【エキシビション】
準決勝と決勝の間に、「敗退したがもう一度見たいチーム」を呼んだエキシビションマッチが開催される。ASIMOが再登場し、愛された2チームをコール。小山高専AのR2-D……宇宙飛行士と、都城高専のポッポちゃんだ。
都城はタオルのパタパタ、8本の自走式ハンガー、勢いよく広げるシーツと、全てのパフォーマンスを成功させる。会場が温かい応援に包まれた。小山は自動機がシーツ、手動機がTシャツを掛けたあとに、2機が合体! 自動機が手動機をリフトアップして、ロケットに乗った宇宙飛行士が、1.5mポールにタオルをかけた。
【決勝】
小山は90°ずつ回転しながらタオルを掛ける自動機が合理的で美しい、と感じる。
詫間は、一度は審査員判定で敗れたがワイルドカードで復活、高専ロボコニストなら知っている「強い詫間」を見せつけてくれている。会場は「両チーム満点からの審査員判定」ムード。
ゲーム直前、両チームの意気込みが語られた。
小山「全試合で満点をとっているのは詫間さんだけですが、一度も負けていないのは小山だけです!」
小山応援「去年は全国に行けなかった雪辱の思いを後輩が晴らしてくれて、この場に居られることが嬉しいです!」
香川詫間「地区大会・全国を通して全て満点なのは詫間だけなのでがんばります!」
香川詫間応援「10年ぶりの優勝目指して、頑張れ!」
セッティングタイムは淡々と進んだ。もう、ここまで来ると危なげがまるでない。
決勝戦、スタート! 手動機が回収ゾーンで妨害しあうようなかたちになっている。小山の手動機が、タオル回収時に引きずったように見えたが大丈夫か?
開始1分半、ほぼ同時にシーツかけ完了。タオルは小山のみ2往復する。その間に、一足早く詫間が満点を獲得した。小山は間に合うかヒヤヒヤさせられたが、試合終了直前に満点を獲得し、勝敗は(やはり)審査員判定に委ねられた。干し方のレイアウトも同じ。……人は、何を美しいと思うのだろうか?
そして審査員判定の結果は……、詫間が勝利! 金テープが打ち上げられ、10年ぶりの優勝を祝った。
赤:小山高専B 25
青:香川高専詫間 25
【各賞】
優勝:香川高専詫間キャンパス
準優勝:小山高専Bチーム
アイディア賞:都城高専
技術賞:熊本高専八代キャンパス
デザイン賞:大阪府立大学高専
アイディア倒れ賞:長野高専
ロボコン大賞:奈良高専
ロボコン大賞は「人間とロボットのみならず、自動ロボットどうしの美しい協調を見せてくれた」として、奈良高専に送られた。心の中で、深くうなずいた人も少なくないのではないか。
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こうして、高専ロボコン2019全国大会は幕を閉じた。この大会の模様は、12/29(日)午前10:05〜10:59、NHK総合で放送される。
スピード勝負でも対戦型でもなく、基準は「美しさ」。また布という柔らかいものを扱う。さらには自動機が必須。ロボットと人間の共同作業という要素も、ここしばらくは見ない内容だった。
そう考えると、チームメンバーはいろいろな意味で「試される」大会だったように思う。
にもかかわらず、「実質決勝」と思ってしまうマッチの連続に会場は沸き、観客たちはみな満足顔。多くのアイデアが人を驚嘆させ、感嘆させた。そこまでのロボットを開発した全ての参加者に、改めて拍手を送りたい。控えめに言って、パーフェクトだった。