決勝は香港対ベトナム、となった。
ベトナムは、昨年の王者。ABUロボコンの世界では、間違い無く強豪。対する香港は、2009年大会で決勝進出を果たしているが、一般にそれほど強豪というイメージは無いのではないだろうか。しかし、機体の完成度は高く、記者の目は「端正な設計」と映った。整理整頓されている、というファーストインプレッション。ゲームでも、サーブもレシーブもそつなく決め、確かな力を見せてくれた。果たして、ベトナムの高速サーブを攻略することはできるか?
結果的にベトナムは、その高速サーブを武器としている。高い位置から一直線に放たれる低く速いサーブをリターンするのは、相当に難易度が高い。サーブに注力するのは、日本の東大も同じ。ゲームとして見た場合、この戦略が最も有効なのかもしれない。
とは言え、東大もベトナムも、手動と自動という違いはあったがかなりのレシーブ力を持っている。ベトナムの場合は、ラバーバンドでそのスイング力を生み出しているのが特徴だ。
会場では再度ヒップホップのパフォーマンス。
会場のモニターに両国旗が表示されると、また会場のムードが元に戻る。奇しくも赤地に星、モチーフ。
両国の選手とロボットが入場。コイントスで先攻はベトナム。ベトナムに有利か。香港も、いつもの機体が持ち上がるほどの鋭いスイングでリターンを試みるが、やはり難しい。
香港のサーブも返らず、1-1。
ベトナムのサーブは香港のロボットに当たり、イン。両チームとも、得点が入っても喜ぶそぶりを見せない。
香港のサーブ。ベトナムの横向き多ラケットが返し、3-1。
そして、マッチポイントに。ベトナムのサーブは誰も返せないのか? 4-1。
香港のサーブ。ベトナムが返し……、香港は返せない。5-1。ベトナム優勝!
さすがに抱き合って喜ぶベトナムチーム。国としては、ベトナムの連覇となった。
大きなベトナム国旗が翻る会場。会場からは惜しみない拍手。国旗をもったメンバーが会場を走り回る。昨年も見た光景だ。その光景を間近でみたのは、香港のチームメンバー。観客の香港席からは、メンバーを励ますように香港コールが起きていた。
結果を見れば、ベトナムは完勝。すべてのゲームで、相手にその実力を発揮させていない。2点とったチームがいないのだ。
手動、自動という切り口がクローズアップされた本大会、結果としては手動に軍配が上がった。とは言え参加校すべてが、独自の発想と取り組み、そして技術を見せてくれたのは、例年と同じ。やはりデバプラは、全ての参加者、そしてABUのみならずロボコンを愛する人々にエールを送りたい。
次回のABUはタイとの発表。アナウンスが聞きとりづらかったが、チェンマイバンコクとの情報も入っている。
そして競技内容。なんと呼ぶべきか……、テーマはクリーンエネルギー。立体的な障害コースを、風力で進み、そして最後は風力でポールを登るロボットを作るべし、ということのようだ。決め言葉は「Chai-Yo」。イメージ動画は近いうちに発表になるだろう。
新しい1年の、始まりだ。