泣いても笑っても最終戦。好カードの熱戦や推しチームの敗退に一喜一憂してきた高専ロボコンも、あと1戦で終わってしまう。……なんだか寂しい。
そんな寂しさを吹き飛ばすエキシビションが、決勝戦の前に披露された。
その名も「ボトル・フリップ・スウィング」。ブラスバンド演奏と、ロボットパフォーマンスのコラボレーションだ。ベルアップされた金管楽器が照明を反射して輝き、その光のなかを、華やかにボトルが舞う。ここでもひときわ目立ったのが、都城のトランポリン機構だ。「今度こそ!」と会場の期待を一身に集めるも、残念ながら成功には至らなかった……!
■決勝戦 一関工業高専vs函館工業高専
一関高専の応援団からは、「自分たちは応援しかできません、チームを信じています!」というコメント。函館高専応援団からは、熱いコールが送られた。
試合スタート!:いち早く、一関が5点テーブルを制する。一関は完全にVゴール狙いだ。函館も必死の追い上げ。ボトルを投げるが……立たない!
一関はほとんどミスがないように見える。凄みのある落ち着きを見せ、25秒でVゴール達成! チームの強みとしてきた「正確さ」で優勝を決めた! 大歓声とともに、金銀のテープがフィールドを舞った。
結果:マッチを積み重ねるにつれ調子を上げた一関が優勝。
一関 Vゴール25秒(12点)
函館 (2点)
函館高専は敗退しながらも、晴れやかな笑顔を見せた。「悔しさはありません」「ここまでこられただけで嬉しいです」という、晴れ晴れコメント。
閉会式 「アイデア倒れ賞」は納得のあのチーム。そして「ロボコン大賞」は……
閉会式では、柴山昌彦文部科学大臣による力強い挨拶の後、優勝チームである一関工業高専「一角」に優勝旗と表彰状、優勝杯が贈られた。
準優勝は函館「Café Rivage」。NHKから表彰状と準優勝杯が贈られた。
各章
優勝:一関工業高専「一角」
準優勝:函館工業高専「Café Rivage」
アイデア賞:広島商船高専「紫電☆一閃」
ペットボトルを思いもよらない方法で使うアイデア、大量得点を狙う強さが評価された。
技術賞:佐世保工業高専「火種」
自動機でボトルフリップする機構が評価された。
デザイン賞:和歌山工業高専「江楠マキナさん」
カフェというテーマとロボットの可能性を組み合わせた「合体するメイドさんロボ」というデザインが評価された。
アイデア倒れ賞:都城工業高専「曲鯨師!ホエール君!」
勝つためのロボットではなく、観る人を楽しませるロボットを完成させたことが評価された。会場全体が「納得と祝福」のムードになり、チームメンバーに涙が浮かぶ。(司会の小島瑠璃子さんは言うに及ばず、進行役の森田アナも涙ぐんでいる)。
ロボコン大賞:熊本高専八代キャンパス「Barista」
圧倒的得点力を持ちながら国技館のマモノに魅入られて最後の1点をキメられなかった……熊本八代!
八代メンバーコメント:
「嬉しすぎて、何を言ったら良いか分からない……」
「本当は優勝を狙いたかった。悔しかったので、こんな形で報われたことが嬉しい」
「嬉しいです!!!ここに立たせてもらっているのは、先輩方、ここに来てくださった方、地元で応援してくださっている方のおかげです。本当に感謝感激です、ありがとうございました!」
審査員特別賞
- 本田技研工業:広島商船高専「紫電☆一閃」
- マブチモーター:香川高専詫間キャンパス「Arch」
- 安川電機:国際高専「森の革命」
- 東京エレクトロン:福島工業高専「ベスト・ペット」
- 田中貴金属グループ:呉工業高専「Vic鳥」
- ローム:神戸市立工業高専「VICT(OO)N」
八代のロボコン大賞は、多くの人の予想通りだっただろう。準決勝までは大量得点、そしてそれ以降はVゴール狙い。その切り替えをシームレスにこなし、そして両方のモードで高い精度を出していた。同校の技術力に関しては以前から分かっていたことだが、記者は改めて驚愕した。大きな拍手を送りたい。
もちろん、各賞の受賞に至らなかったチームも、すべて個性的で完成度の高いマシンを仕上げてきていた。本大会に参加したすべての高専ロボコニストに「お疲れ様」と「おめでとう」を贈りたい。全国大会も地区大会も、会場全体が参加者の健闘ぶりに心を打たれるのは毎回のことだが、今年は特に、大きな拍手を送りたいと思ったのは、記者だけではないだろう。ハイレベルな課題を与えられ、それに真正面から取り組んで、ハイレベルなロボットを仕上げてきた参加チーム全てに、心からの賞賛を送りたい。
本日の様子は、NHK総合チャンネルにて「高専ロボコン特別番組」として放送される。
日時:12月24日10:05~10:59
今日の熱戦を平成最後のクリスマス・イブに楽しもう!