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日本のRoboMasterの歴史的転換点になるか!?「RoboMaster 2019 Japan Summer Camp in 北九州」完全レポート!(第3日目)

2019年8月28日から30日までの3日間、北九州で開催された「RoboMaster 2019 Summer Camp in 北九州」。全国のRoboMaster競技者が集まって、対戦や技術交流会を行うという日本初のイベントもついに最終日。昨日までの白熱した戦いから一転、この日は技術交流会やFUKUOKA NIWAKAのデモンストレーションなどを行い、和やかな一日となった。

robomaster2019 summercamp day3

第3日目・8月30日(金) 実り多い3日間の集大成。技術交流でさらなる進化を目指せ!

9:30・若手エンジニア交流会

3日目は、最初に「若手エンジニア交流会」が開かれた。競技者や運営者が技術や競技についての意見を交換することで、日本のロボマスの底上げを図る狙いだ。

各チームの代表が次々と登壇し、自分たちのロボットの工夫点や改善点、今回のキャンプで見えてきた、課題発表や質疑応答などを行った。各チームの発表内容を簡単に紹介しよう。

●蝦夷羆(EZO KAMUY)
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少ないメンバーで、しかもロボコン経験者がゼロという中、急ピッチでの製作でした。反省点は多いのですが、他チームのロボットや戦い方から参考になる点も多かったですね。ウィンターキャンプまでには、「戦えるロボット」として歩兵2台と、ヒーローロボットをしっかり完成させたいと思います。

●OSAKA TAKOYAKI
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2週に1回の頻度でミーティングを実施し、ロボを持ちこみ動かして改良・・・を繰り返しました。足回りがDCモータなので市販品のモータドライバと組み合わせるなど、ロボコンでの経験が活かせたと思います。電源系のコネクタを統一するなどして、加工量を減らすようにしました。通信のプログラムは未体験でしたが、DJIのモータのサンプルプログラムやブログ・書籍を参考に書いてみました。

●FUKUOKA NIWAKA葵
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FUKUOKA NIWAKAの中でも未経験者中心のチームでしたが、ラボにはロボコンに明るい人がたくさんいたので、質問しながら少しずつ進歩させました。配線ミスの動作不良、プログラムのミスなど経験不足でしたね。ロボットを始める時に学習できる環境が整備されていると、参加する人数や作る実働人数を増やすことができるのではと思いました。

●OOEDO SAMURAI
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4人という少ない人数、その上1人は佐賀に取り残されるハプニングで、今回はオリジナル機体を持参できませんでした。人集め、活動場所などに 苦労しています。現状としてロボコン経験者のマンパワーで回している状態で、他チームがどのように人を集めているのか、広報をどのように運用しているのか知りたいです。ウィンターキャンプに向けて、チームの体制なども含め一新させますので、ご期待ください 。

●NAGOYA SHACHIHOKO
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未経験者が中心の若いチームでしたが、大会中にみなさんからアドバイスを受けて、なんとか改善できました。うちは社会人も含めて平均年齢が19歳という若いチーム。経験も実績もない中での挑戦でした。拠点が名工大、中部大と別れているため、2つの大学で共有して同じことをやる難しさはありました。ウィンターキャンプでは技術的な観点の理解も深くして、みなさんとより一層交流したいと思います。

●Setouchi Salamander
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チームができて1ヶ月、実働期間は2週間ほどのチームです。まだロボットが動かない状態で北九州に来たので、試合ができるかどうか不安でしたが、なんとか試合ができて、多くのものを持ち帰れそうです。今回のキャンプでは、多くの方にご支援をいただきました。そんなみなさんに対して、いい試合をするという形で恩返しがしたいと思います。

●FUKUOKA NIWAKA杠
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3号機は今年の国際大会に出したものをベースにしましたが、中国から輸送がなかなか返って来ず、マシンが手元に届いたのが1〜2週間前。ソフトウェアを中心に改修しました。チームメンバーが5人と少ない状態で、徹夜もしつつ どうにか仕上げました。FUKUOKA NIWAKAは今、過渡期にあります。完全に学生チームに生まれ変わろうとしています。遠隔での運用、広報への課題などを抱えている側面もあるので、他チームとも積極的に意見交換したいと思います。

