ロボコン

第16回 全国高専ロボコン交流会レポート/前半戦~ 感動とカオスに満ちた、濃密な24時間!

2018年も押し迫った忙しい時期にもかかわらず、デパプラ編集部は久しぶりの高専ロボコン交流会の取材のため、兵庫県立総合体育館にやってきた!
今やロボコン交流会は数あれど、この全国大会は北は秋田から南は沖縄まで、参加校数37、参加人員約330名という最大規模のもの。こりゃぁ編集部としても燃えないわけにはいかない! というわけで、さっそくレポートを始めよう。

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1日目 12/19(土)12:00 開会式

会場は総合体育館の「格技室A」。午前9時からの受付を済ませた学校がひとつ、またひとつとやって来る。12時近くになると、さほど広くはない格技室は、人人人でいっぱい!まだ20歳前の若者が多いので、その熱量たるやハンパない。あまり若くもないデバプラ編集部記者は、冬の厚着をひたすら悔やむのであった・・・。

これ↓が会場の様子。開会式にして、すでに熱気でムンムン。

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開会式は、役員やOBの紹介、今日行われる講義のプレゼンテーターなどを紹介した後、各校持ちよりのプレゼント交換会などを済ませた。
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自分の技術を披露する、ちょっとした自慢の場
ボルテージアップしたブース展示

12:45 ブース展示
開会式最後に交流会代表である皿谷瑞樹さんの挨拶で開会式を締めた後、いよいよイベントの開始。まずはブース展示で一気にボルテージがアップした。ブース展示は8つの高専と、OBたちの合同出展など公式出展に加え、あちらこちらで即席の、いわゆる”ゲリラ出展”が相次ぎ、足の踏み場もないほど。まさに会場はカオスと化していた。
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神戸高専は、全国大会に出場したロボットを展示。他の高専生たちが興味深そうにマシンにかじりついていたのが印象的だった。みんな研究熱心!
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床の上に自作のマシンを広げて、議論を始める者たちも続々。ブース展示は、自分の知らない技術と出会う場であるとともに、自分の技術を披露する、ちょっと自慢の場でもある。
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呉高専は外装やオーディオ基板の他、伝説のメロンパン※も出展。
大いに笑いを誘っていた。
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※伝説のメロンパン・・・少し昔の交流会ミニロボコンで、呉高専が地元の名物のメロンパンをパフォーマンスに使用した。しかし残念ながら呉高専は敗退。その腹いせで部員が審判にメロンパンを投げつけたそうだ。それ以来ルールブックに「メロンパン等の飲食物を持ちこんではならない」と明記され、今や伝説的な存在になったという。

いろんなブースを目を輝かせながら回っていた明石高専のロボコニスト。みんな大いに刺激を受けているようだ。
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会場には、小学生ロボコニスト(現在は中学生)としても有名な平野正太郎くんも登場。ロボコン30に出展した「ロゴ描いちゃおう!対決」や「Let’sえいごパズル」のデモを行い、注目を集めていた。
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高専生の技術に対する貪欲さ(もちろんいい意味で、ですよ)にびっくりしている時、サレジオ高専OBの小林進之輔さんと、鶴岡高専OBの平瀬隼人さんのお二人に出会ったので、ちょっと話を聞いてみた。
「どんどん人が多くなって喜ばしいけれど、そのための人を分けなくてはならなくなった。交流という点では難しくなったかも」「どうしてもグループで固まってしまうので、それから外れると、所在なさげになってしまう。そういう人をグループに突っ込んで行くのが、我々の仕事(笑)」と、長年にわたって交流会に関わってきたOBならではの、貴重な意見だった。

厳しく、かつ優しいまなざしで後輩たちを見守る小林さん(左)と平瀬さん(右)。いい先輩たちだ。
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技術論から、ひとづくり、組織論にまで広がる技術講習会

13:00 技術講習会
格技室では、まだ混沌が続く中、3階の会議室では2つの技術講習会が始まった。
まずは富山高専本郷キャンパス水上裕太さんの「機械班の話」。高専ロボコンの基本中の基本ともいえる機械設計の基礎から応用まで、押さえておきたいポイントをクイズ形式で丁寧に説明していた。聞いているみんなも、楽しそう。
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次いで、元交流会代表でもあった秋田高専OBの平塚輝さんの「人を動かす」。こちらは水上さんの講習会とは打って変わって、「人づくり」や「組織論」が中心。チームプレーで挑むロボコンでは、いかに”動く組織”を作るかが重要だが、そのような問題の克服ポイントをOBならではの経験からわかりやすく解説していた。
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講習会の参加者に、ちょっと感想を聞くと・・・
「1年生で何を聞きたいのかもわからないまま参加しましたが、いろんな話をしてくださってうれしかったです」(群馬高専1年生)
「うちの高専では運営役は3年が務めることになっていて、来年は自分がやることになっている。平塚さんの講習はとてもタメになりました」(茨城高専2年)
と目を輝かせながら語ったのが印象的だった。

当たれ、押せ!Poiを取れ! ミニロボコン大会で、熱気は最高潮に

15:00 ミニロボコン
格技室では、まだまだ、まだまだ、混沌が続く中、3階の和室大広間では交流会恒例の「ミニロボコン」が始まった! 今回の課題は「ぱわーpoiんと」。早い話が、ロボットにつけられたpoi(ポイ)~金魚すくいに使うアレ~を取りあうという競技。よりたくさんポイを取った方が勝ちという。もちろんメロンパンは投げてはならない(笑)。競技フィールドを見れば、ロボコンというより相撲の「年末場所」といった感じ。で、出場は以下の6マシン。
①秋田高専「アンパン」②大阪府大高専A「カメムシ」③大阪府大高専B「ポイポイ」
④近大高専「ロボテック」⑤神戸高専A「モリゾー」⑥神戸高専B「ピーコック」

これらが総当たりのリーグ戦を行い、もっとも多く勝ったチームの優勝となる。

それでは勝負スタート! という時に、なんと秋田高専の「アンパン」が動かない!聞けばリモコンの無線機能がトラブルを起こしたらしい。最後の最後にセンサを使った自動運転に切り替えて勝負に出たが、そう上手くいく訳もなく・・・。お悔やみ申し上げます。
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●激闘メモリアル1:ロボテック(近大高専・左)vsカメムシ(大阪府大高専・右)
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●激闘メモリアル2:ピーコック(神戸高専B・左)vsモリゾー(神戸高専A・右)
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●激闘メモリアル3:ロボテックvsポイポイ(大阪府大高専・右)
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秋田高専以外の熱い戦いが終わり、総当たり戦の結果、優勝は神戸高専Aのモリゾーに決定!2位には近大のロボテックが入った。以下3位カメムシ、4位ポイポイ、5位ピーコックとなった。いや~しかし、どこもスゴい。この熱意と努力はきっと次のロボコン本番でもきっと役に立つだろう。

ということで、感動と混沌の24hours、取り敢えず初日のスケジュール終了を待たず、前半戦は終わり。後半戦をぜひ、お楽しみに!

 

 

今回の連載の流れ

前半: 感動とカオスに満ちた、濃密な24時間!(今回)
後半:ロボコンを合言葉に、刺激し合うのが楽しい。

NHK学生ロボコン2018
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