2020年、高専ロボコンは度重なる延期やルール見直しの末、史上初のオンラインで開催された。本年度も延期が繰り返されたが、オンラインでの地区大会を経て2021年11月28日の全国大会はオフラインでの開催の運びとなった。ただいま国技館!
デバプラ編集部も十分な健康管理のうえ、現地取材ができそうだ。全参加者が両国国技館に集合できることを願う。
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目次
今年のテーマは「超絶機巧(すごロボ)」、「イイネ!欲しい!」が原動力だ
2021年の高専ロボコンのテーマは「超絶機巧(すごロボ)」。細かい縛りはなく「とにかくすごい!」で魅せる対決だ。ルールはとてもシンプルで、ルールブックはかつてなく薄い。
最大3台のロボットがタテヨコ6mの正方形フィールドの中で2分間、自由にパフォーマンスを披露する。小道具を使用しても良く、5人の審査員が各8点の持ち点から採点し、合計40点を満点とする。得点の原動力は「そのロボット、いいね!」や「これ、欲しい!」という思いだ。
審査ポイントは以下の4つだ。
1.チームがこだわった技術の難易度とその達成度
A.技術の難易度と独創性
B.技術の達成度
2.ロボットのアイデアとパフォーマンスのすばらしさ
C.ロボット全体の完成度
D.パフォーマンスにおける表現力
査対象は独創性や難易度、完成度や表現力。つまり平易な目標の達成では高得点は得られないし、難しすぎる目標設定では完成度が落ちてしまう。自由度が高い分、目標をどこに設定し、完成度をどう高めていくのかがキモとなる。
目標を見極め、その達成に向かって開発を進める能力はエンジニアにとって重要で、しかし非常に難しい課題だ。大人のエンジニアには耳の痛い話かもしれない(筆者も胃がキリキリする)。
地区大会優勝チームをチラ見せ、必見ポイントは!?
全国大会には、地区大会を勝ち抜いた26チームが出場する。以下に、すべての各地区大会の様子を動画紹介!その中でも各地区の最高得点を出したチームをチラッと紹介する。
旭川高専「廻レ!機巧雪花!」
2台のロボットが連携して披露する、雪の結晶をモチーフにしたコマ回しの美しいパフォーマンスで魅せた。いくつもの高速回転するコマを制御する高い技術力、ロボットが表現する美しさが評価され39点を獲得した。
(1:29:50ころから)
秋田高専「白熱!クウェペナ」
3台の自動ロボットが連携してアフリカ発祥の子供遊び「クウェペナ」のボールを投げたり、棒を拾ったりする動作をロボットで再現。ロボコンのテーマに出てきそうな題材を楽しく、見事連携技で披露し38点を獲得した。
(54:25ころから)
東京高専「TRICKSTAR」
「怪盗」と「運び屋」の2台の自動ロボットが連携してお宝を狙う。特に運び屋が怪盗との距離を測って移動し、お宝をキャッチしどんどん積み上げていく自動制御が必見。全体的にスタイリッシュな演出で魅せ、38点を獲得した。
(2:54:10ころから)
鈴鹿高専「プロジェクトS」
ペットボトルを回収してゴミ箱に捨てるロボットと、射出して6メートル先の小さなゴミ箱に投入するロボット。自己位置推定や打ち出しの精度が高く、さすがの鈴鹿。全自動制御で実現させた技術力で39点を獲得した。
(3:36:20ころから)
富山高専(本郷)「ロボドッグラン」
人間が投げたボールを犬型ロボットが追いかけて拾いあげ、人間のもとまで運ぶ自動ロボット。地区大会優勝は同得点の鈴鹿に譲ったが、完成度の高いパフォーマンスで全国出場を獲得した。
(1:41:10ころから)
奈良高専「二ノ鹿跳」
奈良高専は伝統のジャンプ機巧をフルに魅せる。質感にこだわったという2台の鹿型ジャンプロボットと1台の大仏型縄回しロボットの連携で大縄跳びをする。人とロボットとの一体の縄回しとジャンプロボットの制御は必見だ。37点で地区大会優勝。
(59:05ころから)
呉高専「鼯鼠(むささび)物語」
坂道や段差を超え、滑空したりと複雑なコースを3台のロボットが協力し、それぞれの技で課題をクリア。機巧の種類が強み。障害をクリアする技術力を見せつけ、満点の40点を獲得した。
(1:21:50ころから)
香川高専(詫間)「DBZ」
2台のロボットと人間による息のあった見事なジャグリングパフォーマンスで魅せた。少しだけ既視感のある懐かしいロゴも必見。人間には真似できないスゴ技を披露するロボットもすごいのだけれど、難易度の高い技をロボットと息を合わせて次々披露する人間もとにかくすごい……素晴らしい完成度で満点の40点を獲得して納得の地区大会優勝。それにしても人間がすごくないか!?
(2:17:15ころから)
熊本高専(八代)「AquaMarine」
とにかく可愛い仕上がりの3台のロボットによる、サーカスと新体操を融合させたパフォーマンスを披露した。クルーのダンスも華やかで、まるで水族館のショーを見ているようだ。演出の完成度も高く、満点の40点を獲得した。
(49:25ころから)
熊本高専(熊本)「ゴリラ3」
ゴリラ・ゴリラ・ゴリラくん(生後一ヶ月)がバスケボールに挑戦。人間とのパス回しやシュートを高精度な制御により実現して満点の40点を獲得した。
(1:14:40ころから)
その他の注目校としては、フリスビーを自動認識で的に当てるロボットを作った仙台名取高専「ディスク・スナイパー」。トラブルにより安全性を優先してロボットを停止したためパフォーマンスに繋がらず低得点に終わったが期待を込めて全国大会出場の切符を託された。小山高専「クアッドアクセラ―」のアクセル姉さんロボットはフィギュアスケートを披露。ジャイロによる姿勢制御と一回限りの大ジャンプが見どころである。石川高専の「割箸観音」は名前のごとく、観音様ロボットが4本の腕を駆使して割り箸をきれいに割ってくれるインパクト大のすごい機巧ロボット、などなど。ネタバレを避けるため全校の紹介は省くが、全国から多彩な魅力を持つマシンが集まっている。
採点競技は審査員の好みや個性、当日の流れなども影響するため、地区大会で満点をとったチームが「最強」とは限らない。全国大会で一堂に会するロボットたちの、華やかなショーをご覧あれ!