●Scramble
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奈良高専と舞鶴高専の2つの拠点で作業をしています。奈良ではジンバルを設計。舞鶴高専には広いスペースやロボットをすぐに動かせるメンバーがいるので、足回りを担当しています。高専ロボコンで活用した基盤を使用してロボットを動かすようにしました。まず、「ロボマスの競技特性を把握しよう」という目的から、”試験”として今回の ロボットを製作しました。ローラの向きやローラ間の距離など、色々実験ができる設計にしています。

反省を口にする者、自分たちの工夫を説明する者、改善への道筋が発見できた喜びを表す者・・・語る言葉はさまざまだが、どのチームも未来への希望がはっきりと見えてきたように思える。発表以降も、みんなが情報を交換しあっている光景を目にした。こんな機会を持てたことが、今回の一番の成果かもしれない。

続いて運営側からDJIジャパンのカワさん、FUKUOKA NIWAKAの2019年のリーダーであり、ロボットの設計を担当した花守さん 、そして今回の競技の主審を務めた河島さんが話をした。
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RoboMasterの技術に深くかかわってきた、DJIのカワさん(中央)。

DJIのカワさんは、RoboMasterのジャッジシステムやサウンドシステムのソフト開発を担当してきた技術者。RoboMasterが始まった2015年から現在までの変化を振り返りながらゲーム内容やロボットの進化について話をした後、「みなさんにRoboMasterの素晴らしいエンジニアになっていただきたい」とエールを送った。また、日本ではロボコン経験者が多いことも踏まえ「ロボコンとロボマスに異なる点はあるが、みなさんと一緒にやっていきたい」と述べた。
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花守さんは、世界で勝つために必要なことを熱く解説。

花守さんは技術的な話に加え、「何かひとつ突出した強いロボットでも他に劣る部分があれば、劣ったレベルのロボットになる。リソースは変えずに順番を変えたりとか、できるだけロボットの力が均等になるようなチーム戦略が必要」と、世界のトップクラスで戦いを経験した者だけができる貴重な話を聞かせてくれた。
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河島さんは、今回の全対戦の主審とMCを務めた。お疲れ様です。

今回の主審であり、FUKUOKA NIWAKAで昨年まで電子制御まわりや回路設計、2019年はプロジェクトマネージャーを担当した河島さんは、「今回参加したチームは走る、撃つという面では電子制御関係はしっかりできていたと思う」と参加チームを称えた。今後必要なこととして、「勝つためには、頭と手を動かせる人が少しでも多く必要。優秀な人が一人いても、ロボットが7台あると困難になる。一人に仕事が集中しないようにする必要があります。各部門にリーダーを置き、人が入りたくなるようなチームにしなければならない」と組織づくりと広報活動が重要だと説いた。

10:30・FUKUOKA NIWAKA エキシビション

続いてのイベントは、今回参加した競技者にとっても楽しみなものだったに違いないだろう。今年の中国・深センの大会に出場したFUKUOKA NIWAKAチームのヒーローロボットのデモ走行が間近で見られるのである。早速、フィールドの周りに多くの人だかりができていた。

このヒーローロボットの設計を担当した花守さんがロボットについて解説をした後、いよいよデモンストレーション走行が行われた。
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花守さん(写真中央)の説明を聞き、やがてデモ走行へ。

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デモ走行を見つめるRoboMaster競技者たち。「一瞬たりとも見逃さない」という気概にあふれていた。

デモ走行の後は、みんなフィールド内に入り、ロボットや花守さんを囲んでの質疑応答となった。ロボットをひっくり返して足回りを細かく調べる者、スマホを取り出し機構を隅々まで逃さず撮ろうとする者。世界を相手に戦ったマシンの秘密を知ろうと、みんな必死のようだった。
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まさに”あこがれのロボ”に出会ったかのような雰囲気。隅々まで、興味深げに観察していた。

今回のキャンプに参加した者たちにとっては、ヒーローロボットに実際に触れ、走行を見られただけでも、大きな刺激になったことだろう。

11:30・表彰式~ウィンターキャンプの説明

交流が終われば、いよいよ昨日の本選の表彰式。1位の「Scramble」、2位の「FUKUOKA NIWAKA杠」、3位の「OSAKA TAKOYAKI」が表彰された。みんな誇らしげな表情!
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優勝の表彰状を受け取る「Scramble」。

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RoboMasterの日本における公式イベントで、初のチャンピオン。おめでとうございます。

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惜しくも2位の「FUKUOKA NIWAKA杠」。しかし戦いぶりは、さすがのひと言!

