「電子工作って、何それおいしいの?」的な人のための新連載、始まります!
この魅惑の世界に誘ってくれるのは、ロボコン界隈、TECH界隈でおなじみのギーク女子・池澤あやかさん。
「ものづくりを愛する皆さんに愛されるメディア」としてのプライドをかけて、デバプラ、池澤あやかさんとともに、ヘボコンに殴り込みます ٩( ‘ω’ )و まずは、ヘボコンとはなんぞやというところから、ロックでフリーダムでキュートな先達にヘボコンについて聞いてみました!
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みなさんこんにちは、池澤あやかです。
学生時代からプログラミングや電子工作をやっています。
特にArduinoを使ってくだらないモノを作るのが好きです。
今までに作った電子工作の一例
このように電子工作自体はちょこちょこしてきたものの、まだロボットは作ったことがありません。
ロボットをいちから作ろうと思うと、結構ハードルが高いんですよね。
動作機構を考えたり、部品を調達したり、足りないものは3Dプリンターや切削加工で作ったり、プログラムを組んだり、デバックしたり、メンテナンスしたりなどなど……
そんなハードルなんてなんのその、ロボット制作超初心者でも参加できるロボコンがあります。
それが「ヘボコン」です。
なので今年こそ、自分でロボットをつくって、ヘボコンに挑戦したいと思います!
ヘボコンってなに?
ヘボコンとは、ヘボいロボコン、つまり「技術力の低い人のためのロボコン」です。
技術力の低い人たちができの悪いロボットを制作し、おぼつかない足取りでなんとかロボット相撲を行うのだそう。
ヘボコン常連!ギャル電 きょうこさんにインタビュー
説明を聞いても、公式動画を見てもあまりのヘボさに「これなら私も!」と思えてきてしまいますが、ひとまず経験者のお話を聞いて、ヘボコンとはなんぞやを予習しましょう。
ということで、ヘボコンに過去6回以上参加しているという電子工作ユニット「ギャル電」のアニポールきょうこさんにお話を伺ってみたいと思います。
ギャルによるギャルのためのテクノロジーを提案していくユニット。
そのうちドンキでアルドゥィーノが買える未来を夢見ているギャル電 アニポールきょうこさん
役に立たない発明とか雑な工作が得意。Follow @GALDEN999
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きょうこさんは、なんでヘボコンに出場しようと思ったんですか?
当時電子工作デビューしたくて、何からはじめようか迷ってたんですけど、ツイッターでヘボコンのお知らせを見つけて。敷居が低そうだったので(笑)、参加してみることにしました。
確かに、技術力が低い人限定のロボコンですもんね(笑)
初回から参加してるんですけど、最初は規模も小さそうだったので、どこかの公民館でやるのかなと思ったら、当時お台場にあったカルチャーカルチャーというわりと大きめの施設で行うことになってビビりました。
今まで何回くらい参加されましたか?
計6回くらいかな。それ以上かも。元ポールダンサーなので、毎回ポールダンスをテーマにしたロボットを作っています。今日も持ってきました、ロボット!
こ、これは…?
これは昨年8月に行われた『ヘボコン・ワールドチャンピオンシップ』に出場した際に最優秀賞である『最も技術力の低かった人賞』を勝ち獲ったロボット『ポールダンスロボ・パーティーロック・アンセム』です!!
土台は西友のおもちゃ売り場で買ったトラックのおもちゃを連結させただけなんですけど、メインとなる機構は下調べもしてしっかり考えます。今回のメイン機能であるキャッシュキャノンについても、インターネットでいろいろ調べてから作り始めました。お札ボックスの下に車輪がついていて、その回転力でお札をどんどん押し出します。
お札が舞うだけですごいテンションあがる!楽しい!
これはポールダンスロボとしては6号機なんですけど、この頃からより『パリピ感』を意識し始めましたね。
このロボットで最優秀賞を勝ち獲ったわけですが、ご自身は審査のポイントはどこにあったと感じましたか?
