植物育成デバイス制作の準備
こんにちは、ヨシケンです!
今回は小型のArduino互換機の「M5Stackシリーズ」に部屋の状況を計測するセンサを付けて、室内の観葉植物に適切に水やりをすることができるデバイスを作りたいと思います。室内にいることが多く、部屋の植物などをケアする機会も多いと思いますが、自分の身の回りを快適にできるようなデバイスにしていきたいと思います。それでは早速制作に取り掛かります。
今回の記事の流れ
1. Arduino互換機のM5Stackシリーズについて
M5Stackは中国・深センのM5Stack社が提供する、ESP32を使ったArduino互換開発モジュールです。Wi-FiとBLEが内蔵されたEspressif社のESP32基盤を使っており、Arduinoと同様に手軽な開発ができるようになっています。M5Stackは始めからセンサ、ディスプレイやボタンなどがついているので、取り掛かるのにハードルが低いArduino互換機と言えます。
M5Stackシリーズの中には、大きめのディスプレイが付いたM5Stack Coreや、それを小型化して使いやすくしたM5Stick-Cがあります。さらにM5Stick-Cを半分くらいの超小型にしたATOMというシリーズも出ています。今回は一番定番の「M5Stack Core」を使っていきたいと思います。
M5Stack Coreの詳細スペック:
シリーズ | M5Stack |
名前 | M5Stack Core Gray |
チップ | ESP32-D0WDQ6 (Wi-Fi, BLE内蔵) |
メモリ | 520KB RAM 16MB Flash |
大きさ | 5.4 x 5.4 x 1.7 cm |
ディスプレイ | Color TFT LCD (2 inch) |
センサ類 | MPU6886 (加速度センサ) BMM150(地磁気センサ) マイク無 スピーカ有 |
バッテリ | 150mAh @3.7V |
参考価格 | 4,800円程度 |
上記スペックを持つM5Stackを使って、室内で使って便利なデバイスを作っていきたいと思います。そこで考えついたアイデアが、室内に居ることが多い昨今、観葉植物の管理を自動でしてくれる自動水やり機の制作です。土中の水分を測ったり、室温、湿度を計測して、適切なタイミングで水やりをしてくれるものです。水をあげたらTwitterなどに、植物が「水やりしてくれてありがとう!」などと擬人化させると、育てるのが楽しくなるかもしれません。
2. このデバイスを作るのに必要なもの
今回はM5Stackとセンサを接続して、室内や植物の状況を計測し、その数値を使って自動で植物に水やりをすることができるデバイスを作ります。必要な部品は下記になります。
M5Stack Core
ESP32を搭載したArduino互換機。大きめのLEDディスプレイに、BLE、Wifiおよびモーションセンサなども始めから入っている。
水分センサ
赤外線により土中の水分量を計測
DHT11温湿度センサ
温度と湿度が両方測れるデジタル温湿度センサモジュール
ローム照度・近接センサ(RPR-0521RS)
赤外線を発しその反射光を測定して、光の強度や近接度を計測します。
電動霧吹き
電池で動く霧吹き機など
霧吹きを外部から操作する為のケーブル、コンデンサなど
これらの部品をそろえて、自動水やり機を作っていきます。
3. 自動水やりデバイスの機能と学べること
今回の自動水やり機に備える機能は下記のようなものになります。また、このデバイスを作ることで学べる事項も列挙してみます。
自動水やり機の機能:
- 遠隔で水やりができる機能
- 土中の水分量の計測
- 室内の温度、湿度の計測
- 日光の照度、紫外線量の計測
- 計測値、水やり状況をLINEに投稿
この制作から学べること:
- M5StackのArduino IDEでの開発の仕方
- M5Stackでの水分センサの使い方
- M5Stackでの温湿度センサの使い方
- M5Stackでの照度センサの使い方
- M5Stackでのインターネットとの連動
4. M5Stackの開発環境のセットアップ
通常Arduinoで開発をおこなう時は、Arduino IDE統合開発環境を使います。M5Stackでも使用しますので、ダウンロードページからソフトウェアをダウンロード、インストールしてください。また、Device Plusのこちらの記事(Arduino利用編)も参考になります。
Arduino IDEのインストールが終わったら、ESP32ボードの設定をおこないます。詳しい方法はこちらの記事の4. M5Stackの開発環境のセットアップを参照してみてください。セットアップが完了したら、パソコンとM5StackをUSB-Cケーブルでつなぎます。
先ほどダウンロードしたM5Stackライブラリにサンプルがいくつか付いているので、それを使ってみます。ファイル > スケッチ例 > M5Stack からサンプル・スケッチを選んで、それを流し込んでみます。
今回使ったサンプルプログラムはButtonスケッチで、書き込みが成功したら、黄色い文字が出てきます。下側のボタンを順に押すと、A、B、Cのように画面に文字が表れます。真ん中のBボタンを長押しすると画面をクリアすることもできます。
5. まとめ
M5Stackを使った観葉植物育成デバイス制作の第1回いかがでしたでしょうか?
今後は、M5Stackに水分センサや照度センサなどを接続して、植物の様々な環境を計測できるようにしていきます。また、電池式噴霧器を改造してM5Stackから水やりをできるようにもしてみたいと思います。
M5StackはWi-Fiなどが内蔵されているので、遠隔から操作も可能ですし、Twitterなどインターネットに接続して、植物を擬人化した投稿なども面白いのではないかと考えています。
それでは、次回からは実際にデバイスを作っていきたいと思います。お楽しみに!
今回の連載の流れ
第1回:植物育成デバイス制作の準備(今回)
第2回:センサを使って室内の状態チェック
第3回:各種センサの結果をインターネットに接続して共有する
第4回:電動スプレーを操作して自動水やり機の完成!