Robomaster

決勝直前! ロボマスター2018 @深セン現地レポート

ロボマスター2018

中華人民共和国広東省・深圳市。
総面積は2,000平方キロ弱、人口は1,300万人。ほぼ、東京都と同じようなデータだ。

中国の南端に近く、南を向いて深圳湾に向かって立つと、向こう側に見える陸地が香港、視界には入らないが、左手には台湾、右手にはベトナム。正面の海は南シナ海で、フィリピンやインドネシア、シンガポールなど、近年成長めざましく、そしてこれから、より一層技術的な発展を遂げるであろう国々へとつながっている。

この深センにデバプラ編集部が降り立った目的は、ドローンで有名なDJI社が主催する大規模なロボットコンテスト「ロボマスター」。既報の通り、この中国の大会には、今回日本からチーム「FUKUOKA NIWAKA」が乗り込んでいる。

二重の理由で注目のこの大会を、現地からレポートしたい。

改めて、ロボマスターとは? おさらい

まず、ロボマスターについて手短に。端的に表現しようとすれば、下記のようになる。

ドローンで有名なDJI社が主催する、大規模なロボットコンテスト。
中国国内の学生が7000人以上、200チームが参加。
7台のロボットを製作、各パイロットがFPS(一人称視点)で操作。
撃ち合い、相手の基地を破壊すると勝利、という対戦型。
優勝賞金は約850万円。

より詳しい情報は、下記のサイトと、デバプラ記事をご覧いただくとわかりやすいだろう。

ロボマスター公式サイト
FUKOKA NIWAKAによる「ロボマスターとは?」
FUKOKA NIWAKAによるルール説明、ライブ配信
祝・ロボマスター日本初参戦 高専・学生ロボコニストが目指す “世界” Fukuoka NiwakaインタビューVol.1 | Device Plus – デバプラ

一言でその特徴を表すとすれば、「最新のゲームのような、e-Sportsのようなロボコン」ということになるだろうか。ご存じの方には、「リアルPUBG」「リアルWorld of TANKS」と言えばわかりやすいだろう。

公式ストリーミング、そしてこのゲームどう見るか

ロボマスター2018

ロボマスターは、ゲーム映像の実況プラットフォームとして有名な、「Twitch」でのライブ配信が行われている。そのルール自体がe-Sports的なエンターテイメント性にあふれることを考えると、非常に納得できる選択だ。

Twitch ロボマスター公式チャンネル

過去のマッチも、すべてアーカイブされている。数試合見れば、その基本的な内容や、エンターテイメント性の高さがわかるだろう。

ただ、ロボットの台数も多く、ルールも複雑だ。どう見ていいのか、やや混乱してしまうかもしれない。そこで、ベーシックな見方を挙げておこう(記者の熱により、少々長くなった。ロボマスターをすでによくご存じの方には、ご容赦いただきたい)。

「有利」を作る

ゲームの目的は、相手基地のHPをゼロにすることだ。しかし、なかなかそこまでたどり着くことはできない。ロボット全機で基地に向けて突進したとしても、返り討ちに遭うのが通常だろう。よって、1マッチ7分の前半は、何かしらの「有利」を取りあうことになる。

最も大きな有利は、最初に相手のロボットのどれか1台を倒す=HPをゼロにする「ファーストブラッド」だろう。相手の1台が欠けることで、当然数的有利が生まれる。例えばサッカーでも、レッドカード1発退場、となれば、試合のパワーバランスは大きく傾くだろう。これと同じことが、ロボマスターでも起こる。

また倒されたロボットは工兵ロボが牽引・回収して回復させることができるが、その作業を行うとすれば、前線の「枚数」がさらにマイナス1ということになる。7台中の2台分の戦力ダウンは大きい。ロボットの機能を考えると実質は5台中の2台が欠ける、と言えるかもしれない(哨兵とドローンは「通常戦力」ではない)。

さらに、このファーストブラッドを達成すると、相手の「哨兵」の動きが一定時間止まる。哨兵を倒す大きなチャンスとなる。哨兵のHPをゼロにすると、「基地」の防御版が下がり、基地へ効率的に攻撃を加えられるようになることを考えると、やはりこれも大きな有利だ。

