Robomaster

RoboMaster 2019 FUKUOKA NIWAKA かく戦えり(1)最大の課題は「人」

RoboMaster 2019
RoboMaster 2019に、日本から唯一出場したFUKUOKA NIWAKAチーム。
結果は既報の通り、国際予選での敗退。本気で優勝を目指したメンバーにとって悔しすぎる結果になった。
大会後、帰国したメンバーに集まってもらい、深センに至るまでの道と、あのとき現場で何が起こっていたのか、そして今後について聞いた。
明らかになったのは、意外とも思える困難。何かの参考になればと、包み隠さずこれを教えてくれたのは、チーム発起人の古賀さんに加え、中核メンバーの3名の方々だ。

  • 古賀 聡さん(プロジェクトオーナー ニワカソフト株式会社)
  • 河島 晋さん(プロジェクトマネージャー ニワカソフト株式会社)
  • 花守 拓樹さん(機械班、チームリーダー 九州大学大学院)
  • 花園 楽志さん(回路班 久留米工業高等専門学校)

(以下敬称略)

左から古賀さん、河島さん、花守さん、花園さん

左から古賀さん、河島さん、花守さん、花園さん

2019大会に向けて、最大の課題

━━まず、だいぶ遡ります。2018大会の後から振り返っていきたいと思います。

河島:この1年、いろいろ濃いことがありすぎて、かなり遠い記憶になってますが(笑)。
2018大会の後2ヶ月ぐらいは、ルール発表を待ちながらオフシーズン、という感じでした。MakerFaireに出展したり、広報的なことはしていましたが、具体的に勝つための活動、みたいなものはありませんでした。初めてのオフシーズンということで、みんなどうしたらいいか、わからなかったこともあるかもしれません。

━━新ルールの発表は9月ですね。

河島:はい、9月20日にルール発表になって、それから集まろうという感じだったのですが……、ここから、厳しい状態が始まっていました。人が集まることが、シーズンを通してずっと難しかったんです。

━━意外です。外から見ている限り、広報も積極的にされていましたし、公式サイトのメンバーリストも充実しています。クラウドファンディングなどもありました。賑やか、という印象でした。

河島:そうかもしれません。しかし、去年の大会が終わって、ベスト16という結果に満足した人もいるかもしれませんし、張り詰めていたものが切れた人や、やり過ぎて疲れてしまった、という人もいるかもしれません。やっぱりロボマスは大きな大会で、作るロボットも多くて、精神的負担が大きいですからね。
結局、花守が大半のロボット設計をし、僕がたくさん回路をつくったりプログラムをしたり、というスタートでした。

花守:人材募集もいろいろしたんですが、ちょっと反省しています。例えば高専ロボコンの九州沖縄交流会で、プレゼンをさせてもらったんです。そうすると、やっぱり盛り上がる。みんなすごい勢いで食いついてきます。だけど、高専ロボコンの現役の人たちですから、そこからすぐにRoboMasterに移籍するのは難しい。だから、人材募集をする場所を調整しても良かったのかな、と。例えば卒業間近の人など、進路は決まっていて、ロボットはやりたいけどどれにするかは決まっていない、という人にアタックするべきでしたね。

━━「人」が足りないスタートで、その後も改善されなかった、ということですか。

河島:はい。いろいろ手伝ってくれる方はいたんですが、核となって開発にあたることができる人は、ここにいる3人と、高辻克海さん(北九州工業高等専門学校)、他に少し。ひとりひとりが抱えるタスクは膨大でした。綱渡りというか、みんなそれで苦しみましたね。

