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RoboMaster 2019 FUKUOKA NIWAKAが見た景色と、その先の景色(後編)

RoboMaster 2019に日本から唯一参加したFUKUOKA NIWAKA。この3日目が、勝負どころ。

→前編はこちら:RoboMaster2019 FUKUOKA NIWAKAが見た景色と、その先の景色(前編)

8/4 国際予選3日目 RoboMaster中国本戦という舞台に手を伸ばす

ここからは、ベスト4、つまり本大会出場権を得るための戦いに入っていく。

対イリノイ大学・浙江大学合同チーム

3日目の初戦は、UIUC、イリノイ大学と浙江大学の合同チームのようだ。これまでの戦績的には、NIWAKA有利。特に42ミリ弾の取得に関しては平均2.4対10.7と圧倒的。

ファーストラウンド開始。ここからは1試合3ラウンド制になる。

やはりエンジニアの42ミリ取得が早いNIWAKA。前日まで若干の不安があったこの作業だが、3日目に入って、改善したように見える。この間、イリノイも妨害に入るが、NIWAKA歩兵がきっちりと守る。

そしてNIWAKAが敵陣突入! 決定的なダメージを与えるには至らなかったものの、攻める動きを見せてくれたことに、ニコ生実況席の池澤あやかさんも沸く。

途中、ヒーローとエンジニアが絡まってしまうトラブルもあったがこれを乗り越え、終始押し気味に展開。残り1分、相手哨兵を落とし基地の装甲オープン、ヒーローが100ポイントずつ削り、終了。イリノイ基地HPは1600。ファーストラウンドを取った。

試合終了後、NIWAKAオペレーターたちはすぐさま立ち上がり、保護めがねを掛け、ロボットへ向かう。その、勝ちへの集中度を感じる光景だ。

セカンドラウンド、開始5秒でピンチ。

段差を越えるのに失敗し、NIWAKAエンジニアが転倒してしまう。これは大きい。NIWAKAチームは、特にエンジニアに力を入れて開発を進めてきた。転倒から起き上がる装置を備えているのだが、転倒した向きが悪く、これも機能しない。さらに、直後にNIWAKA歩兵が1台ダウン。残るは42ミリが撃てないヒーロー、歩兵2、そしてドローン。

受け身にならざるを得ない、と思えた状況だが、ここで歩兵2機が敵陣基地へ突入! 釣られた相手歩兵を囲んで撃退した後、相手基地にダメージを入れる! これは素晴らしいコンビネーション。判断とスピードで、ピンチを有利に変えてしまった。

とは言え、イリノイ基地HPは1960。削れたのは40。守り切らなければならないが、かなり難しい。わずかなアドバンテージだ。

基地に迫る、数的優位を持ったイリノイ。必死に守るNIWAKA。マシンも激しくぶつかり合う。

残り1分半、ついにイリノイの攻撃が基地を捉える。NIWAKA基地のHP、1950。抜かれた。このままでは負ける。

しかし、このNIWAKA陣で起こっていた激しい戦いとは別に、もうひとつ、重大な出来事が起こっていた。それは、イリノイ哨兵のダウン。つまり、イリノイ基地の装甲が開いた。

かなり気づきにくかったが、イリノイ哨兵の通信がダウンし、HPが静かに削られていた(NIWAKA歩兵が自陣混戦を抜け出し攻撃していた、という説もあったが、技術トラブルからオフラインになったことが正解のようだ)。

実況席も、おそらく中継を見ていた人も、この出来事に気づいていなかった。しかし、NIWAKAパイロットは、気づいていた。すぐさま歩兵が敵陣に切り込み、相手基地に迫る。1800、1500、900……。みるみる減るイリノイ基地HP。

負けた、と思ったところから機会を見いだし、そしてそれを成功してのけたFUKUOKA NIWAKAのパイロット。この冷静さ、気づき、判断、連携に、拍手を送りたい。

この劇的な勝利で、2ラウンド先取となり、勝利。中国本戦への出場に一歩近づいた。

対香港科学技術大学

RoboMasterのトーナメントは、いわゆるダブルエリミネーション。2回敗北すると、真の敗北となる。

香港科学技術大学は、2018大会の国際予選で当たり、NIWAKAが負けたチーム。強豪、と言っていいだろう。実際、ここまで勝率10割。平均撃破数を見ると、香港科技3.1、NIWAKA1.5と約倍。さらにドローンが有効打を放っているのも気になるところだ。

ファーストラウンド開始、これまで常にエンジニアの動きでリードしていたNIWAKAだが、香港科技の展開に遅れを取る。

ヒーローへの42ミリ受け渡しを試みるも、すでに香港科技ロボットがNIWAKA陣になだれ込む。早々の撃ち合い。NIWAKA哨兵もHPを削られる。

5分を残して哨兵ダウン、NIWAKA基地がオープン。香港科技の怒濤の攻撃、という景色。給弾に戻る「波」の引きはあるものの、まさに波状。引くタイミングと攻撃のタイミングが交互に訪れ、NIWAKA基地のHPは確実に削られていく。ドローンの攻撃も有効。3度目の攻撃で、勝負あった。反撃不能。基地HPゼロ。

初手のエンジニアの給弾スピード、精度。そしてスタートダッシュ。これで一気に決められた感がある。

セカンドラウンド。怒濤の攻撃をしのげるか。

今回も、先に42ミリの受け渡しを成功したのは香港科技。そしてNIWAKA陣に突入しての乱打戦。……思わず乱打戦と書いたが、しかし、確実にバンカーなどの有利なポジションを押さえるなど、香港科技の攻めはマネジメントされている。

