今回の交流会でもお世話になりました。このように、みなさんと接することで、デバプラ編集部も大きなパワーを貰いました。
これからも、みなさんの頑張りを、どんどんレポートしていきます!

 

 

今回の連載の流れ

前半:親睦をテーマに、ゆるふわホッコリの1日
後半:自分では思いつかないアイデアが、ここにある!(今回)

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高専ロボコン2018解剖計画