※本記事作成にあたり暖かく出迎えてくれた方々、また被災された方々全員に心よりお見舞い申し上げます。一刻も早く、日常が回復することをお祈り申し上げます。
初日に続いて、高専ロボコン・九州沖縄地区交流会のレポートをお届けする。
起床は朝6時半。快晴、そして気温はおそらく氷点下。大気の状態が不安定で、予報ではこの後少々荒れる見込となっている。各自の清掃、施設のすべての利用者が交流する「朝のつどい」、朝食を済ませ、参加者は講堂へ集合。午前中は、実機のデモを行う。
持ち込まれたロボットは、以下の通り。
- 北九州・Wanna Be(ワナビー)
- 八代・Challenger(チャレンジャー)
- 大分・Golgoole(グルグール)の「グルグル」する機構部分
- 大分・跳べ!ライオン君!!(2013年大会デザイン賞受賞機)
- 八代・本気(マジ)の宅配便(2014年大会優勝機)のミニVer.
実機デモ 北九州・ワナビー
まずはワナビーの説明から。マイクを持つのは、前日の発表に続き花守 拓樹さんだ。記者が気になったのは、通称「おしりかじり虫」部分。機体下部・後方に付き出した2本の「アンテナ」で、この部分をフィールドのフェンスに接触させ、位置と向きを決めていた。しかし、この機構が完璧に動作せず、若干の機体の傾きがあったタイミングで、鉄壁の防御に穴ができてしまったという。
また、花守さんは、しばらくNHKの放送の自分が映っている部分を見ることができなかったとのこと。悔しさがにじみ出る。その強い思いこそが、大会での大活躍、そして先々につながっていくのだろう。
八代・チャレンジャー
実機に搭載したSuface Pro 2 によるポール認識システムの実際が見られた。また、記者の私見では最上級に美しい装填・射出システムを、外装を取り払った状態で見られたのもうれしい。もちろんジャクソン・ポロック風の外装も、極めて美しいのだが。
ORIZURU(再)
東北交流会に続いて、われわれもORIZURUのデモを行わせていただいた。また、ロームの「センサ評価キット」の紹介も少しだけ。どちらも興味を持っていただいたようで、うれしい限り。
ライオン君・マジ宅(ミニ)・グルグール(のアーム)
恥ずかしながら、記者は初めてライオン君をナマで見た。結果、衝撃。歩行・ジャンプ機能のイカツさもさることながら、体じゅうに設置したセンサによる非接触操作(ライオンをなでる、というコンセプト)が超クール。
東北交流会でもその技術力を見せつけたマジ宅ミニのデモは、今回もため息モノの動作。動画をご覧いただければ、その理由がわかるだろう。
グルグールは、回転部に奢られた2台のマクソンがまぶしい。
ワナビー vs チャレンジャー!
地区大会決勝カードを、デモとして実施。急造のフィールドや少ない準備時間などの悪条件が重なるなか、両者とも輪をかけまくり。さすが。
この対戦を盛り上げたのは、こちらも急造の解説席。↓↓ OB、言いたい放題!
ドッジボール!……!?!!!!
昼食の後、参加者は体育館に集合……、のはずが、予報通りの天候不順(ひょうが降った!)により、急遽講堂に場所変更。体育館はサッカークラブなどが利用する、ということのようだ。
そして何をするかと言えば、ドッジボール。キタコレ。↓
まあまあ重いゴム製のボール、成人の筋力、そして体育館よりはずいぶん狭い講堂……。記者にはもろもろかなりのリスクが感じられるが、果たして?
……しかし、高専生にとってはまったく問題なかったらしい。半袖短パンで準備万端の人、「テストラン」という名の準備運動の時間からはりきる人、はたまた「首より上のヒットは無効」というルールに対して、「首を地面に付けて寝てたら無敵になるんじゃね?」とロボコニストらしくルールにつっこむ人などなど、みなそれぞれに楽しんでいたようだ。
そして、デバプラ編集部は離脱 後を任せるのは……
実はデバプラ編集部、諸事情によりこの2日目で帰京しなければならない。大変に申し訳無し。
この後の様子は、ムリを言って、北九州高専OBかつ論文まもる君(の片割れ)である、酒井文也さんにレポートしていただく!
どうも、論文まもるくんこと、酒井です。泣く泣く阿蘇を後にされ東京へと戻られたデバプラ編集部さんに変わって、ざっくりかつ写真が少なめながら、私が交流会のその後をレポートしたいと思います。
ドッジボール! の続き
さて、レクリエーションのドッジボール、迎えた決勝戦。なんとここでロボコン界のダークサイド・花守さんによる実況が始まりました。やはりここでも、そのマイクパフォーマンスの才能が発揮されます。
優勝したのは「回路2」チーム!
決勝戦後、賞品の贈呈が行われました。このレクリエーション、なんとOBが持ち寄ったお土産の争奪戦を兼ねていたのです。
トーナメント戦であるため、当然ながら同じ順位のチームが存在します。最終的に順位を決める方法は……
じゃーんけーんぽーーん!!
