ロボコン / 高専ロボコン2016

高専ロボコン2016全国大会 テストラン速報

高専ロボコン2016全国大会 テストラン速報

2016年11月19日土曜。明け方から降り始めた激しい雨はあがったものの、未だ暗雲が垂れ込め、時折風が強く吹き、黄金色に染まった銀杏の葉が歩道を覆っている。

……などという書き出しで煽るまでもなく、東京・両国国技館は、高専ロボコン2016全国大会を明日に控え、緊張感が高まっている。

11時にチームメンバーが会場入りし、準備、公式からの段取りの説明、抽選などを済ませ、14時過ぎ、テストランが始まった。本稿では、全校を網羅できずに恐縮ながら、この模様をお伝えする(ネタバレ注意!)。

テストラン1順目

各地区大会の結果はすでに報じられ、NHKでも放送があったため、チェック済みの方も多いだろう。デバプラTwitterのまとめによれば、上位の「成績」は下記のようになっている(積み上げた「砦」の高さ)。

1位:奈良・香川高松(240㎝)
3位:新居浜(200㎝)
4位:仙台名取(180㎝)
5位:北九州・明石(160㎝)
7位:佐世保・富山本郷・大分・舞鶴・松江(120㎝)

各地区大会が行われたのは、10月2日から30日にかけて。全国大会までは最低でもおよそ1.5ヶ月の期間がある。何かが変わるのに、充分とはいえないが、かといって短い時間でもない。成績が明日まででどう変化するかに注目したい。

同時に地元の名物をモチーフに使う「シンボル」や、ユニークな外装、コンセプトなどの部分でも毎年楽しませていただいている。これも本大会の大きな魅力であり、成績だけに目を奪われないようにしたいと思う。

テストラン1校目は、仙台名取。大きなアームを振り下げ、一度に8つのブロックを運ぶ。そのまま船に乗り、風力で新大陸側に進む仕様。スムーズな展開。さらにはそのまま砦にしてしまう、初手からゴージャスな出来。モチーフはこけし。

明石はスタートエリアでの調整に時間を費やす。船を使った架橋タイプ。

米子は吸盤で一度に2ブロックを持ち上げる。灯台は難なく成功させ、砦はひとつひとつ積み上げる。

奈良。昨年の優勝&ロボコン大賞のダブル受賞チームだ。やはり勝利のためのチームマネジメントを徹底しているのか、きびきびと声を出し合いながらセッティングを行う。砦用マシンは自ら架橋するタイプ。灯台側のマシンがスムーズ過ぎる。そしてそのまま砦用ブロックを持って、砦マシンが作った橋を渡る。砦のつくりかたは、最下段にブロックを足していく仕様。末広がりに少しずつ間隔が広がっていくブロックの並び方が美しい。その完成度、適応力は……間違いなく優勝候補。高く積み上がったブロックを安全に回収するためのシートまで用意されている。

富山本郷は、長いロッドを繰り出し、それを新大陸側にアンカリングし、船に乗せた本体を引っ張る仕組み。さらには新大陸マシンに砦状に配置したブロックを乗せ一気に立ち上げる、大胆な試み。アイデアがはじける。

大分の「烈覇」は、繰り出し式のレールを一気に新大陸までかける。レールの強度は低く、たわむが、それも計算のうち。スムーズに新大陸に渡り、砦を積み上げていた。そして……奈良、香川高松の記録を超える高さを目指す。記録更新もあり得る。

新居浜。スライドして伸びていくタイプの架橋型。この部分には何もアクチュエーターやバネ類はしこまれてない。この上を行き来するトコッロが、ブロックを運ぶ。シンプルに見える機体だが、地区大会での200cmという記録を持っている。この場でもやはり着実に砦を築いていた。スムーズな動作が美しい。意外にも重量はギリギリとのことだが、それも、「作ったらたまたまこうなった」ということのよう。

佐世保テストラン。3台のマシンを使用。砦用マシンは、スタートと同時に機体の高さがポップアップする。シンボルはカステラ。

福井。船を2台使う架橋。小山はブロックを新大陸に投げて運ぶワイルドなスタイル。射出型。鳥羽商船も小山と同じく「投げる」仕組みだが、こちらはおそらく雪かき用シャベルを使った投石機型。ブロックを豪快に……と思いきや、投げるのはアンカー(追記:ブロックも投げる)。これを巻き上げることで、機体を乗せた船を新大陸に引き寄せる。これはユニークなアイデアだ。さらには、新大陸マシンのブロックの掴み方もかなりのもの。「手」型の把持機構だ。これは会場が沸くに違いない。