大会当日、なぜかボタンを押し間違えてお札を発射できなくて、場外になってからそのことに気づいてお金をバッサバッサ出したんですけど、もう勝負はついていたので、片付けが大変になっただけでした(笑)そのヘボさが評価されたみたいですね。
きょうこさんの歴代ロボットたち
きょうこさんの歴代ロボットたちを一度振り返ってみてもいいですか?
1号機はこれですね。初陣なので、タミヤのアームクローラーとギア、そしてバービー人形を組み合わせたシンプルなつくりになっています。
ポールダンスロボ1号
ベースはタミヤのアームクローラー工作キット。
ポールダンス部分とクローラー部分のスイッチは別々なのでスイッチを入れるのが大変。
遠隔操作はできない。#ポールダンスロボ pic.twitter.com/nfSoha1tqF— アニポール きょうこ (@AnipoleKyoko) 2015年11月1日
見た目によらず不安定すぎる(笑)攻撃的!
ポールダンスロボ1号#ポールダンスロボ pic.twitter.com/NJaRGk8ItT
— アニポール きょうこ (@AnipoleKyoko) 2015年11月1日
2号機にして、火を扱えればかっこいいんじゃないかという野心が垣間見えますね。
ポールダンスロボ2号
ポールダンスロボ2号#ポールダンスロボ pic.twitter.com/jKUrsDtDZ8— アニポール きょうこ (@AnipoleKyoko) 2015年11月1日
3号機は動力が電ドリの巨大ロボです。モテるロボがいいと思って、「男子の好きなものってなんだろう?」って考えた時に「やっぱりカブトムシかな?」と思ったので、筐体はカブトムシです。
小学生男子にモテたかったんですか?(笑)それにしても電ドリとはお金かかってますね!
制作費が高くついてしまったので、スポンサーを募りましたね。なので筐体に協賛のロゴが入っています。
ギガポールダンスロボ
動力は電動ドリル2台。紐で引っ張って電動ドリルのスイッチを入れるので遠隔操作はできない。
ポールダンス部分は2つでそれぞれスイッチは独立している。
スポンサーを募集して作られた。#ポールダンスロボ pic.twitter.com/cD6hYjWKDM— アニポール きょうこ (@AnipoleKyoko) 2015年11月1日
4号機は水上バトルだったのに、動力となるモーター2機をガムテープで止めていたら、案の定ダメでした(笑)
きょうこさんはなぜか接着方面弱めですよね(笑)
水ポールダンスロボ
動力はタミヤの水中モーター2個。発泡スチロールの車体で水に浮く。ポールダンス部分のスイッチは別。遠隔操作はできない。
そもそも水上でまっすぐ進まない。#ポールダンスロボ pic.twitter.com/mwHugyyWEI— アニポール きょうこ (@AnipoleKyoko) 2015年11月1日
5号機はたまたまミラーボールが手に入ったので、それを使ってみました。光ると結構きれいなんですよ。
暗いところでどうしても回ってるところが見たくて、その辺でサッと撮ってきた。
電池を取り替えて部屋の中で撮り直そうと思った。、 pic.twitter.com/EJrRgjpexq— アニポール きょうこ (@AnipoleKyoko) 2015年10月31日
ヘボコンはマイコンを使ったりして技術力が高すぎると、「ハイテクペナルティ」にひっかかってしまいます。それを避けるのが意外と大変なんですよ…
ヘボコン常連!きょうこさんによるヘボコンの心構えとは?
ヘボコンで大切なのは「初期衝動」です。「俺が考えた最強の必殺技!」や「俺が考える最高にかっこいいロボ!」という初期衝動に対して、低い技術力ながら頑張ってみるんです。で、頑張ってみるけど、技術力が追いつかない(笑)
ヘボコンはそんな初期衝動を見せ合うイベントなんです。過去には「タイヤから作ってやる」と意気込んで、輪ゴムを巻きまくってタイヤを作ろうとした人がいましたが、結局完成出来なかったけどそのまま出場しててヘボいけど超ロックでした。
まさに車輪の再発明
ヘボコン版車輪の再発明!再発明できてないけど(笑)
みなさんどれくらいの期間で制作されてるんですか?
