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RoboMaster 2019 あの試合では、何が起こっていたのか?FUKUOKA NIWAKAかく戦えり(2)

RoboMaster 2019
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━━その他のロボットに関しては、どんな仕上がりでしたか?

河島:哨兵ロボットは、射出機構が付きませんでした。射出機構を付けずに軽くすることで、速く動けて回避力が上がります。それが一番重要だと考えていました。ただ実際に作ってみると、タイヤのスリップがあったり、制御ではどうしようもないところが出てきたりして、その調整は不充分でした。
ドローンは、本当に大会の1〜2週間前にかたちになったぐらいで、一番アタフタしたロボットだったかもしれません。

古賀:ロボットじゃないですが、自動照準自動射出は、やりたかったものがやれなかった、という状態です。

河島:それは、人員の問題や、目標設定に対してうまく動けなかったという反省が大きかったところです。
相手の装甲板を検出してそれを追尾する機能は実装しました。ただ、実際の試合のスピードで操縦したときに、本当に有用で、助けになるものではありませんでした。もっと練習をたくさんやって、調整して行かなければならなかったんですが、時間が全く足りませんでした。

花守:上位チームは、試合中でもそのデータ集めと調整をしていましたね。そのへんの余裕は違いますね。

━━歩兵ロボットはいかがでしたか?

花守:チーム内ではいろいろ意見がありましたが、僕が総合すると、前回のものの方が良かったという気もしています。今回は、CFRPのシャーシにしました。衝撃に強くしようと考えたんですが、ただ、CFRPのしなりとかたわみが、操縦のしづらさにつながってしまった、というのが結果です。
射出機構は確実に今年の方が良かったです。結果論でしかありませんが、僕が前回の操縦性と今回の射出機構を融合させられていれば、というところです。

河島:今回の花守の設計は、外部からの強い力に対して、非常に強くなっていました。前回、衝突で装甲板周りがゆがんだりすることは多々あったんです。今年はそれをうまく守れるような構造になっていて、メンテナンスは非常に楽になったと思っています。

━━前回、花守さんはとても辛かったんですよね。ホテルに帰っても寝ずに直したり……。

花守:はい、それはやりたくなかったんで(笑)。ヒーローも同じです。やっぱりCFRPで、射出機構は良くなって。ある程度は良くなったけど、反省も大きいです。

もうひとつの要素 ゲームとしてのRoboMaster

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━━勝ち抜くためには、1試合ごとの、作戦というか戦術というか、いわば対戦ゲームとしての側面もあると思います。どんなことを考えていたのでしょうか。

花守:耳が痛いな……。前回はメンバーだった人の中に、FPS(1人称視点シューティングゲーム)とか戦略的なゲームが好きな人がいたので、ルールを解析したり勝利のシステムみたいなものを決めたりしていました。今年はその役割の人がいなくなってしまった。
それに加えて、操縦者の中に、前回の経験者が古澤美典さん(九州大学大学院)しかいなかったし、練習も十分じゃなかった。一応作戦はあったんですけど、それがうまくいったわけではないですね。
対戦した中では、香港科学技術大学なんかは、そのへんがすごかったですね。神がかっていたというか。ボーナスパネルを開けるタイミングと、ヒーローがエンジニアから弾をもらうタイミングと、歩兵が給弾するタイミングと、ドローンが飛ぶタイミングがすべていっしょなんですよ。あらかじめ決められた流れがあって、その瞬間に全員で攻める、という意志を感じる動きだった。そういうのを見ると、僕らは全然できていなかったし、まだイケてねえ、という感じです。

大会1日目 対カリフォルニア大学戦

━━ひとつひとつ試合のこともお聞きしていきます。

花守:今度は胃が痛くなる……(笑)。

━━すみません(笑)。まずはカリフォルニア大学でした。結果は2ラウンド先取、2−0で勝利。慌てず騒がず、もろもろの調子をみながら、というように見えました。

花守:そうですね。相手のロボットの台数や状態を見ると、ある程度の強さを推測できますよね。初戦はまあ、大丈夫だろうということで、落ち着いていきました。

━━実戦で動かしてみて、いかがでしたか?

