ロボコン

第17回 全国高専ロボコン交流会レポート/ 後半戦~全ロボは変わらず、ただ進化していく。確かな未来に向かって

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OBならではの強さで圧勝。ちょっと、おとな気なくない?でもそれが刺激に

15:45 ミニロボコン結果発表

10チームで戦われたミニロボコンは、最初の方こそロボットが動かず、ジャンケン決着に持ち込まれる試合があったものの、試合を重ねるうちに動きもスムーズになり、手に汗握るゲーム展開に。
 
基本的に低学年対象の競技ということで、回路が燃えるなど技術的にはまだまだ発展途上なものもあったが、実践を体験することで大きな自信にもつながったのではないだろうか。
 
さて、競技の結果、優勝は決勝戦で160対35という圧倒的な強さを見せつけた、大阪府大高専「ぼっちOBの会」に決定した。ちなみに準優勝は宇部高専「選ばれたのは綾鷹でした」だった。
 

「ジャンケン」で勝敗を決したゲームも・・・

「ジャンケン」で勝敗を決したゲームも・・・

健闘する阿南高専「タケノコを愛でる会」。今まさにスポットに箱を置かんとするところ。

健闘する阿南高専「タケノコを愛でる会」。今まさにスポットに箱を置かんとするところ。

準優勝の宇部高専「選ばれたのは綾鷹でした」。

準優勝の宇部高専「選ばれたのは綾鷹でした」。

だがチーム名を見ておわかりいただける通り、若手対象の競技の中に正真正銘のOBが混じっていたわけだ。しかも聞くところによると、「この4月から、母校府大高専の教員と、ろぼっと倶楽部 @opuct_robotclub の顧問をしています」という府大高専OBの安藤太一さんである。

抜群の安定感を見せる安藤さんのロボット。見た目の完成度からして違う!

抜群の安定感を見せる安藤さんのロボット。見た目の完成度からして違う!

たくさんのギャラリーが、固唾をのんで試合の行方を見守っている。

たくさんのギャラリーが、固唾をのんで試合の行方を見守っている。

優勝者として祝福を受ける、府大高専「ぼっちOBの会」の安藤太一先生。

優勝者として祝福を受ける、府大高専「ぼっちOBの会」の安藤太一先生。

安藤先生によると、ミニロボコン参加を通じて現役の高専生に刺激を与えたいということから、敢えて参戦したとのこと。確かにロボットの完成度や動きの緻密さなどは、現役と比べるまでもなく圧倒的な差があった。記者は当初、「ちょっと、おとな気ないのでは?」と感じた。しかし「ロボットを作って動かすとは、こういうことなのだ」とでもいいたげな安藤先生の様子を見ていると、これは“生きた授業”なのだと思えるようになった。
 
それを実感したのが、すぐに安藤先生と彼のロボの周囲には人だかりができ、機構などについて質問が飛びかう光景を見たからだ。ひょっとするとこの感想戦によって、試合以上により多くのものを学んだのかもしれない。
 
「年々、ロボコン競技は高度化しています。私たちの時代と比べると自動のレベルも違うし、求められているものも、全く異なっています。でも、みんなそれに対応できるポテンシャルを持っていると思います。私がミニロボコンに出場して高専生たちを刺激することが、みんなの進歩につながればいいですね」と安藤先生は話す。
高度化するロボコンを、身を持って示した安藤先生の特別授業だった。
 

安藤先生の周囲には、メカの秘密を一目見ようと、早くも多くの人だかりが。

安藤先生の周囲には、メカの秘密を一目見ようと、早くも多くの人だかりが。

短時間に3会場で展開される、9つの大プレゼン

初日の夜、全ロボのメインイベントともいえるプレゼンが開催された。午後7時過ぎから9時まで、3会場に分かれてみっちり9つのプレゼンが展開されるのだ。
 
演者と演題は、以下の通り。

  • 後藤健さん(沼津高専)「沼津高専敗因録」
  • 松井琉晟さん(サレジオ高専)「高専ロボコンチームに1年間所属してみて」
  • 平瀬隼人さん(鶴岡高専OB)「直動機器について」
  • 大谷拓也さん(明石高専)「改めて感じたロボコンの魅力」
  • 古園井洋治さん(有明高専OB)「フォロワーをやめる方法」
  • 久保田樹さん(サレジオ高専)「30万の漬物石」
  • 平塚 輝さん(秋田高専OB)「ロボコン6年目の挑戦とイノベーション」
  • 大屋悟士さん(群馬高専)「チームのかたち」
  • 安藤太一さん(大阪府大高専OB)「リーダーのお仕事とは」

かくも魅力的な演題が並ぶ秘訣は何なのだろうか? 運営に聞くと、Webで募集をかけるとすぐにプレゼンター枠が埋まるそうだ。その数も年々増えているらしい。演題については、特に運営側から指定することもなく、あくまで自由だから、プレゼンターとして手を挙げやすいのかもしれない。
 
そんなプレゼンを見て感じるのは、高専生たちが非常に熱心にプレゼンに相対している姿勢だ。ひと言も聞きもらしたくないというような気概が会場全体を包んでいる。
「これはプレゼンをしていても、きっと面白いだろうな」と感じた。これも我も我もと、プレゼンに手を挙げる理由のひとつではないだろうか。
 

廊下から様子を見守りつつ、状況確認しているプレゼン担当幹事の西村祐輝さん(岐阜高専)。

廊下から様子を見守りつつ、状況確認しているプレゼン担当幹事の西村祐輝さん(岐阜高専)。

●当日のプレゼンの様子。

※プロジェクターに投映するため部屋が暗く、一部、見づらい画像になったことをお詫びいたします。
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相互に補完しあう、初日と2日目、2つの「分割会議」

2日目 12/15(日) 9:00

 
全ロボも、いよいよ2日目に。ここで少し話を前日に戻したい。
「全ロボ」には「分割会議」という会議が、2つ存在する。ひとつ目は初日、夕食の前後に行う会議のことだ。
宿泊の際の部屋割りは「機械」「電気」「制御」「運営」など自分が興味を持つ分野を申告させ、そのテーマに応じ部屋を決める。所属高専などは関係なく、分野ごとに部屋を割り振る。
この部屋ごとに会議を行うのが、「分割会議1」である。こちらは、議事録を提出させるなど、かなりきっちりとした会議である。みんな真面目に取り組んでいる様子が、下記の画像からも伺えるだろう。
 
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初日の分割会議の様子。みんな前のめりだ!