マシントラブルや転倒などで戦線離脱してしまうロボットが現れると、これも当然、相手に大きな有利を献上してしまうことになる。できる限り避けたいところだが、NHKロボコンなどと同様、完璧、はあり得ないのがロボコンの世界だ。

序盤・中盤

ロボマスター2018

序盤で特に着目すべきは、やはり「ヒーローロボット」だろう。高い体力を持ち、そして唯一42ミリ弾を撃てる、その名の通りの強力な存在だ。42ミリは、17ミリの実に10倍の威力。42ミリを確実にヒットさせることができれば、瞬時に大ダメージを与えることができる。歩兵などは一瞬でダウンしてしまうだろう。

ヒーローのゼッケン(?)番号は「2」。通常、工兵ロボットと同じようなサイズをしていることが多いが、番号を見るとわかりやすい。

試合開始後、ヒーローはまず弾のロードに向かう。そのスピードも、有利を作るひとつの手段だ。ただ、相手は工兵を中心にそのロードを妨害する作戦を採ることもある。また、箱をつかんで、弾を機体に運ぶ機構の確実さも「個の力」だ。まずはこのロードを、どちらがスムーズにこなしているか。

こうしたロボットのマニューバに関して、Twitchの画面で見ているような、第三人称の視点とは大きく違う、ということを強調しておこう。記者も、深センにあるロボマスター本部の(極秘)テストフィールドで、実機歩兵を操縦した。予想通り、難しい。当然ながら、ビデオゲームのようにスムーズには動かない。主観カメラの視界は限られており、かつ鮮明とは言いがたい。路面とこぼれ落ちる弾のせいで、つねにガタガタと揺れる(カメラの支持部にはドローン用のジンバルが使用されていた。それでも常に画面は揺れている)。自機の位置、側面、背面とマップの関係を、「感覚」としてつかんでいなければ、スムーズには動けない。ちなみに、FUKUOKA NIWAKAのメンバーも、FPSのゲームでトレーニングしたようだ。

序盤が落ち着いたその後は、チームによって作戦の違いが出てくるだろう。

個の力を活かして切り込んで、強引にこじあけるか。
ある程度のフォーメーションを守り、相手のミスを誘うか。
工兵の、42ミリ弾のロードを狙い攻撃力を優先させるか。
スペシャルタスクをこなして、攻撃力を高めるか。

……この辺りは、まさにサッカーのようなチームスポーツと近いものがあるだろう。ロボットの性能と操縦スキルという個の力と、それを活かす戦術。もちろんただ目の前の苦境をどうにかしなくてはならない状況や、ただ混沌としたフィールドで最善を尽くす、という状況も多いだろう。ただ、レベルが上がるにつれ、やはり戦術が重要になってくる、という感触はある。

基本的には、多対少の状況をいかに作るか、ということになるだろう。1対1で撃ち合っては、ダメージの交換という意味ではイーブン。2対1、3対1をいう状況を作れれば、ダメージ交換の効率はぐっと上がる。有名なランチェスターの法則であり、戦闘機2機1組を基本行動単位とするロッテ戦術も同じ考え方だろう。

また、そのロッテ戦術でも重視されている「攻撃するときが最も危険」という原則も忘れてはならない。相手ロボットを狙う時、動きながら狙うのは至難。よって、足が止まることになる。足が止まるということは、相手のエイミングは容易になる。危険度は一気に高まる。よって、例えばヒーローがある相手ロボを狙うような時、歩兵がその周りをガードする、というシーンがよくある。これもフォーメーション、戦術、ということだ。

序盤・中盤以降の試合の流れは、そのマッチ次第、ということになる。有利を取られ、ディフェンシブに戦うことを強いられても、わずかでも相手基地へのダメージを与えていれば勝利することもできる。しかし、恐縮ながら、記者も後半の戦いについては多くを語ることができない。この部分については、引き続き鋭意取材を行いたい。後日、FUKUOKA NIWAKAメンバーにもじっくりと聞くつもりだ。

現在、フィールドでは決勝トーナメントが行われている。この後も取材を続け、現場の空気をお伝えしていくつもりだ。

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Device Plus 編集部

エレクトロニクスやメカトロニクスを愛するみなさんに、深く愛されるサイトを目指してDevice Plusを運営中。

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