花守:綱渡りがいろいろ響きすぎて、ちょっと(笑)。

ロボット開発の理想と現実 そしてブライトスポット

━━人のマネジメントという要素と関連して、技術、つまりロボットの開発、という要素もあります。こちらはどう進みましたか。

花守:本当は、全部のロボットを並列で進めたかったんです。それでメンバーを3チームに分けて、作業を分担していくつもりでした。しかし、結果としてはうまくいきませんでした。僕がいないチームでも自律的にものごとが進んでいく、という状態にならず、結局僕が全ての設計に関わっていました。これは僕の判断ミスです。
ただ、回路に関しては、去年よりも連絡が密に取れていたと思います。全体として、ロボットをよくしていこう、という意志が統一されていました。完成した後の機械に「こういうセンサー付けてください、ここをこうしてください」というフィードバックがあって、完成度が上がったり。
去年は北九州と博多で分かれて作業をしていましたが、今回は一箇所になりましたし、僕も2年目ですし、この部分は、前回より全然良くなったと思います。

河島:前回は、担当するロボットを、各個人のスキルとセンスで組み立てる、というイメージでした。今回は「このロボットのシステムを作ればこっちにも流用できるよね」なんていう俯瞰的な視点があって、そういうところは成長があったな、と思っています。

花守:連携は良かったですね。人数が少なかったから、というのもありますが。

━━ロボット5種、全体としてどのくらい理想に近づけましたか?

RoboMaster 2019

花守:優勝が目標でしたから、国際予選敗退の時点でザンネンなんですが……。ただ、前回ダメだった部分、例えばヒーローロボットの弾詰まりの問題とかは、だいぶ減ったと思います。

━━今回は、エンジニアロボットに特に力を注いだ、と聞いています。

花守:そうですね。一番時間がかかっています。

河島:まず、僕が全体のアーキテクチャや、全てのロボットに共通するライブラリ的なものを作りました。これを他の種類のロボットにも展開したわけです。そして、エンジニアロボットとして作り込んでいくメインの担当は、花園さんでした。

━━あの起き上がり機構とサスペンションの動きには感動しました。(記者注:下記ツイートを参照いただきたい)。

花園:あのプログラムを書いたのは僕です。

河島:あれすっごいですよね。

古賀:記事にしてほしい。

花園:自慢したい(笑)。

花守:起き上がり機構の方は、僕がいったん帰宅して、翌日ここへ来たときにはすでに実装されていたんですよ。そういうふうに設計したわけじゃないんですけど、勝手に(笑)。

河島:その直前に花園さんが、「これ、アームを広げて勢いよくモーター動かしたら起き上がれるんじゃね?」なんて言い出して、僕は「そんなバカな」って。でも、その数時間後には実装されていて、「ヤベーな」って、めっちゃ思ってました。

━━ある意味、ブライトスポットというか、うまくいった部分ですね。冒頭で、人員が足りなかった、というお話がありました。にもかかわらず、なぜ、そうしたいわばエクストラの開発が可能になったのでしょうか?

花守:技術的なことで言えば、偶然、かもしれません。僕が図らずも、そういう遊びが可能になる、自由度の高い設計にしていた。僕の言葉で言えば、「安定した自由度」を増やしていきたいと思ったのは、今回の学びです。

河島:人員的なことで言えば、「エンジニアロボットは花園の担当」という仕切りで、他のことを一切考えなくていい状態にしたのが、このつながりを生んだ理由だと思います。当然、エンジニアが良くなるにはどうすればいいだろうと考える時間が非常に多くなります。他のロボットを担当していたら、たぶんできなかった。今、少し余裕ができたとしたら、他のロボットを触ることになったと思うんです。つまり、最低限のことしかやらない、やれない感じ。
でも今回は、花園さんはエンジニアロボットに集中できて、元々の設計を越えることができた。これって、多分、ロボコンである一線を越えるには必要なことなんじゃないかと思います。チーム全体としては、それができませんでしたが、エンジニアのこの部分に関しては、成功しました。

━━なぜ花園さんはそこに集中できたのでしょうか?

花園:僕がエンジニアロボットだけに集中していられる環境を周りの人たちが作ってくれたんですが……、

━━妄想でお聞きすると、寝食を忘れて楽しんでいた、とか。

花園:寝てはいなかったですけど(笑)。

次記事に続きます:RoboMaster2019 あの試合では、何が起こっていたのか?FUKUOKA NIWAKAかく戦えり(2)に続く

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