※この記事はDevicePlus.com(英語版)のこの記事を日本語訳したものです。
初めての土地を運転していて、右手に目的地が見え、慌ててハンドルを切った途端・・・危ない、自転車に衝突!・・・ありがちなお話しですよね。
しかしこの10年間で、実に様々なドライビングアシスト技術が開発され、運転はより安全で、簡単なものとなってきました。コーネル大学とスタンフォード大学の共同開発によるBrain4Carは、ディープラーニングによって運転手の運転行動を学習、モニターし、上記のような事故が起きる前に警告します。ディープラーニングまたは深層機械学習とは、多層構造の人工ニューラルネットワークを用いてデータベース間の複雑な関係付けを行う機械学習のことで、今回のプロジェクトでは、運転手の運転行動を予測し、衝突等の危険を時宜にかなって回避することを目的として開発が進められました。
プロジェクト・リーダーであるスタンフォード大学Ashesh Jain博士によると、まずは自動車に可能な限り多くのセンサを実装し、運転手のモニターを重点的に行ったということです。そうすることで予測システムが学習し、運転手の運転行動を事前に知り得ることが可能となるのです。
Ashesh博士のチームは、運転手10人の映像を2か月間にわたって収録しました。自然の中の幹線道路や街中の通り等、多岐にわたる場所の運転映像が200万フレーム程も収集されました。総走行距離は1,180マイル、運転手や車両前方の映像、車両運動性、全地球測位システム(GPS)、街路地図等を用いて同システムが開発されました。
Brain4Car最新版は、運転手の運転行動を3.5秒前に予測し、ドライビングアシスト機能を実行することが可能で、その精度は90.5%です。この運転手の運転行動に対する予測精度は、昨年の80%から90.5%へと大きく向上しましたが、これは、再帰型ニューラルネットワーク(RNN)をベースとしたセンサフュージョン(複数のセンサからのデータを統合)、ならびに運転手の3D頭部姿勢(運転手の位置と方向を統合)を採用したことによって実現したものです。
同システムは画期的ではありますが、機能は制限的なものです。現在、予測可能な運転行動は、左折、右折、左車線変更、右車線変更、直進の5種のみです。先進運転支援システム(ADAS)の開発はまだまだ現在進行中といった状況です。やや関係のある研究として、カーネギーメロン大学ヒューマン-コンピュータ・インタラクション研究所では、運転手15人から、車両の動き、交通状態、運転手の生理反応等に関するデータを収集し、運転中に割り込むシステム、すなわち、運転状況の変更に従った行動を取るよう、運転手に警告するシステムの開発を進めています。