決勝直前! ロボマスター2018 @深セン現地レポート
【速報】ロボマスター2018深セン現地レポ・FUKUOKA NIWAKA参戦記
本戦トーナメント最終日 3位決定戦
2018年7月29日の会場は、これまでと違い9割がたの観客席が埋まっている。そしてステージにはMCが立ち、テレビ番組のような演出がほどこされている。
この場にたどり着いたのは4チーム。
中国鉱業大学・CUBOT
ハルビン工業大学・I Hiter
華南理工大学・South China Tiger
東北大学・TDT
29日の初戦は赤・中国鉱業大学と青・ハルビン工業の3位決定戦。
1R、ハルビンが相手ヒーローをダウンさせ、有利な展開に。
対して中国鉱業もボーナスを取得。すぐさま続けて2回目のボーナス。そして、相手ヒーローを囲んで集中砲火。逆に、ハルビンのヒーローがダウン。形勢逆転。続けて、中国鉱業は2回目の相手ヒーローを倒し、そして歩兵2台も倒し、相手の戦力を削りきったところでベースへ。序盤に逆転で得た有利を最後まで活かしきった中国鉱業の勝利。驚いたのは、橋の上からのベース攻撃。中国鉱業は哨兵を倒すのを困難と見たか、ヒーローが連射性が高い状態かつ42ミリをロードした状態で、橋の上から、開いていないベースを攻撃。タイトな射線を通しきり、4000HPほど削っていた。
2R。
開始直後、ハルビンの工兵が転倒。このレベルの戦いで、これは勝負ありという感じ。
……と思いきや、ヒーロー同士の撃ち合いで相打ち。ただハルビンの工兵が欠けているのは大きい。やはり、中国鉱業が相手ロボットを次々とダウンさせ、余裕の勝利となった。……と記者が書ききった残り2秒、生き残っていたハルビンのドローンが、相手ベースをひそかに狙っていた。最終のベースのHP、9800対9850。50ポイント多かったのは、青のハルビン! 満身創痍、戦力潰滅、という状態にも関わらず諦めなかったドローンパイロットが、奇跡の勝利をもぎとった。
3R。
中国鉱業は、初手で工兵が42ミリのロードに向かう。そして歩兵はボーナスパネル狙い。対するハルビンは、隙があると見たか、哨兵を狙う。そしてマッチは壮絶な撃ち合いへ。どちらも決定打を得られないまま、残り2分。ファーストブラッドを得たのは中国鉱業。しかしハルビンもやり返し、歩兵、ヒーローをダウンさせる。しかし、戦局は決定的には傾かない。結果は、またしても僅差。最終HP、9250対9450。ハルビンの勝利。
4R。
試合が動いたのは残り4分半。ハルビンヒーローが相手ヒーローに迫り、逆に囲まれピンチになりつつも、倒しきった。ファーストブラッド。そしてハルビンドローンが、またしても中国鉱業のベースHPを削る。対する中国鉱業も、歩兵を2台を倒す。が、その代償としてまたしてもヒーローを失ってしまった。デジャビュか、戦局が傾きそうになっても、決定的にならない。ベースのHPは、少しずつ変化している。最後まで勝敗の予測がつかない。残り20秒、初めてベースのガードが空いた。決定的な機会を作ったのは、中国鉱業。相手ベースHPを初めて大幅に削り、勝利。2−2となった
5R。
先に有利を取ったのは、ハルビン。残り4分半、立て続けに相手歩兵2台を倒し、中国鉱業の戦術の幅を大きく狭めた。……が、やはりこれでも、戦況は傾ききらない。両チームの、この底力はなんなのか。最後は、残り数秒まで壮絶な撃ち合い。戦力を多く残したのは、赤中国鉱業。しかしベースのHPはまたしても50以下の差。そして残りゼロ秒、勝ったのは……中国鉱業!