花守:ぜんぜん悪くありませんでした。その時は、お互い調整期間として、激しくやりあわないように、ある種の協定を結んでいました。試合はもちろんちゃんとやるんですが、地形の把握とか、坂道をちゃんと上れるかとか、実際に相手のロボットが敵意を持ってこちらを向いた時にどうするか、とか、いろいろお互い試す必要があるので。

大会2日目 対クイーンズ大学、対香港大学

━━続いて、2日目のクイーンズ大学戦です。結果的に、1−1でドローになってしまいます。

花守:これは……、ロボットの性能的には、僕たちが勝ってないとおかしい試合だったんですよね。ただ、攻められなかった。

━━ニコ生のコメントを見ていても、「攻めてくれ!」というものが多かったと思います。花守さんは操縦者の一員として、そして河島さんはメンバーとして俯瞰して見ていました。どんなことが起きていたのでしょうか。

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花守:相手の攻撃力が意外に強くて、ビビったというか守りにはいったというか、そういう部分があります。俯瞰のカメラとか解説ブースで見られる映像とかだと、マッチ全体の流れや状況がわかりやすいと思います。ただ、僕らが主観カメラで見ているものとは情報量が違い過ぎるんですよね。その状況と、負けたくない気持ちが合わさって、攻められなかった。性能差を、相手の操縦者スキルでひっくり返されてしまった感じです。
言い換えれば、その試合でどう勝つか、勝利条件をきちんと把握できていなかったり、行動の優先順位が把握できていなかったり、そういうことがあったと思います。研究して、真摯に受け止めないといけないですね。

河島:ピットクルーも「攻めろ!」ってなっていました。試合が終わって、ピットクルーと操縦者の間でコミュニケーションがありました。ここは攻めるべきだったとか、いろいろ話ながら、改善し始めたのが、この試合が終わった後からです。
残り時間や与えたダメージ、もらったダメージはわかるはず。じゃあ今、みんなはどこを目指すのか、与えたダメージで勝つのか、基地のHPを削って勝つのか、あるいは確実に守ればいいのか、そういう勝利条件の意志統一みたいなことをしなくてはいけないですよね。その指示系統は花守がトップだったんですが、でも、別に花守がすべてやらなくてはいけないわけではなくて、他の操縦者もいるんですよね。命令があってもなくても、どう動けばいいか、その意志の統一みたいなことが不十分だった、というのが反省したところです。
まあ自分もぜんぜんわかってなかったところなんですが、俯瞰的に試合を見て、感想を共有しながら改善していった、という感じです。

━━操縦者視点と俯瞰と、やはりまったく違うんですね。

河島:自分も前回は操縦者だったんで、よくわかります。本当に操縦で精一杯なんですよね。負けた時も「え、何が起こった? なぜ負けた?」ということもありました。そんな状況です。

花守:なぜ負けたかわからない時点で負けていますよね。でも、それを見ていた人がちゃんと伝えてくれれば、改善できる。意見の交換みたいなことが、本当に大事だと思いました。それと、模擬戦というか、敵がいる状態でのトレーニングというのは、本当に足りてなかった。

河島:スポーツと同じですね。勝ち方は知っていても、自分の体を動かせるかどうかはまた別の話で。練習が必要というのは、まさにスポーツです。

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━━2日目の第2試合、香港大学戦は、2ラウンドを取って勝利となりました。激しい撃ち合いでしたね。

花守:やっぱり、前のマッチの経験から、勝利条件というか意思の統一ができ始めたというか、みんなの動きが良くなってきたところはあります。香港が攻めてきましたが、そこを冷静にしのいで、できるだけ相手の基地にダメージを与えようという感じに、意志がまとまってきました。派手な勝ち方ではなかったと思うんですが、作戦で勝っていった感じはあります。

次記事に続きます:大会の敗北で失ったもの、得たもの FUKUOKA NIWAKAかく戦えり(3)に続く

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