初日の分割会議の様子。みんな前のめりだ!


 
幹事団のご厚意で、「分割会議1」の議事録をお借りできたので、どのような内容で議論されているか少し紹介しよう。

●「基板は何を使っているのか?」

 →試作はユニバーサル基板、生基板。そのあと外注

●「モータドライバは既成品?」

 A高専→独自設計のMDを10年くらい使っている
 B高専→新規に開発(ゲートドライバを使ったもの)部品を買って自作。昔はロジックICを使っていた
 C高専→16年ほど前に作られた基板
 D高専→市販品

これら以外にも「MDの制御の方法」「MDの設計のコツは?」「MD以外の仕事は?」「基板設計のソフト」といった、多岐にわたる内容が話し合われていた。他の高専の方法論に直接、触れることができるため、特に下級生が情報を仕入れる重要な機会になっていることが伺われる。
これこそ部屋割りが学校別ではなく専門別になっている、最大の恩恵だと思う。
 
このような初日の「分割会議1」に対して、2日目、午前9時から閉会式まで続けられる「分割会議2」は、まさにフリーだ。和室大広間に誰もが自由に集い、さまざまな意見を交換しあっている。同じ「分割会議」といっても、両者の様相は大きく異なる。なぜなのか?
 

2日目の分割会議。あちらこちらで、「会議」が始まる。それは壮観な風景!

2日目の分割会議。あちらこちらで、「会議」が始まる。それは壮観な風景!

OBに聞くと、かつては「電気」や「制御」など、分野別に大きな部屋に集まり、分割で会議を行っていたそうだ(だから「分割会議」と称される)。しかし、大人数が集まって会議をしても講義のようになってしまい、本当に交流ができているのかという疑問が出てきたため、現在のようなフリースタイルになったという。

自分が作ったメカや、その過程での失敗談を熱く語る高専生。

自分が作ったメカや、その過程での失敗談を熱く語る高専生。

まず1日目の「分割会議1」。こちらは専門分野を同じくするだけで、学校も学年も異なる高専生が集まる。見ず知らずの人が集まる環境下で何かを議論するというのは、かなり大変な作業である。それを敢えて行うことにより、参加者みんなが向上できる、技術的に実りのある会議にしようという意図は明白だろう。
 
ただ「分割会議1」のような会議では、個人の興味が埋められない場合がある。それを埋めるのが、2日目の「分割会議2」なのではなかろうか。こちらは自由気まま。聞きたいことがあれば、それを知っていそうな人の元を訪れ、納得するまで聞けるのだ。「強制(といういい方は、少し誤解を与えるかもしれないが)」と「自由」、相互補完的な2つの会議を組み合わせることで、現役高専生にとって素晴らしい機会を創出できたのではないかと思う。
 

廊下に並んだみんなの靴に、消臭剤を吹きかけていく幹事。これも今までの経験から得られたノウハウ?

廊下に並んだみんなの靴に、消臭剤を吹きかけていく幹事。これも今までの経験から得られたノウハウ?

いよいよ大団円を迎える17回全ロボ。

12:00 閉会式

14日土曜日の12時から、約24時間にわたる「第17回全国ロボコン交流会」は、終わりを告げようとしている。

14日土曜日の12時から、約24時間にわたる「第17回全国ロボコン交流会」は、終わりを告げようとしている。

2020年度の新幹事が前に並ぶ。大変だと思いますが、みんな頑張ってください!

2020年度の新幹事が前に並ぶ。大変だと思いますが、みんな頑張ってください!

記者はちょっと意地悪く、久保田代表に質問をしてみた。「毎年、同じようなイベントでマンネリ化しないのですか?」と。
「マンネリ化については、全く心配していません。やっていることはずっと同じかもしれませんが、中身が変わっています。たとえば本戦の競技課題は年々変わっていますし、技術も変わっていきます。同じ講義をしてもどんどん変わっていきます」
 

一大イベントを成功に導き、ホッとひと息の久保田代表。お疲れ様でした!

一大イベントを成功に導き、ホッとひと息の久保田代表。お疲れ様でした!

「器」、というかフォーマットが同じでも、その中身がどんどん変わることで活性化を促す。やっていることは同じでも、中で展開される内容はどんどん更新されていく。それを幹事団はじめ、みんな身を持って実感しているのが、「全ロボ」の真の「凄さ」ではないかと思う。
 
物事には、変える必要があるものと、変える必要がないものがある。全ロボは、変えるものと変えないものをしっかりとわきまえた人たちが、しっかりと運営を続けているイベントだ。これからも全ロボは変わることなく、高専生に素晴らしい交流の場を提供し続けるのだと思う。
 
幹事団のみなさん、参加者のみなさん、OBのみなさん、本当にお疲れ様でした。そして、ありがとうございます。

前編はこちらから
第17回 全国高専ロボコン交流会レポート/ 前半戦~参加者335名!ビッグプロジェクト成功の秘訣を追う!

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Device Plus 編集部

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