3−2で、中国鉱業が3位決定戦を制した。この5ラウンドは、記者がこれまで見たロボマスター2018大会の中で、ベストバウトと言える。
本戦トーナメント最終日決勝
いよいよ、決勝。カードは赤・華南理工大学 対 青・東北大学。両チームとも、一言で言えば、強い。各ロボットの性能は一目で分かる。そしてマッチを見るにつけ、次第にその戦術のレベルの高さもわかってくる。華南は2017大会のチャンピオンだ。5ラウンド制。
1R。
試合開始後40秒で試合が動き出す。赤華南のヒーローが、東北ヒーローを追い詰め、倒す。さらにその隙を突いて42ミリのロードに成功。が、両リーム決定打を得られないまま残り2分。微妙なベースHP決戦になると踏んだか、ロングショットで相手ベースを狙う東北大学。華南もドローン! 残り10秒、ヒーロー同士の撃ち合いもあったが……、決め手はドローンだった。9800対9775。華南理工大学の勝利。
2R。
両チームとも仕掛けず、42ミリのロードを狙う。色違いのリソースアリランドで取り合った。先に有利を取ったのは、華南。ヒーロー、歩兵のHPを瀕死まで削った。が、戦局は傾ききらない。両チームとも、自陣から大きく突出しない。これを打開したのは、華南の仕掛け。突入した工兵、そして混乱を作り全機突入。相手を囲むように集結し、歩兵を倒した。が、結果は返り討ち。戦況は変わらない。そして残り1分、またしてもドローン勝負か? 残り20秒、両チームとも、相手ベースに突入。9625対9750。HPを多く残したのは、東北大学。1−1のタイに戻した。ドローン、大会序盤では目立たない存在だったようにも思うが、ここへきて、その力が生きてきた。
3R。
序盤、やはり慎重な展開。両チームとも42ミリロード狙い。東北大学は安全な自陣でヒーローに受け渡し。そして工兵がフェイント的に切り込むものの、両チームとも自陣を出ず、ディフェンシブなまま残り3分。「出られない」という方が正しいか。残り1分、未だファーストブラッド無し。これは……両チームに、その作戦と心情を聞いてみたい。
突入したのは東北大学。が、華南は冷静に対応しして返り討ち。そして……、タイムアップ。目の前で見ていた記者でもその結末がわからない状況。ベースHPは両チームとも減らず。与ダメでの華南勝利。2−1で華南一歩リード。
4R。
やや混沌とした序盤だったが、収まった。やはり42ミリロードを狙う両チーム。華南はポール昇り機構。東北の工兵→ヒーローへの42ミリ受け渡し時、華南歩兵が迫る。……ものの、やはりそのケアはしっかりできている東北。その勢いをかって、敵陣で展開する東北。ここで負ければ敗退決定。オフェンシブに行く必要がある。仕掛け続ける東北。ファーストブラッドを得たのは……、華南! 切り込んできたヒーローを返り討ちにした。そしてそれを行動をともにしていた工兵も瀕死! 回復スポットに戻るが、途中でダウン! これでマッチは決定的なものになった。華南、攻めることをせず、確実に守りきった。東北ベースのHPは9800程度。大ダメージを与えてはいないが、しかし、確実な勝利。
最終スコアは3-1。華南理工大学・South China Tigerが連覇、ということになる。
優勝後のインタビューで、華南メンバーはその戦術について、一端を明かしてくれた。特に重視したポイントは、ディフェンスと対戦相手のスカウティング。決勝の対東北大学の各ラウンドでも、確かにディフェンシブな、確実に勝つことを狙った試合運びを見せてくれたように思える。ハイレベルな戦いはどうしても拮抗し、守り、相手を引き込み、隙を作らせ、そこを一挙に突くという、トップリーグのサッカーのような戦いが求められるようになるということだろう。
魔法が解け、また新たな挑戦が始まる
この後も、おそらくロボマスターは拡大していくのだろう。その企業としてのパワー、中国・深センという地が持つ求心力を活かして、世界から挑戦者たちを集めることになるはずだ。
編集部は深センにあるロボマスター本部を見学した。そこにはフルサイズのテストフィールドが用意され、金属加工も行えるラボが併設されており、「サマーキャンプ」として、高校生が実機を作り、フィールドで動かす場を与えられていた。つまり、大学以前から、ロボマスターというイベントに関わることになる。これは一例に過ぎないが、広い意味でのロボマスターというイベントは、この一週間の間だけのものではないことが言えると思う。そうしたことを併せ考えると、これからもロボマスターに注目していかざるを得ない、というのが記者の感想だ。
前述の通り、この大会の一週間のことを、おそらくは場所も含め「魔法」と呼んだ参加者がいた。この決勝戦終了とともに、魔法は解けてしまったのかもしれない。しかし、また来年、新たな、そしてリアルな魔法の世界が、ここ深センで生まれる。それを楽しみに待ちたい。
今回の連載の流れ
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