決勝リーグ進出がかかる、予選サードラウンド。昼休憩の間、希望するチームはテストコートでの調整が行える。ここに駆けつけたチームの中には、もちろん日本と中国も含まれていた。
日本チームのリーダー・三宅さんは、試合前の勝負師の表情とはうって変わって、晴れ晴れとした顔を見せてくれた。それもそのはず、「昨日、最悪0勝2敗で終わるんじゃないかと思ってましたから」という状況の中、マレーシアから勝利をもぎ取ったのだ。「次のゲームに集中して、ひとつひとつ」とのことだった。次戦、スリランカに勝てば、決勝トーナメント進出が確実なものになる。
一方中国チームのメンバーは、重いムードに包まれていた。初戦、カメラ2台の片方が動作しなかったことに加え、それ以外にもトラブルがある模様だ。PCを操作するメンバーは「ブラックボックス」に設置されたモニターの前に張り付いて調整を行い、その他のメンバーは所在なげな様子。5分間の調整時間の間、ほとんどラケットを振ることはなく、ひたすらソフトウェア的な調整に時間を使っていた。最後の1分ほどになってようやっとシャトルが飛び始めたが、人間が放ったシャトルを相手コートに落とすことができない。
ベトナムは、そろって昼食をとる。他チームが調整に追われつつかろうじてランチボックス的なものを食べる中、皿にのった本格的な魚料理まで! おそらく、郷土の料理なのではないだろうか。決勝進出が決まっているとは言え、かなりの余裕。
現時点で決勝進出が確定しているのは、そのベトナムに加え、インドネシア①バンドン、タイ(いずれも編集部調べ)。続いて決勝進出を果たすのは?
試合開始が待ちきれず、会場では盛大なインドネシアの応援。ジャッジやスタッフが会場に姿を見せ始めると、場の空気が引き締まってくる。
そして第1試合。Aグループ、スリランカvs日本。サーブは日本から。いつものように、三宅さんの鋭い気合いからスタート。ファーストサーブはアウト。スリランカのサーブ。早稲田レシーブ機が返し、ポイント。1-1。2回目の早稲田サーブはイン。返せず、1-2。早稲田コールが応援席から。スリランカのサーブ。きわどいライン際を見極め、アウト。1-3。ここでスリランカがタイムアウト。機体には触れない。純粋な作戦タイムアウト。さらに早稲田のサービスが決まり、マッチポイント。キレッキレの早稲田が戻ってきたか? 1-5で勝利。グループ1位通過で、決勝トーナメント進出決定!
第2試合はBグループ、ロシアvsモンゴル。ロシアのサーブに対して、レシーブを試みるモンゴル。ラケットに当てるが、飛距離が足りない。対するモンゴルのサーブは、高い位置からの高速サーブ。お互いにポイントを重ね合う展開。3-3から、流れが若干ロシアに傾き、5-3。5ポイント先取、というのはなかなか難しいルールかもしれない。ロシアの勝利。
第3試合、Cグループ。エジプトvsカザフスタン。カザフスタンのすっきりとしたロボット。設置中、何かのパーツが落ちたが、大丈夫か? その影響なのか、ファーストサーブ、シャトルは落としたものの、ラケットを振れず。2回目のサーブも、相手コートに届かない。点数を重ねることができず、0-5。エジプトの勝利。
第4試合。Dグループは中国が含まれている。イランvsネパール。イランが勝てば、Dグループ1位通過となる。イランのマシンは、エアタンクが国旗と同じ色に塗り分けられている。美しい。対するネパールのタンクも、水色に統一され、国旗の赤とのコントラストが美しい。さらにはなんといってもボヨンと跳ねる勢いのサスペンション。動きはかわいい。お互いにサーブで得点を重ねるが、結果は5-2。イランは中国を押しのけ、グループを1位通過!
第5試合はEグループ。インドネシア②バタムポリテクニックvsインド。エジプトは扇風機マシン。当然会場はアナウンスが聞こえなくなるほどのインドネシアコール。エジプトの大回転サーブをラケットに当てるが、ネットを超えられないインドネシア。インドネシアも高い位置からのサーブが有効。しかし決め手を欠き、2-4とインドのマッチポイント。最後のレシーブも、ラケットに当てたものの相手コートに運ぶことができず、会場は落胆の声に包まれる。2-5でインドの勝利。
第6試合はフィジーvs香港。Fグループ。香港は大柄なマシンにもかかわらず、かなり機敏に動ける。サーブは精度が高く、スイングはコンパクトで鋭い。トータルで完成度が高いと言っていいだろう。フィジーを難なく押し切り、文句なしの決勝進出を決めた。
もうひとつのFグループ、予選リーグ最後のゲーム。パキスタンvs韓国。パキスタンのロボットには、誇らしげに国旗がひるがえる。パキスタンのサーブを韓国が返し、得点。しかしその直後のサーブで痛いミス。パキスタンのその後のサーブも決まらず、韓国がポイントを重ねる展開に。1-5で韓国の勝利。