準決勝からは、勝利条件に「Vゴール」が追加される。試合時間中にすべてのテーブルにボトルを乗せれば、その時点で勝利確定だ。得点だけでは勝てなくなるルールに、各チームどう対応するか?
ロボットや戦略をプランニングをする側に立てば、かなりの負担になるルール設定と言えるだろう。Vゴールでの優勝を目指せば、得点力が落ちるかもしれない。そうなると、序盤を勝ち抜くことができない。一方で、得点だけでは、相手がVゴールをしないことを願うしかない。理想は得点力もVゴールの精度も、ということになるが、この両立はもちろん簡単なことではない。
準決勝は、チームどうしの駆け引きや、それぞれの粘り強さが見える試合となった。
■第1試合 一関工業高専vs香川高専高松
迷いのない戦法で大量得点を獲得し、勝ち進んできた2校の対決。一関には、公設の応援団がいるようだ(学ラン)。一方香川高松の応援席はノーマルなものだが、そのコメントは熱い。
試合スタート!:両チームともスピーディな出だし。一瞬高松が速いようにも見えるが、一関もすぐに追いついてくる。しかし、両チームともに、これまでの試合で見せた「ガンガン得点!」という雰囲気はない。開始20秒、一関の自動機がリトライに入ったタイミングで、高松が移動テーブルに向かった。高松、Vゴールを狙うか!? ……と思っていたら、55秒でリトライ! 高松のタイムペナルティ中に、リトライから復帰した一関がVゴールを決めた。
結果:目まぐるしい駆け引きを、一関が制した。
一関 Vゴール1分12秒 (12点)
香川高松 (13点)
地区大会で圧倒的な強さを見せた香川高専高松キャンパス、本戦では見ることが叶わなかったが、地区大会決勝での「21秒Vゴール」は(広島商船と並んで)今大会のベストタイムだ。
■第2試合 函館工業高専vs熊本高専八代
八代、試合前にVゴール宣言! たしかに、いままでの「大量得点モード」とはセッティングが違う。初チャレンジは吉と出るか凶と出るか?
試合スタート!:八代、やはり正確で動作も速い! 開始30秒で、5点テーブルを残したすべてのテーブルにボトルを乗せてしまった。……が、そこでリトライ! その後5点テーブルに乗せることができず、1分8秒ですべてのボトルを打ち尽くす。 八代チームが見守るなか、函館は初めて5点テーブルへのアタックが成功! 2段テーブル下段への大量得点が効き、獲得点数で函館が勝利!
結果:粘り強いアタックで函館が勝利。
函館 11 ○
熊本八代 9
熊本は、結果論だけで言えばVゴール狙いの戦法が裏目に出たかたちになる。しかし、優勝を目指すためには避けて通れない転換だった。その勇気に敬意を評し、惜しみない拍手が贈られた。