決勝トーナメントに突入する前にも、テストコートでは練習が行われていた。その場の主役は、またしても中国。そしてその内容は……、記者には、完全復旧、と見えた。香港チームとの試合形式で行っていたが、香港のサーブを8割以上返していた。その様子を間近で見た記者は若干のトリハダを覚えた。ラケットは1台につき2本積んでいるが、その内の上部ラケットは(おそらく)エンコーダ付きのモーター駆動。それがほぼ垂直に取り付けられ、左右どちらにでもスイングできる仕組みになっていた。
さらにはシャトルが自機上空1メートルほどになった時に始まるXYテーブルの動きは、月並みな表現だが、目にもとまらない。XYテーブルの瞬時の移動、下部ラケットと上部ラケットどちらを使うのか、さらには上部なら左右どちらに振るか。100fpsという2台のカメラ画像の解析をして、この処理を行うというのは……、記者には想像できない世界だ。
……と、感嘆している記者の元に、決勝トーナメント表が届いた。その中に、中国の、あるいはRp of Chinaの文字は無い。中国のワイルドカードでの決勝進出はならなかったようだ。
会場は、しばしのステージパフォーマンスタイム。おそらく若者に人気のアーティストと、そして民族楽器のコラボレーション。ガムラン音階とでも呼ぶのか、独特のメロディが心地よい。
決勝リーグ第1試合は日本vsベトナム。
日本にとって、当たりたくなかった相手に違いない。昨年の覇者、ラクホン大学を破ったチーム。国内の自動機の強豪を破ってABUに来た手動機、という意味では、早稲田もフンイエンも同様。
応援席からニッポンコール。試合開始。
三宅さんだけではなく、島さんも低く構え、気合いが入っている様子。早稲田サーブ。わずかに距離が足りない。ベトナムは冷静に見切る。そしてベトナムの高速サーブ。……返せない。早稲田サーブ、今度は若干右より。またしても見切られてアウト。0-4。ここで日本タイムアウト。機体には触らない。一度心理的にクールダウンしようということか。その甲斐あって、ベトナムのレシーブからさらに日本のレシーブ成功! 1点返す。しかししかし、ベトナムの高速サーブを攻略することは、三宅リーダーでも難しかった。結果、1-5。ベトナムのラバー機が勝利。早稲田、無念。
第2試合はインドネシア①バンドンvs韓国。
会場には、インドネシアの歌だろうか、合唱が始まり、隣の人の声も聞こえない状況。インドネシアのサーブレシーブ成功! 会場は……もう自分の声も聞こえない。ついでに書けば、インドネシアがレシーブを失敗した時も、落胆の声でアナウンスの声が聞こえない。
ゲームは2-2。韓国がタイムアウト要求、しかしジャッジが認識しておらず、そのタイミングが遅れる。2-3から2-4。インドネシアのマッチポイント。韓国のサーブを返し、インドネシアが勝利。2-5。
第3試合はイランvs香港。
香港もイランも、手堅い戦いぶりを見せてきた。特に香港はやはり手堅い。きわどいコースでも必死に追いかけ、そして機体が持ち上がるほどのスイングで相手コートまでシャトルを届ける。イランのサーブミスもあり、結果は1-5。香港、優勝候補か?
第4試合はタイvsマレーシア。
タイの機体はコンパクトにまとまっているが、モーターは巨大。タイのサーブ、マレーシアのレシーブ。さらにタイとラリーになり、会場が盛り上がる。マレーシア、コート長辺を自動制御しているようだが、2機が重なってしまう状況などもあり、タイに届かない。タイムアウトで立て直しを図ったが、そのまま、5-1でタイの勝利。
準決勝進出は、ベトナム、インドネシア①バンドン、香港、タイとなった。