2019年、初雪舞う東京での第2会ロボコン東日本交流会。熱く語った24時間。【前半戦】

東京で初雪が観測された2019年1月12日(土)。1泊2日の日程で『第2回 ロボコン東日本交流会』が東京・国際オリンピック記念青少年総合センターにて開催された。
参加したのは現役学生が23名、OBが14名の計37名。北は秋田県から南は山口県まで、ロボコンを盛り上げたいと思っている多くの若者が集まった。参加校は秋田、茨城、群馬、東京、石川、岐阜、明石、宇部の8校。2日間でのプレゼンは全10コマ。熱く繰り広げられた24時間をレポートする。

東日本交流会1-1

 

会場は若い熱気であふれていた
ロボコン東日本交流会 代表の平塚輝さん(秋田高専OB)よると、「プレゼンは最初は、そんなに数が集まらなかったのですが、締め切り間際にどっと増えました。積極的な人がプレゼンして、積極的な人が聞いていると感じます」と、意識の高い参加者が集まっていることを教えてくれた。
13:00、受付がスタート。

東日本交流会1-2

プログラムが始まるまで、2つの部屋で名刺の交換やロボコン雑談に花が咲いた。はじめて会う人同士でもすぐに打ち解けたよう。「ロボコン」という共通点があるので話題には事欠かないみたいだ。みんな、遠くから来たというのに疲れはまったく見えない。

東日本交流会1-3

東日本交流会1-4
参加者が全員揃ったところで、開会式がスタート。
平塚さんは「短い間ですか、楽しんで行ってください。おもいっきり勉強して行ってください」と挨拶した。
平塚さんは全ロボ(全国ロボット交流会)の幹事をやり、卒業後は東日本交流会を主宰。全国のロボコニストの教育に関わっている。「全国のかわいい後輩をおもいっきり育てよう」がコンセプトとのこと。
東日本交流会を開催することにした理由は、全ロボに行きたいけれど遠い、という東北・関東の人たちのためだという。そして、「僕が一番、込めた思いは、全ロボの継続と向上です」と語る。というのも、全ロボは学生によって運営されるため、幹事は毎年入れ替わる。そのため、開催における技術継承が難しいという欠点がある。失敗しても反省が活かされないし、反省を保存しておく場所がない。そこで「全ロボの基盤を作りたい」と考えたのだ。そのため各種交流会とも連携して継続的に全ロボを開催できるようにしようと計画。「交流会のノウハウを詰め込む場所を作ろう」ということから東日本交流会は誕生したという。
「みなさんが満足できるような交流会にして行くとともに、今後、ロボコンに関わる全ての学生に有意義なものでありたいと思います」と熱いメッセージを伝えた。

東日本交流会1-5

 

プレゼンテーターは〇〇
黒崎泰良さん(秋田高専OB)によるプレゼン。
交流会などで高専生がプレゼンする機会が増えてきた。しかし、高専生は人前で話したり、人と交流したりするのが苦手な傾向にあると黒崎さんは指摘。そのため、交流会での立ち回りと心がけについてを話した。「プレゼンターは○○」の〇〇は、「詐欺師」というのが結論。「目の前の人が言っていることは正解かもしれないが、それを判断するのは“あなた”だ。いっそ詐欺師と思え」とメッセージを伝えた。
「詐欺師」という視点が面白い。逆を言うと、プレゼンターは詐欺師のように上手くプレゼンをする必要がある、と改めて思った。

東日本交流会1-6

 

ガントチャートを用いたロボットのアイデア最適化
西崚太さん(群馬高専OB)によるプレゼン。
ガントチャートとは、プロジェクト管理や生産管理などで、工程管理に用いられる表の一種。作業計画を視覚的に表現するために用いられるものだ。このガントチャートを用いて、ロボットのアイデア最適化をするべきとの提案。
ロボットの制作では、具体的な作戦を立てることが重要。感覚でやっていてはダメと西さん。制作の工程管理はもちろん、試合時のスケジュールも管理すべきと話す。
みんな、工程管理はしっかりとやっていると思うが、ツールを活用し、深く考えて取り組む、というところまでやっていないかもしれない。ガントチャートに限らず便利なツールを活用するのは重要だと言える。

東日本交流会1-7

 

SOLIDWORKS 紹介
協賛企業特別講演 ソリッドワークス・ジャパン株式会社の柿沼直樹氏によるプレゼン。
ロボットを設計するために多くの高専生が活用している、3次元CAD設計ソフトウェア「SOLIDWORKS」。ここでは、その「SOLIDWORKS」の操作デモが行われた。「細かい操作を知っているだけで早くなる」と柿沼氏。みるみるうちに出来上がる図を見た会場からは「わ~」と感嘆の声が上がった。「こんな方法があるとは知らなかったでしょう」と柿沼氏はニヤリ。生徒たちからは熱い羨望の眼差しが注がれた。柿沼氏は「設計は面倒。でも、面倒だと思う気持ちが大事。どうすれば面倒でなくなるかを考えて欲しい」とアドバイスした。

東日本交流会1-8

 

SOLIDWORKSで作業効率化!
協賛企業特別講演 ソリッドワークス・ジャパン株式会社の湯瀬卓見氏によるプレゼン。
SOLIDWORKS の現場で基板設計するメリットとSOLIDWORKS のエレメカ連携を紹介した。そのなかでチーム設計では「設計環境」「コミュニケーション」「情報共有」の3つが必要と解説。冷蔵庫を例に基板の設計の方法を通じてデモを行った。「先のことを考えながら効率化することが大切。そうすると試作を作り直す必要がない」と湯瀬氏。こちらの話にも学生はみな、食い入るように話を聞いた。

