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日本のRoboMasterの歴史的転換点になるか!? 「RoboMaster 2019 Japan Summer Camp in 北九州」完全レポート!(第2日目)

2019年8月28日から30日までの3日間、北九州で開催された「RoboMaster 2019 Summer Camp in 北九州」。全国のRoboMaster競技者が集まって、対戦や技術交流会を行うという日本初のイベント2日目、いよいよ本気の戦いが始まった。その白熱の模様をレポートしよう。

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写真提供:RoboMaster日本委員会

第2日目・8月29日(木) 波乱万丈の本戦スタート。ジャイアント・キリングはあるか!?

9:00・準備/車検

2日目朝。初日ほどではないが、まだ小雨が降る中、会場である西日本工業大学・地域連携センターには続々と人が集まっていた。初日を経験したからか、緊張感に包まれながらも、みんなどこか落ち着いた雰囲気を感じさせた。それ以上に驚かされたのは、各チームとも昨日に比べ圧倒的に手際が良くなっていることだ。

テストランでは1台しか動かせなかった「NAGOYA SHACHIHOKO」や「Setouchi Salamander」が、本戦の今日、2台揃えてきたのである。彼らに限らず、どのチームも昨日より確実に進化しているのが見て取れる。たった1日だけど貴重な経験を積んだ参加者たちは、大きく成長したのだ。この後の戦いが非常に楽しみになってきた。

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緊張感が漲る中で、昨日よりもはるかに落ち着いた印象が。

9:30・予選リーグ戦スタート
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「蝦夷羆」対「OOEDO SAMURAI」から、予選リーグの火ぶたが切って落とされた。

ついに予選リーグが始まった。予選リーグは1ラウンド5分の試合を2回行う(この方式を「BO2」と言う)。勝利で勝ち点3、引き分けで勝ち点1が与えられ、3試合の勝ち点合計で順位を決める。セッティングおよびインターバルは3分。ここで全ての試合は紹介できないので、まず結果を紹介する。

<1回戦>
● 蝦夷羆 0-2 OOEDO SAMURAI ○
● NAGOYA SHACHIHOKO 0-2 Scramble ○
○ OSAKA TAKOYAKI 棄権 FUKUOKA NIWAKA葵 ●
● Setouchi Salamander 0-2 FUKUOKA NIWAKA杠 ○

<2回戦>
△ FUKUOKA NIWAKA葵 1-1 蝦夷羆 △
○ FUKUOKA NIWAKA杠 2-0 NAGOYA SHACHIHOKO ●
● OOEDO SAMURAI 0-2 OSAKA TAKOYAKI ○
○ Scramble 2-0 Setouchi Salamander ●

<3回戦>
● FUKUOKA NIWAKA葵 0-2 OOEDO SAMURAI ○
○ FUKUOKA NIWAKA杠 2-0 Scramble ●
● 蝦夷羆 0-2 OSAKA TAKOYAKI ○
△ NAGOYA SHACHIHOKO 1-1 Setouchi Salamander △

リーグ戦結果
<グループA>
1:OSAKA TAKOYAKI(勝ち点9)
2:OOEDO SAMURAI(勝ち点6)
3:FUKUOKA NIWAKA葵(勝ち点1)
3:蝦夷羆(勝ち点1)

<グループB>
1:FUKUOKA NIWAKA杠(勝ち点9)
2:Scramble(勝ち点6)
3:NAGOYA SHACHIHOKO(勝ち点1)
3:Setouchi Salamander(勝ち点1)

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激戦で傷んでしまったロボット。想定外のことが続発する。

強い者が必ず勝つわけではない、勝負のあやの面白さを見た

予選リーグでは「FUKUOKA NIWAKA杠」が前評判通りの強さを見せつけ、全勝で通過した。
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予選リーグでは、圧倒的な強さを見せつけた「FUKUOKA NIWAKA杠」チーム。

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「杠」のオペレーションブース。非常にシステマティックに動いている。

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「Setouchi Salamander」チーム。何とロボット2台で参戦できるまでに、急成長!

一方、もうひとつのFUKUOKA NIWAKAからの出場チームである「葵」は、未経験者が中心だっただけに、思うような結果が出せなかったようだ。 上地キャプテンが「昨日のテストランで、勝ったもののいろいろトラブルがあって、そこを十分に解決できなかった・・・」と苦渋に満ちた表情で語った。快調そうなテストランの裏では、大きな問題を抱えていたようだ。1回戦の「OSAKA TAKOYAKI」戦を棄権して、敢えて2回戦からの勝利を目指した。しかし2回戦では1台がホイール脱落。何とか引き分けに持ち込むのがやっと・・・。
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フィールドに落ちた「FUKUOKA NIWAKA葵」チームのメカナムホイール。