金沢。灯台の台座に置かれた、レーザー加工された箱はなんのためのものか。金沢工業大学のコンテナもレーザー加工されていたように記憶しているが、北陸で流行っているのか。遠目にはフレームが重そうに見えたが、激しい肉抜きなど、重量制限に苦労した跡が伺える。通常のL字材は厚すぎるものが多く、薄い材で自作したという。シンボルが美しい。

松江は一見して「高く伸びる」ことがわかる機体。吸引機構がうなり、一気に10個のブロックを運ぶことができる。砦の積み上げは、その「伸びる」機構が上に積み上げる。海の渡りは、船に乗りファンの風力で進む。「子機」と呼びたくなる、ブロックの移動用マシンがかわいい。

苫小牧は水色の外装がかわいいロボット。アンカーを投げ、船を引き寄せるスタイル。

北九州・あばうたぁ〜ず。スタートと同時にブブブブ……とおそらく吸引機構のポンプが音を立てる。その部分の調整に苦労しているように見えたが、実は一度に12個のブロックを運べる豪腕。途中、マシンが横転しフレームが一瞬ゆがむ姿も見られたが、その後も問題無く動作している。地区大会より記録を伸ばしていると聞いたので期待したい。

旭川。やや調整に苦労していた印象か。島で手間取り、メンバーが「吠える」ような声も聞こえた。思わず心の中で「ガンバッテ!」と呟いてしまう記者。コントローラがオリジナルのもの。7セグLEDを付け、ロボットからのフィードバックを表示させるようになっている。クール。

舞鶴はなにやら黄色いテープが目立つ。記者は不勉強で知らなかったが、高専ロボコンの歴史の中では「見られた」アイデアのようで、モータにかかり、フレームの伸縮を行う機構だ。渡りは、畳んだ橋を一気に架けるタイプ。完全に独立した橋を架ける戦略は、ロボット2台ともに新大陸に渡りやすいというメリットがあるかもしれない。

産技荒川の新大陸マシンは、スタートから台船に乗った状態で、上部が船に乗り換える。そしてローラーの付いたアームを展開し、船の車輪を掴み、移動しようという魅力的なスタイルだ。うまくいけば、会場を沸かせるに違いない。

徳山は木製フレームに、板とも呼べるブロック置きスペースが動くスタイル。その動作も他にはないユニークなもの。機体の片側をステージの枠に乗り上げ、片側を船に乗せ、渡る。板に乗せたブロックを一気に立ち上げる砦づくり。これは……、魅力的。

木更津。長いロッドでブロックを運ぼうという意欲的なスタイル。そのモチーフは伊能忠敬ということで、「人型」ロボットでもある。外装やメンバーのヘルメットの装飾等々、高専ロボコンらしい遊び心が溢れている。機能的にはまったく必要の無いLEDの点滅も含めて、Lovely。

福島高専は、プチプチを付けたままテストランへ。3台のロボットで課題クリアを目指す。

テストランは佳境へ

テストラン1順目は、スムーズに進行した。

全体としては、各チームとも重量制限に苦しんでいるという声が聞こえてきた。関東甲信越の地区大会放送でも、その部分がフィーチャーされていた。

ちなみにひとつのブロックの重さは600グラム弱。複数を高い位置に積み上げると考えると、けして軽いとは言えない。これを扱うロボットは、フットプリントが四方1500mm以内、そして自重の制限は全ロボットを併せて40kg以下。工夫のしがいがある制限と言えるだろう。

現在のところ、軽量化のために「ボールネジを樹脂で自作した」チームがあるという情報も入っている。……マジか。

この後、テストラン2順目、おそらく対戦形式のテストランも行われるだろう。デバプラ編集部は、引き続き取材を行っていく。

 

高専ロボコン2018解剖計画
Device Plus 編集部

エレクトロニクスやメカトロニクスを愛するみなさんに、深く愛されるサイトを目指してDevice Plusを運営中。

https://deviceplus.jp