ツイッターを見ていると、一週間前くらいまでには材料をなんとなく揃えているものの、なかなか作り始めはせず、2日前くらいから「これはヤバイ」と作り始める人が多いように感じます。
なかなかにヘボいスケジューリングですね。
でもヘボさを出すにはそれくらいの方がいいと個人的には思っていて。タイトなスケジュールによる徹夜が生み出した疲労困憊や諦めからしか、想定外のヘボさは生まれません。
ヘボコン道は意外と険しいですね……この連載、数回はやろうと思っているんですけど、3日で完成するとなると、他なにしようかな(笑) ヘボコン初心者にアドバイスがあるとしたら、どんなことがありますか?
そうですね。「必殺技から考える」「設計図は心のままに書く」「自分がエモいと思った機能を全部つめこむ」この3つかな。
心のままに設計図を書いてみよう!
最近見た映画や最近読んだ漫画ってありますか?
そうですね、最近だと『キングダム』を読みました。
私読んだことないんですけど、どんな話ですか?必殺技とか出てきますか?
ざっくり言うと始皇帝が国を統一する話…かな?必殺技はなんだろう…
その「国を広げる」って必殺技にしたら面白くない?
?!
ロボットの必殺技にするとすると、ロボット自体が拡張したり、とりあえずネットを投げたりして、ここを領土とすることで国を広げたことにしたりしてね。必殺技「国の広げる」の解釈の仕方は自由だよね。
ちなみに最近ハマってることとかから派生させるのもオススメですよ。ハマってることとかありますか?
最近は庭づくりにハマってるかなあ。ウッドデッキ設置したり、花壇作ったり。あ、ロボットも、土とか花とか木みたいな自然素材で構成されるやつ作ってみたいかも。種飛ばして相手を攻撃する!
いいね、ゲリラガーデニング流行ってるし。女子力要素を加えるなら、パクチーの種を飛ばしてもいいかも。
きょうこさんの頭は完全にヘボコンにチューニングされてますよね。どうやったらその境地に近づけますか?
必要なのは、頭の悪い瞬発力なんですよね。マッドマックスや少林サッカーみたいな理屈じゃない映画を見て、一気にテンションぶちあげます!
なるほど!
あとは、ちゃんとしている人はちゃんとしないトレーニングをすればいいんじゃない?歯を磨いても歯磨き粉のキャップはつけないとか、知らない人に注意されるまで靴紐は結び直さないとか、そういうところからかな。
インタビューを終えて
ヘボコンまでの道のり」第1回目は、アニポールきょうこさんからヘボコン道とはなんぞやを教わりました。きょうこさんからの教えにより、この連載でロボットを作り始めるのは大会3日前になりそうです。
それまで何しようかな…(笑) アニポールきょうこさん、貴重なお話ありがとうございました!
今回の連載の流れ
第1回: ヘボコン常連!ギャル電きょうこさんへインタビュー(今回)
第2回:ヘボコン界の“武器商人”タミヤ直伝、エモいパーツの選び方。軍資金5,000円で、いざ資材調達!
第3回:池澤あやか人生初の (ヘボい) ロボットをつくってみたよ!
第4回:池澤あやか ヘボコンに初参戦してみた! in Maker Faire Tokyo
第5回:池澤あやか 宇宙ヘボコンに向けて、ロボットを改修してみました!
第6回:池澤あやか「ヘボコン」リベンジを果たすため、宇宙へ!
第7回:池澤あやか、ヘボコンマスターへインタビュー!ヘボコン必勝法、ヘボコンの野望について聞いたよ!