そして3回戦の相手は、「OOEDO SAMURAI」。人も作業も間に合わず、他チームや運営の助けを借りながら歩兵ロボット1台だけでこの日のリーグ戦を戦っている。しかし、これが意外にも大健闘で、ここまで1勝1敗の勝ち点3。歩兵ロボ2台のエントリーを持ち、初戦、第2戦の雪辱に燃える「葵」が相手。記者は失礼ながら「葵の勝ちだな」と半ば決めつけていた。だが・・・

結論は、「OOEDO SAMURAI」の勝利。

結局、「FUKUOKA NIWAKA葵」の足回りの不調は最後まで解消されず、対戦中に1台のホイールがまたもや脱落して動けず、残った1台も動きがままならない様子で、結局、撃ち負けた。「葵」にとっては、非常に悔しい大会になっただろう。

「FUKUOKA NIWAKA葵」には誠に申し訳ないが、今回の予選リーグで最も印象的な試合だった。

敗戦、失敗から学ぶことの大切さ

もうひとつ、記者が興味をもった試合がある。3回戦の「蝦夷羆(EZO KAMUY)」と「OSAKA TAKOYAKI」だ。「蝦夷羆」は1台だけのエントリー。「OSAKA TAKOYAKI」相手に必死に頑張っていたが、最終的にホイールの車軸が破断し、敗戦となってしまった。

「車軸は3Dプリンターを使い積層構造で作ったのですが、ミスをして同心円状にしてしまい圧力が弱くなってしまいました。ジグザクにしておけば・・・。でも、それがわかっただけで収穫です。」
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3Dプリンターで作った部品の強度不足を実感した「蝦夷羆」チーム。こういう経験が、チームを強くする。

数チームを除き、今回集まったチームのほとんどが実戦は初めて。試行錯誤しながらの競技だったと思うが、1戦毎に得られる経験値は途方もなく大きいようだ。それは昨日と今日を比べただけでも明らか。これからキャンプを重ねていくことで、みんなどんどんノウハウを蓄積し、日本全体のレベルアップが図れるに違いない。

DJIジャパンの陳明さんからお話しを伺う

予選リーグの最中、記者に話しかけてくれる方がいた。RoboMaster世界大会を主催するDJIの日本法人から、このサマーキャンプに運営スタッフとして参加していた陳明さんだ。

「初めての大会なので大変でしたが、各チームとも、ちゃんと対戦できるようになったのは凄いですね。ほとんどのチームがロボットを動かせていますし、まだ戦術とまではいえないまでも、しっかり考えながらやっています。このサマーキャンプ、11月のウィンターキャンプ、そして来年3月の地区大会と、少しずつみなさんの力が上がっていけばいいなと思います。」と、陳さん自身もみんなの成長を肌で感じ、楽しみにしているようだった。
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DJIジャパンの陳明さん。日本のロボマスをしっかりと見守ってくださるとっても優しい方だった。

陳明さんにお話しを伺っている間に予選リーグも終了し、各グループ上位2チームによる決勝トーナメントの対戦も決まった。

準決勝第1試合は・・・
OSAKA TAKOYAKI 対 Scramble
第2試合は・・・
FUKUOKA NIWAKA葵 対 FUKUOKA NIWAKA杠

「えっ、OOEDO SAMURAIは?」と思った方もいるだろう。実は先にも書いた通り、「OOEDO SAMURAI」は他チームの協力を得ての勝利。従って「勝っても決勝は辞退する」という方針だったらしい。そこで代わりに「FUKUOKA NIWAKA葵」が決勝トーナメントに臨むことになった。よくよく見れば関西ダービーと福岡ダービーという、手の内を知る者同士の準決勝となった。

予選リーグ敗退チーム、敗戦の弁

ここで惜しくも予選リーグ敗退となった4チームの話を聞いてみた。敗退したものの、どのチームも非常に晴れ晴れとした、よい表情をしていたのが印象的だった。

●OOEDO SAMURAI
最後のメンバーが到着したのが、1時間前!(笑) そんな中で他のチームのみなさんの力を借りての出場でした。いろいろ助けていただいている中で、「なるほど、こうすればいいのか」とか、「次は自分たちで行けるんじゃないか」とわかったのが大きいです。希望が見えてきました。

●Setouchi Salamander
プログラマーが昨日の1時、やっと来まして(笑)。それから、ほぼ徹夜です。結成2週間でここまでこれたのは、予想以上でした。砲塔が思うように動かないとか、いろいろ問題がありましたが、2台エントリーできてよかったです。いい勉強になりました。

●NAGOYA SHACHIHOKO
もともと勉強しにきた感じなので、2日目、2台で戦えただけでも嬉しいです。本当に勉強になりました。今後はウィンターキャンプ、日本地区予選に出て、世界大会まで行きたいですうちのチームでロボ経験は、2人だけですが経験値は高められたと思います。

