ロボコン

「高専ロボコン2021全国大会」2年ぶりの国技館!【前編】

全ロボコニストのトライアンドエラーに最敬礼!

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2021年11月28日、無事に高専ロボコン2021が開催された。
10月に「オフライン開催、オンライン観戦」となった学生ロボコン同様、ぎりぎりまでオンライン開催の可能性もあった。しかし感染状況の落ち着きから「開催、観戦ともにオフライン」が決定、一般観覧も開放された。デバプラ取材班も健康状況や移動記録の管理を受けた上で現地取材に参加したぞ!

 

目次

  1. 開場
  2. 12:30開会式
  3. 競技ルールおさらい
  4. 全チーム競技紹介、まずは前半13校!

 

開場

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全体の入場者は人数制限のため、通年の2割前後といったところ。それでもリアル開催の熱気は強く、賑やかに感じる。開演前のトークでは、見どころとして「派手さはないが、よく見るとすごい技術が使われている」や「人を楽しませるショーとしての完成度が高い」など多様な採点基準があること、ルールの解釈が難しい中でも各チームが確かに「すごい」ロボットを完成させてきたことが紹介された。

 

12:30開会式

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拍手に包まれてチームが入場する。実況はお馴染みのこじるりこと小島瑠璃子さんと、浅井アナ、ゲストはカズレーザーさん。解説は2012年にロボコン大賞を受賞した、小山高専OBの和田さんだ。

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選手宣誓は大分高専。制限の多い中でも新しいロボコンの在り方を見せることを堂々と宣言した。

 

競技ルールおさらい

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最大3台のロボットが一辺6mの正方形フィールドの中で2分間パフォーマンスを披露する。10人の審査員が合計100点を満点としてロボットの完成度を評価する。審査ポイントは以下の通りだ。

1. チームがこだわった技術の難易度とその達成度(採点者5人、各25点満点)
A技術の難易度と独創性
B技術の達成度

2. ロボットのアイデアとパフォーマンスのすばらしさ(採点者5人、各25点満点)
Cロボット全体の完成度
Dパフォーマンスにおける表現力

技術採点は高専OBOGを中心に構成され、パフォーマンス採点は小学生ロボコニストも参加した。

 

全チーム競技紹介、まずは前半13校!

①仙台高等専門学校(名取):ディスクスナイパー

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動き回る「的ロボ」を自動追従して射抜く。見どころは螺旋状のディスク装填システムと精度だ。地区大会で不具合に泣いた悔しさを挽回したい。

競技スタート。静止した的への射出は成功したが、動く的の追尾中に装填トラブル発生。再装填ののち射出には成功した。動く的は外してしまったが、一番槍を披露して72.3点を獲得した。

②富山高等専門学校(本郷):ロボドッグラン

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地区大会で高得点を獲得していた富山。AIカメラを搭載した犬型の自動ロボットがフィールドを駆ける。本戦でも無事、ボールの追尾と回収、トレーナーへの運搬までのパフォーマンスを完遂した。実は前日のテストランでは、国技館の照明が強すぎてボールを認識できなかったという。国技館の映像を学習データとして開発チームに送り、一夜漬けで機械学習を済ませたらしい。すばらしいレジリエンスで83.3点を獲得した。

③秋田工業高等専門学校:白熱!クウェペナ

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ウガンダの遊び「クウェペナ」がモチーフだ。外野が内野を狙ってボールを投げ、内野はボールをよけながら落ちた棒を拾い集めるドッジボールに似たゲームらしい。秋田高専はそれを、外野の自動ロボットが内野の手動ロボットを狙う「手動対自動」のゲームにデザインした。

手動ロボットの動きや自動ロボットの追尾は順調だが、センサが国技館の照明で誤作動してボールを投げられない。ボール投げはできないまま競技が終わった。得点は71.0点に留まったがクウェペナの周知はばっちりだ。

④東京工業高等専門学校:TRICKSTAR

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箱状の「宝物」を2台のロボットが連携して運ぶ。「怪盗」が宝物を打ち出す軌道を自動で計算し、「運び屋」が計算結果を受け取って運搬の挙動を制御する。チームプレゼンも怪盗の予告風だ。

スタート!怪盗のスムーズな動きがかっこいい。途中までは順調に積み上がったが、4つ目の射出で積み上がった宝物が倒れかけてしまう……が、ここでチームメンバーの「神の手」が降臨して無事に積載が成功。魅せるショーで会場を沸かせ、87.7点を獲得。

⑤大分工業高等専門学校:The Great Penguin Show

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二輪で自律動作するロボット3台がペンギンショーを披露する。スタンバイ中のペンギンたちがお辞儀しているのも可愛い。

スタートは3台が立ち上がり、観客にご挨拶する。フィールドを走り回った後に30°の急傾斜な坂を登りきった。最後は2台で旗を広げるところ、1台が転倒してしまったため人間とペンギンで旗を持って完成。雰囲気あるショーで魅せて92.3点を獲得、暫定一位となった。