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激しいアタックで3位をもぎ取った「OSAKA TAKOYAKI」。

表彰式も済んで、3日間のスケジュールもほとんどが終了。11月に開催される「ウィンターキャンプ」の説明があり、日本初のRoboMaster公式イベントは終了した。
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DJIジャパンと運営から、ウィンターキャンプに向けて、研究開発やロボット開発のヒントなど概要 、、非常に役立つ話がなされた。

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「ウィンターミーティング」の説明を熱心に聞くRoboMaster競技者たち。

最後に今回のキャンプを振り返り、初日にキャンプに対する意気込みを伺った2人に、3日間を終えた感想を聞いてみた。 まず運営の中心人物として走りまわっていたRoboMaster日本委員会の石田さん。
「大変な一歩を踏み出せたと思います。つい先日までは『こんなコンテンツ、本当にできるのだろうか・・・ 』という状態だったのですが、『やれるんだ!』に変わりました。次のステップは『ちゃんとロボマスをやります!』という状態を作ること。そこを目指して 日本のエンジニアたちが動き出し、真剣にRoboMasterについて考えるきっかけにして欲しいですね。今回は参加するだけで精いっぱいだったチームも、どうしたら勝てるかを考えるようになりました。それが結果的に、日本のためになっていると信じています。」

RoboMasterの仕掛け人で今回キャンプの世話人、RoboMaster日本委員会委員の古賀さん。熱い発言を紹介しておきたい。

「開催間際まで準備がバタつき、参加者にも迷惑をかけましたが無事に終わって安心しました。最初は、参加者が集まらないかもと思っていたほどなんです。そんな不安はありましたが、この8チームがロボットを動かし対戦ができたことが、一番よかったですね。競技者みんなが対戦を通して、きっとロボマスの楽しさなどを体感して帰ってくれたと思います。その反面、いろんな課題も浮かび上がり、危機感も持ち帰ったのではないでしょうか。
しかし本当にやってよかった!試合を通して悔しさや嬉しさなどいろんな感情が生まれたはずなので、ウィンターキャンプまでの課題・改善点に結びつけてくれたらと思います。
本音を言うと『FUKUOKA NIWAKA』のチームに優勝してほしかったです。でも、それができないぐらい『Scramble』の勝ちに行くための戦略、『本気の度合い』が凄かったので、嬉しさも感じました。
優勝の『Scramble』、3位の『OSAKA TAKOYAKI』など、『FUKUOKA NIWAKA』とライバル関係になるようなチーム、さらに上に行くようなチームがどんどん出てきて、中国の本戦で日本のチームが優勝するシーンを見たいですね!」
robomaster summercamp day3
ここに集まった面々が、日本のRoboMasterの未来を切り開いて行くのだろう。

何もかもが初めての試みということで、運営側、競技者側も手探りでのイベントであったと思う。しかし終わってみれば、誰にとっても成果のあるイベントになった。このキャンプをきっかけに、日本のRoboMasterは大きく進歩すると思うし、その進化の様子をデバプラはしっかりと見つめていたいと思う。

RoboMaster競技者のみなさん、運営スタッフのみなさん、ボランティアとしてイベントを陰で支えていたみなさん、本当にお疲れ様でした!

RoboMasterに興味を持った、自分も参加してみたいという人は、既に「RoboMaster 2019 Japan Winter Camp」の開催が決定しているので下記のURLから詳細をチェックして欲しい。
https://www.robomaster.jp/wintercamp2019/
エントリーの締め切りは9/30なのでくれぐれも遅れないように!

robomaster-ファーストステップがいど
Device Plus編集部

エレクトロニクスやメカトロニクスを愛するみなさんに、深く愛されるサイトを目指してDevice Plusを運営中。

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