東日本交流会1-9

 

KYしていますか?
いっしーさん(木更津高専OB)によるプレゼン。
KYとは、基本的な安全管理のこと。いっしーさんは「ロボコンが継続できているのは、大きな事故・ケガがないからだ」と指摘。ロボコンを続けて行くためには、安全意識が重要だと強調。安全に作業することはもちろん、何が問題かを考え、安全策を講じることが重要だと話した。安全対策の基本である「KYの考え方」「指差呼称の重要性」「簡易的な注意喚起」「仲間とのコミュニケーション」を解説した。特に、工作機械では安全に作業すること、自分の身は自分で守ることを呼びかけた。
機械を操作するとどこに危険があるのかわからない。うっかりミスが大事になってはタイヘン。安全管理の大切さを語るのは、OBならではの、後輩を思う気持ちの表れだ。

東日本交流会1-10

 

編入後のロボコン
矢作優知さん(群馬高専OB)によるプレゼン。
東京大学に編入し、Robot Techで活躍する矢作さんによる、大学に編入し、学生ロボコン・ABUロボコンに参加するまでの体験談。大会の内容やTVなどの放送からはわからない、編入後のロボコンのようすを高専と大学との違いを、自身の体験を許に紹介した。
特に矢作さんが参加したABUロボコンのプライベートな画像と動画は、みんな興味津々。「ロボコンしかやっていなと自信がない人でも、高専生は即戦力とみなされ、大学でやっていける」とのこと。大学に編入してロボコンを突き進む方法もあると紹介した。最後に「学生ロボコンはいいぞ」とのこと。
ロボコンを極めたい、と思うのなら大学に編入する、という方法もある。実際に編入して大学生活を過ごしている矢作さんならではの指摘。リアルなレポートはみんなの参考になったはず。

東日本交流会1-11

 

仲間と食べる夕食は格別!
プレゼンの間に夕食タイム。それぞれ、施設の食堂に移動し、仲間と共にご飯。

東日本交流会1-12

東日本交流会1-13
運営1年目の失敗
大屋悟士さん(群馬高専2年Bチームリーダー)によるプレゼン。
チームリーダーで経験した数多くの失敗といくつかの成功を元に運営についてプレゼンした。
現役生である大屋さんが、ロボコンのチームリーダーをやってみて、チームに必要なものは「コミュニケーション」だと思ったと話す。コミュニケーションがあるといいものが作れる。逆に、コミュニケーション不足になると、メンバーがいなくなる、情報共有もできなくなるとメリットと問題点を指摘。実は、大屋さんのチームは11人いたがコミュニケーション不足からメンバーが半分に減ってしまったというのだ。そのため新しくリーダーとなった大屋さんがやったこととして、「各メンバーのやりたいことをやってもらうようにし、自分自身はあまりタッチしないようにした。ただし、タスク管理はしっかりとやった」と発表した。
唯一の現役生のプレゼン。高専生なら共感するテーマだったに違いない。参加者各自のチームでもぜひ、コミュニケーションを大切にして欲しいものだ。

東日本交流会1-14

 

“私”が思う全国大会に出る方法
平安史門さん(沖縄高専OB)によるプレゼン。
経験談を交えつつ、平安さんが思う全国大会に出る方法を伝授。出るためには「アイデア決め」や「チーム意思の統一とモチベーションの維持」など、数々の要因があるとするが、ここでは、「他のチームとの差別化」を発表。他のチームを分析し、他のチームがどのようなマシンで大会に挑んでくるかを予測し、負けない方法を探すことが大切という。また、数々の要因のなかで最強なのは「強運」とのこと。
「全国大会に出る方法」とあってみんな興味津々。誰もが真剣にメモを取っていたのが印象的。通常は「自分達のロボットを作りたい」という想いだけで挑むもの。他校はどのようなロボットを作ってくるかと考えることも大切、というのは気づきを得たプレゼンだった。

東日本交流会1-15

 

フリー交流
平塚輝さん考案のゲーム「輪花繚乱JIGSAW」を開催。これは、ジグソー法と呼ばれる、異なった専門知識をもつ人物らを集め、1つの課題を解決するというシミュレーションゲーム。ここでのミッションは輪花繚乱を成功させること。参加者が5つのチームに分かれてマシンを完成させ、実際に戦うまでを再現して競った。

東日本交流会1-16

 

1日目が終了
とにかく、みんな若いだけあって元気。みんなで語り合うときはわいわいとしていても、プレゼンを聞くときは真面目で熱心。ロボコンに対する想いを感じることかできて印象的だった。
その後、参加者は宿泊施設に移り、各部屋へ。部屋でもみんな熱く語ったようだ。

2日目の【後半戦】に続く。

ebook_banner_580×230
大橋博之

インタビューライター・編集者・ディレクター。 インタビュー専門で執筆。 専門はwebメディア、未来、テクノロジー、ビジネス、カルチャー、クールジャパン界隈。最近は事例とか採用関係も。 書籍『Webライター入門』監修。 趣味は散歩・人物撮影。 カメラも使えるライターからドローンも使えるライターになるため、日々奮闘中。

https://www.garamon.jp.org

学生ロボコン2019出場ロボット解剖計画