⑥大阪府立大学工業高等専門学校:機巧神コウダイオー

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すごいといえばかっこいい、ロボットといえば合体だ!チームメンバーの考える「かっこいいロボット」を追求したロボットで、操縦もコックピットで行う。記者の心に住む小学生が大喜びしている。

競技スタート!合体したロボットが「コウダイスラッシュ」で敵を切る。その後「コウダイウイング」で(多分)空を飛び、ロケットパンチで敵を撃つ。最後はタックルで敵に勝利した。ロマンたっぷりの演出で89.0点を獲得した。

⑦香川高等専門学校(高松):8246(ヤブサメ)

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馬と射手、2台のロボットで流鏑馬を披露する。射手の操縦はマスタースレーブ制御で、操縦者の動作に合わせた動きがかっこいい。射手の重量は20kgあり、馬は射手を落とさないように運んでいる。

競技スタート。まず、歩行と静止した状態での的あてに成功した。続いて地区大会では失敗した「動きながらの射出」にも挑戦、的は外したものの、最後は観覧席に手を振って(マスタースレーブ制御ならではの動き)パフォーマンスを終えた。94.7点を獲得、最高得点を更新した。

⑧石川工業高等専門学校:箸割観音

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「割り箸をきれいに割る観音様」がコンセプトのシュールなロボットだ。1つのモータの回転から機構を組み合わせて複数の動作を実現している。

競技スタート。神々しいBGMとともに観音様が後光から箸を受け取り、じわじわと、本当にじわじわと割る動作に会場が注目するが……割れない!

箸を割る前にタイムアップとなってしまったが、会場からのアツい要望で延長戦に入り、箸割りに成功。75.0点を獲得した。しかしフルで見せきれずに悔しそうな様子。

⑨徳山工業高等専門学校:一波万波(イッパバンパ)

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ドミノパフォーマンスは地区大会でもいくつかあったが、徳山は12列のドミノを一気に立て、倒し始めの1枚に収束させていく動作が見事だ。

競技スタート!気持ちいい音とともに、リンク機構やカム機構を組み合わせた機構でドミノが並んでいく。753個のドミノを順調に並べていったが…1分30秒を超えたあたりでドミノの一部が倒れてしまった。しかし残ったドミノはきっかり並べ終えて倒し、パフォーマンスを完遂して84.0点を獲得した。

⑩旭川工業高等専門学校:廻レ!機構雪花(ロボセッカ)!

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昇降機構のついた回転ロボットの中央で2つのコマが重なって周り、小さいコマに回転動力を供給する。昇降機構も無事動き、大きなロボットの先端で6つの小さいコマが回る。全てのコマを回し終え、2分の競技時間が終了!80.0点を獲得した。
とても美しかったが、何か悔しそうな様子……どうやら、地区大会後に追加した機能がうまく動かなかったらしい。コマ回しロボットがフィールドに雪を模した傘を撒く予定だったようだ。完成されたパフォーマンスを見てみたかった。

⑪沖縄工業高等専門学校:昇琉

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「ムチャなことをする」をコンセプトに、サッカーロボットを作った。シーサーをモチーフにした自動ロボットのリフティングは、超音波センサーとカメラでボールを検知している。テストランでは照明の強さに悩んだが、調整が間に合ったらしい。
ラストはキジムナーからのパスを獅子がオーバーヘッドでゴールさせるものだが……ジャンプできず!

81.3点を獲得。全ての動作は出せなかったが、前日がかなり苦しかったらしく「ここまで動けてよかった」とほっとしている様子も見せた。

⑫群馬工業高等専門学校:DOT

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「群馬の考える“すごい”は“シンプルなパワー”」というコンセプトの元、2台のロボットが巨大なだるまおとしを披露した。ギアチェンジ機構の縦回転ハンマーと、フライホイール機構の横回転ハンマーでぶん殴る。まずは横ハンマーで「ボン!」という音とともに段が抜けるが、だるまも倒れてしまった。2段目は成功!
競技時間をわずかに越えたが、勢いよく落下する縦ハンマーでも段抜きに成功した。シンプルな発想を実現するパワフルな機構や自作エンジンの技術力が評価され、86.0点を獲得した。

⑬広島商船高等専門学校:Project STACK

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3台の自動ロボットが連携して、破壊された建造物を再興する。破壊されたのは、やはり宮島の大鳥居だ。

自動機の足回りが速い!が、鳥居の骨を運ぶ最中に非常停止、リトライに入る。再スタートするも、パーツ運搬中にタイムアップとなってしまった。数ミリでもずれると崩れてしまうパーツを正確に乗せ、接触部の銅板で電流を供給して鳥居がライトアップされる仕組みになっていたらしい。

得点は71.7点、会場全体に惜しむ気配がある。フルのパフォーマンスを見てみたかった!

◆ ◆ ◆

ここまで各校の個性豊かなロボットが登場し盛り上がる国技館。後半13校については後編でレポートします。お楽しみに!

高専ロボコン2018解剖計画
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