こうして、なんだかんだと全チームにお土産が行き渡ったようです。
OBプレゼン
19:00、交流会2日目の夜の部がスタート。
ここでついに、この交流会でのメインイベントのひとつである「OBプレゼン」が幕を開けます。
これは「高専ロボコン東北地区交流会」と同様、OBがさまざまなテーマで個別に発表&質疑応答をする時間です。今回は6つの発表スペースが設置され、8人のOBたちが時間ごとに入れ替わりながら発表をしていくスタイルです。
私(酒井)も当然、この発表をするわけでしたが……なにしろ、スライドの作成を始めたのが交流会の4日前。現地でもこっそり準備を進め、なんとか間に合ったのでした(笑)。
私の発表タイトルは「卒業後の“ものづくり”~論文まもるくんから見えてきたもの~」。ご存知「論文まもるくん」の実演を交え、近年のファブリケーション・シーン(?)の話などをからめながら、ゆる~いものづくりの世界をご紹介。ロボコンにはほとんど役に立たない話でしたが、大勢の方に聞いていただけてありがたいかぎり(次は役立つテーマを探してきます……)。
私のことはともかく、現役学生のみならずOBからも注目を集めていたのがこちら↑↑、熊本高専八代キャンパスOBの藤原晋也さんによる発表。タイトルは「マネジメントもクリエイティブな役割」。
高専の本科を卒業後、専攻科生としてロボコン部のコーチを務めた経験から、チーム運営や後輩育成のノウハウなどを惜しげもなく語っていました。マネジメントにも工夫や改善の余地は沢山あり、クリエイティブさが求められるそう。これは私も現役時代に聞いておきたかったお話でした。
他にも、ロボコン2013「跳べ!ライオン君!!」の伴走者でお馴染み、大分高専OBの梶原悠吾さんの発表テーマは「魔物を考える~主に無線のはなし~」。
大会で無線管理が行われていた頃の話から、近年の状況をふまえ考えておくべきことまで、魔物の正体に迫るディープな内容でした。
東北地区・一関高専OBの山本開さんは、なんとSkype越し↓↓でプレゼンに参加。
テーマは「高専ロボコンで勝てるチーム・全国大会に安定して出場できるチームとは(100%主観的意見による)」。
モニター経由という環境でありながらも、たくさんの現役生が熱心に聞き入っていました。
このほか、タイトルだけ並べると、
- 「ロボコニストだから身につけておきたいバージョン管理術」(鳥羽商船高専OB 中村矩揮さん)
- 「”今の専門”にとらわれない進路選択」(北九州高専OB 枝本雅史さん)
- 「ロボコニストの知らない橋梁の世界」(熊本高専(八代)OB 礒道晃智さん)
- 「ソフトウェア構造設計の基礎」(鈴鹿高専OB 谷島康伸さん)
というラインナップ。
私はほとんどの時間が発表側であったため、あまり聞けておらず、残念過ぎます。
3日目 最終日! 「分割会議」その2
そして最終日、3日目を迎えます。
2日目の朝と同様に、6:30起床。清々しいです。しかし、終わりの時間は刻一刻と近づいてきます。
8:50。今回の分割会議のテーマは、技術系の話題のみならず、幅広いテーマが話されました。
部室の片付けについて、イベント出張に関すること、女子部員を勧誘する方法(!?)、交流会の運営に関すること、等々。
中でも私が気になったテーマは、「分割会議をお通夜にしない方法」。
※お通夜…会話が盛り上がらず、場の雰囲気が沈み込んでしまう様子。
しかしながら、そのテーマで話をしていたのは、ダークサイド・花守さんをはじめ、「君たちがいればお通夜にはならんだろ!」というキャラクターを持った、言わば「盛り上げ隊」の人々だったのです。なにか、社会のゆがみを感じます(笑)。
このあとお昼ごはんを食べ、今年の交流会は閉幕。
楽しい時間はあっという間に過ぎ去ってしまったのでした。
◆
3日間という限られた時間の中で、現役のみなさんはどれだけのものを得ることができたでしょう?
まもなく、高専ロボコンの新しいルールが発表されます。この交流会でたくさんの刺激を受けた九州沖縄地区のロボコニストの皆さんが、今後のロボコンで活躍されることを期待しています!!
……酒井さん、ありがとうございました!
その言葉通り、編集部も刺激を受けた。その発言や強い意志でリーダーシップを発揮する人、ひたすら技術を極める人、目立つ人を影で支える人、大いなる野望を秘める人、良く楽しんでいる人……等々、いろいろな人がいて、皆が輝いているように見えた。眩しい。
今回招いていただいたOBのみなさん、幹事、世話役の方々、もちろん参加者のみなさんに感謝したい。九州沖縄地区、そしてその他の地区のみなさんも、またよろしくお願いします!
■関連リンク
前編:高専ロボコン九州・沖縄地区交流会レポート1日目〜阿蘇の大地に抱かれて編
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