ファーストブラッドは香港科技が取る。NIWAKAヒーローが停止。第一波から、ダメージが大きい。そしてそのまま、哨兵ダウン。立て直しの機会を与えられぬまま、しかし決死の覚悟で相手陣に回りこむNIWAKA歩兵。しかし勝負あった。ヒーローだけでなく、歩兵やドローンでも大ダメージを与えてくる香港科技の攻めに、為す術がなかった。

香港科技が相手に与えたダメージは4000オーバー。対してNIWAKAは887。苦しい戦いだった、としか言いようがない。

去年のマッチでは、互角、と思える戦いだった両チーム。しかし、その進化のスピードの差を感じてしまう展開だった、と言えるかもしれない。

これでNIWAKAは背水の陣。次のマッチで負けると、中国本大会に届かず、国際予選での敗退となってしまう。

対上海理工大学

試合前のレーディングでは、★5個中、NIWAKA3、上海理工2.5。きわどい。

ファーストラウンドは混戦だった。

42ミリ給弾はスムーズだったが、直後に歩兵がオーバーヒート。大幅に戦力ダウンとなってしまう。攻めまくる上海理工、守るNIWAKA。相手ヒーローを追い詰めるも、仕留めきれない。

一進一退の与ダメージ勝負。ここから抜け出したのは、地力に勝るNIWAKA。歩兵の活躍でダメージを稼ぎ、引き離す。

しかし上海理工はドローンがうなりをあげ、NIWAKA基地への攻撃。もしこれで少しでも基地HPが減れば、負けてしまう!

しかし、NIWAKAも冷静だった。隙を見て相手基地に迫り、基地に40ダメージ。これが決定打となり、まずはファーストラウンドを取った。

セカンドラウンドも、やはり一進一退の展開。

撃ち合いはNIWAKA陣で行われることが多く、与ダメージはNIWAKA有利。しかし、決定的とは言えない。何度かNIWAKAも敵陣に迫るが、攻めきれない。NIWAKAは手堅い攻め、上海理工は攻め気。

隙を突いたのは、上海理工だった。歩兵が橋の上に陣取り、基地にダメージを与えることに成功。残り30秒、HP1860。これが決定的。相手歩兵の展開を許してしまい、妨害に回ることができなかった。これで1−1。

サードラウンド、これこそ本当の勝負どころ。実況やニコ生のコメントも力が入る。

試合開始、チラと映るパイロット達の顔からは何もうかがえないが、おそらく、目の前の試合に極度に集中しているのだろう。

初手、NIWAKAはいつもどおりエンジニアが給弾へ、そして歩兵1台が相手エンジニアの妨害へ。

上海理工は引き気味だったが、ほどなく全機突入。ここで受け身にならざるを得ないNIWAKA。NIWAKA陣内で、お互いに17ミリ弾で削り合う展開。

ファーストブラッドは上海理工、NIWAKAのヒーローを倒した。残り4分。

混戦から抜け出したNIWAKA歩兵が、相手基地を削る。1900、1800……とかなりの有効打。上海理工も当然基地への攻撃を繰り返し、さらにNIWAKA哨兵を狙う。哨兵ピンチ。自動制御のはずだが、動けない。残り2分の段階で、哨兵がダウン、基地装甲がオープン。

守り切れるか? 守ってくれ!

……と誰もが強く思ったはず。しかし、装甲が開いた基地は、脆かった。迫る上海理工歩兵、連打。モニターに、叫びながらトリガーを引く上海理工パイロットが映る。

残り40秒、NIWAKA基地ダウン。

これで、FUKUOKA NIWAKAの国際予選での敗退が決まった。中国本戦へは、手が届かなかった。

敗北、そしてその後

前述の通り、RoboMaster 2019の勝者は中国・東北大学。

このレベルの強豪校は、各パイロットは統制の取れた動きをとりながら、きっちりとしたマネジメントで勝ち進む。サッカーやゲームでいうところの連携も取れ、有利なポジションを確保する、相手の視界から消えて「裏」を取る、孤立しない、逆につり出して孤立させてからクロスファイアを浴びせる、味方の危険なロボットを守って窮地から脱出させる……等々の、チームプレイが徹底している。

もちろん技術的にも、国際予選ではほとんどなかった「ボーナス」のチャレンジを易々と成功させる……、ということは自動照準・自動射撃のシステムを高精度で作り上げるなど、ため息が漏れる仕上がりだ。東北大学のドローンは、その精度+ボーナスの力で、単体で装甲オープンしていない基地を落とすだけの攻撃力があった。ルール設定時の想定を超えた、異次元の出来、と言っていいだろう。

国際予選も含め、全体を通してみても、やはり、レベルがかなり上がっている印象を受ける。FUKUOKA NIWAKAも大幅な進化を遂げた1年だったが、壁は高かった。

とは言え、メンバーは落胆しすぎることもなく、その後のハイレベルな中国本戦観戦やニコ生での解説役、各チームとの交流、深セン視察etc. を充分に楽しんだようだ。再びこの景色を見に戻ってくるという、前向きな意志が感じられた。何より、実際にこのプロジェクトに参加し、戦い、そして手が届かなかった景色を自らの目で見ることで、今後につながる多くのものを得たことだろう(正直に言って記者は少し羨ましい。いや、かなり)。

この1年の取り組み、そしてこの数日間をいかに戦ったかは、後日、さらに詳細にレポートするつもりだ。恐縮ながら、少々お待ちいただきたい。

robomaster-ファーストステップがいど
Device Plus 編集部

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