インタビュー

カラーセンサで好きな色を読み取り、5色の絵の具で色を再現〜ROHC2018 優秀作品インタービューVol.5〜

ROHM OPEN HACK CHALLENGE(ROHC)」 は、ローム製のセンサやマイコンボードを駆使してプロトタイプ作品を募集するコンテスト。2018年は6月から8月にかけて作品を募集し、優秀作品は、賞金がもらえると同時にCEATEC JAPANのロームブースにて展示。来場した多くの方に作品が紹介されました。

そのROHC2018で最優秀賞の一つを獲得したチーム「Research-King」に、受賞作品となった「絵の具カラーピッカー:絵のピック」に対してのこだわりや、開発時に苦労した点などを伺ってみました。
「絵のピック」は、カラーセンサで色を識別し、自動で絵の具の色を混ぜてくれる作品です。

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──どんなチームでこの作品を作ったのですか?
神戸の組込み系ソフトウェア会社のメンバーが集まり、自分たちの技術力アップを目標に2012年に結成。ソフトが得意な人、ハードが得意な人、動画編集が得意な人、それぞれの特技を生かして作品作りを行っています。今回はそのメンバーの中の4名で作りました。

──他にはどのような作品を作っているのですか?
チョコレートで食材に文字などを描く装置「チョコレートプリンター」、遠隔操作で海上を自由に撮影できる「水上ドローン ビッケ2017」、ペットのようなロボ「愛犬ポチ」などです。「チョコレートプリンター」は、「絵のピック」の機構開発経験を元に再設計した作品です。

──作っている作品にテーマなどはあるのでしょうか?
自分達のレベルアップが目的となっています。ただ、それだけだとなかなか継続しないので、継続した作品作りをするためにも「コンテスト応募」という目標を設定しながら活動しています。
ROHC以外でも、Kinect for Windows Contestや、ルネサスエレクトロニクス主催のGRデザインコンテストなどにも応募しています。

──レベルアップは、仕事にいきる技術中心ですか?
活動は業務時間外の活動であり、仕事と関係なく、自分たちの興味のある分野にチャレンジしています。しかし、自分達の興味分野と仕事が重なっているので、蓋をあけると仕事に活きる技術でもあるというのが現状です。だからこそ、会社も自分たちの活動に対して協力的です。

子供の頃ほしかったモノを大人になって実現

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──今回ROHCで賞を獲得した作品について詳しく教えてください。
カラーセンサを先端につけたデバイス「カラーピッカー」で好きな色を読み取り、5色の絵の具で色を再現する作品です。色の補正をしてCMYKに変換(独自に彩度補正)、絵の具の抽出量を計算します。小さなお子様でも絵の具で簡単に何万色のパターンの色を学びながら作ることができます。
特徴は、以下の3点。
①カラーピッカー(色読み取り部分)にローム製センサシールドのカラーセンサモジュール BH1747NUCを採用
②カラーセンサと調合に最適化した色補正アルゴリズム
③ポップなカラーと遊び心をくすぐるオリジナルメカ

詳しくはこちらの動画をご覧ください。

──なぜこの作品を作ろうと思いついたのでしょうか?
子供の頃、絵の具をつかって絵を描いていましたが、うまく色が再現できず悔しい思いをしていました。今になって思うと、色のメカニズムを楽しく教えてくれる先生がいれば、もっと楽しくお絵かきできていたと思います。
そこで、あの時ほしかったアイテムとしてこの「絵のピック」を考えました。

──どんな点にこだわりましたか?
「遊び心をくすぐるオリジナルメカ」でしょうか。自分たちでメカをゼロから作り上げました。機構的には、3Dプリンタを自作しているようなものです。
筐体のデザイン、メカのアナログ的な動き、原色系の外観など、随所にこだわっています。

──開発にあたり、苦労した点はありましたか?
カラーセンサで読み取った色と絵の具を同じ色に再現することが難しかったです。絵の具で色を再現するにあたり、普段何気なく見ている “色” というものが、どのように作られているのか、どうやって目に届いているのか、光の三原色と絵の具の色の仕組みの違いから調査をはじめました。
また、カラーセンサの特性や、外光、絵の具の濃度、様々な影響によって再現性が変わることがわかり、非常に苦戦しましたが、最終的には満足のいく色の再現性が実現できたと思っています。

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──今後の展開について
作品のブラッシュアップ、他の用途への応用ができたらいいなと思います。

  • 「絵のピック」の読み取り部分であるカラーセンサ部を独立させ読み取り専用機を作製
  • 絵の具以外の素材で色を再現(ex:ペンキ、フード系など)

ROHCに参加してみて

──ロームのどのデバイスを利用しましたか?
センサシールドに入っているカラーセンサモジュールBH1747を使用しました。ロームのサイトでソースコードサンプルや使い方がわかりやすく動画で説明されており、すぐに使えるカラーセンサとして選択。Arduino互換なのもよかったです。この作品はこのセンサなくしては実現できなかったと思います。

──ロームデバイスの特徴や今後使用される方にとって有益な情報があれば教えてください
カラーセンサで安定して色を読み取るには外光の影響を遮断し安定した入力環境を作ることが非常に大事です。ロームのカラーセンサは高い分解能をもっておりその特徴を生かした使い方があると思います。

──ROHCに参加したきっかけを教えてください
関西のメイカーズバザールというイベントに「絵のピック」のプロトタイプを出展していました。実はこの作品、ルネサスエレクトロニクス主催のGRデザインコンテスト2017への応募作品で、その際もローム製のセンサを使用していました。その時は、バージョンの古いものでしたが、「もうすぐバージョンアップされるんですよ!」とお声がけいただき、新しいセンサを提供いただいたので、バージョンアップしてメイカーズバザールに展示しました。
展示の際、「絵のピック」を体験したチビッ子たちの評判が上々で、もっと多くの人に作品を見てもらいたいと思っていたところ、そのイベント内でROHCのチラシが配布されており、精度を高めて応募することにしました。ROHCでは、色の再現性のロジックを組み立て、精度を高めて応募しました。

──ROHCに参加していかがでしたか?
ROHCの最終選考では審査員や他の応募者の方々と、また優秀賞の副賞として参加させていただいたCEATEC会場では、業界の方々とコミュニケーションを取ることができました。「塗装分野で需要があるのでは?」といった意見など、自分達にはない視点の意見をいただいたり、熱心に「おいくらですか?」と聞いてくれたり、今後の作品作りのアイデアやモチベーションにつながりました。

──来年以降、ROHCに参加する方にメッセージをお願いします
「こうしたい」、というものを形にし、実際に動かせるものにする所にはおもしろさと大変さがありますが、それ以上に様々な人に触ってもらえるという貴重な体験ができます。ぜひチャレンジしてほしいです。

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鈴木まなみ

2 歩先の未来について考える「TheWave湯川塾」の事務局や、オープンイノベーションを促進する日本最大級の開発コンテストである「MashupAwards」を運営する一般社団法人MAの理事などでコミュニティ運営を行いながら、最新のサービス動向や技術に接している。 また、シビックテックメディア「CivicWave」の主宰者でもあり、本の執筆やブログなど、ライターの仕事も行っている。

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電子工作マニュアル Vol.3