●蝦夷羆(EZO KAMUY)
素直に楽しかったです。やっぱり僕らが考えていた以上に力がかかる競技だったと思います。3Dプリンターでは強度が弱いのでそこは別の部品を使うとか、いろいろ学べたのがいいですね。今回わかった課題は、ウィンターキャンプ以降に対応していきたいです。本当に参加してよかったです。

15:30・決勝トーナメント

決勝トーナメントは、1試合3ラウンド制で、先に2勝を挙げたチームが勝ち(この方式を「BO3」と言う)となる。関西ダービーと福岡ダービー、共によく知った者同士の戦いは、非常に興味深い戦いとなった。第1試合はOSAKA TAKOYAKI対Scramble。
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Scramble(青)の2台を狙うOSAKA TAKOYAKIの歩兵ロボ(赤)。

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激戦のあまり、ひっくり返ってしまったOSAKA TAKOYAKIのロボット。

関西ダービーの結果は、Scrambleの勝利。続いておこなわれた第2試合は福岡ダービー。FUKUOKA NIWAKAの同門対決となった。

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ぶつかり合うFUKUOKA NIWAKAの同門チーム。赤が「葵」、青が「杠」。

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「葵」、再び車輪が脱落。この悔しさを乗り越え、次につなげて欲しい。

結局、最後まで「葵」の足回りのトラブルが解消できず、ここでも車輪が脱落しアウト、「杠」の勝利となった。

準決勝の2試合は、シード同士のぶつかり合いで、手に汗握る見ごたえのある試合だった。会場でもあちこちで、「すごく面白かったなぁ。」という声があがっていた。

17:40・3位決定戦

決勝の前に行われた3位決定戦、「OSAKA TAKOYAKI」と「FUKUOKA NIWAKA葵」の戦いも、非常に面白かった。両チームの歩兵ロボ2台とも自陣を離れ、敵基地の攻撃に向かうという、まるでノーガードの殴り合いのような戦い。「葵」も今までの不調を吹っ飛ばすような、積極果敢な攻撃を見せる。最終的に撃ち勝ったのは、「OSAKA TAKOYAKI」。いや~、それにしても、迫力満点の試合だった。
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敵基地攻撃に向かう「FUKUOKA NIWAKA葵」のロボット。

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敵基地を2台で激しく攻撃する「OSAKA TAKOYAKI」。まさにノーガードの殴り合い。

敗北した「葵」の上地キャプテンも「いい試合でしたね、でも悔しいです(笑)。ホイール取れちゃって、メンテナンス・ミスです。でも戦略的に撃てるロボットが攻めて、守るロボットがちゃんと守れたので、やっぱり戦略の大事さを実感しました。」と、非常にサバサバとした表情で語った。

18:15・決勝戦

決勝は「FUKUOKA NIWAKA杠(ゆずりは)」対「Scramble」。ちなみに予選リーグでも対戦しており「杠」が勝利しているが、決勝は果たしてどうか?
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決勝を見るために、続々と集まってきた参加者。

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決勝は、手に汗握る大激戦!
「FUKUOKA NIWAKA杠」(青)の基地を攻撃する「Scramble」(赤)、それを阻止しようとする「杠」の歩兵ロボット。

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遠くから敵基地を狙う「杠」の歩兵ロボ。それを迎撃する「Scramble」。
熱戦の結果は、自陣基地をしっかり守る戦略が功を奏し、Scrambleの勝利! RoboMaster日本委員会が初めて開催した公式イベントの、初代チャンピオンに輝いた!

なお、3位決定戦と決勝戦についてはRoboMaster日本委員会の古賀さんがスマートフォンから生配信したアーカイブ動画が同委員会のツイッターにアップされているので、ぜひご覧いただきたい。 静止画ではわからない迫力と臨場感がお分かりいただけるだろう。

https://www.pscp.tv/RoboMasterJapan/1ynJOwLdVEqJR

Scrambleの水野キャプテンは「事前に考えていた作戦が、上手くはまったという感じですね」。杠の小豆澤キャプテンも、「いや~、楽しかったです。悔しいけど」と晴れ晴れとした表情。
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健闘を称え合う「Scramble」の水野キャプテン(左)と、「FUKUOKA NIWAKA杠」の小豆澤キャプテン(右)。

今回のサマーキャンプでの本戦は、単に勝った、負けたということ以上に、みんながレベルアップを果たせた貴重な機会だったと思う。日本全体の底上げという意味では、非常に重要なイベントだったと思う。

さて、残すはあと1日。3日目は技術交流などの予定。お互いを高めあって、みんなでさらに上を目指して行こう!

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Device Plus編集部

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