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デジタルトランジスタで部品削減、シンプル回路の第一歩

ArduinoやRaspberry PiでLEDやモーターを動かすときは、抵抗やトランジスタを使った駆動回路が使われます。回路の実験なら、抵抗やトランジスタを自由に組み合わせられるほうが便利ですが、本格的な電子工作で大きな規模の回路を作る時には接点不良やミスの原因にならないように部品点数を減らすのが理想です。
今回紹介するのは、使用する電子部品の数を減らして、信頼性の向上と低コスト化を実現できる「デジタルトランジスタ」です。

 

目次

  1. 抵抗内蔵のトランジスタ デジタルトランジスタ
  2. なぜトランジスタスイッチに抵抗をつけるのか
  3. デジタルトランジスタの使い方
  4. デジタルトランジスタの選定方法
  5. デジタルトランジスタまとめ

 

1. 抵抗内蔵のトランジスタ デジタルトランジスタ

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デジタルトランジスタとは、トランジスタパッケージの中に抵抗を内蔵している電子部品です。
ArduinoやRaspberry PiのようなマイコンボードでLEDの点灯やリレーを動作させるには、トランジスタと抵抗による駆動回路(スイッチ)が必要です。駆動回路はシンプルですが、ベースに流れる電流を制限する抵抗が必要です。
デジタルトランジスタには、その抵抗が内蔵されているのでトランジスタ1本で駆動回路を作ることができます。

デジタルトランジスタは、ROHMが世界で最初に開発した電子部品です。現在では、ほかの会社からも販売され、「抵抗内蔵トランジスタ」とも呼ばれています。略称では「デジトラ」と呼ばれる場合もあります。

 

2. なぜトランジスタスイッチに抵抗が必要なのか

デジタルトランジスタの魅力を説明する前に、なぜトランジスタに抵抗が必要なのかをここで軽くおさらいしておきましょう。トランジスタには幾つか種類がありますが、ここではバイポーラトランジスタで解説します。

トランジスタのON/OFFを制御するにはベースに電流を流す必要があります。ベースに電圧を加えれば電流は流れますが、そのままだと電圧の増加によって負荷の電流は指数関数的に増加してしまうため、わずかな電圧の変化で動作が大きく変わってしまいます。最悪の場合、トランジスタやマイコンが破損したり、少しの静電気で誤作動したりと、トラブルにつながります。
そのため、バイポーラトランジスタを安定して動作させるためには、ベースに入力抵抗を接続して、ベースに加わる電流を制限する必要があります。

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参考:デジタルトランジスタ(デジトラ)の基本的な考え方を教えてください。|ローム株式会社

 

3. デジタルトランジスタの使い方

デジタルトランジスタは、トランジスタに抵抗を内蔵しているシンプルな電子部品ですが、使ってみると、そのメリットがわかります。
デジタルトランジスタを使うと、「実装面積の減少(回路の小型化)」「部品点数の減少(実装コストの削減)」「信頼性の向上」など、さまざまなメリットが期待できます。

デジタルトランジスタの使用例として、LEDの点灯回路を作ったとき、回路の大きさがどれくらい変わるのか比較したのが下の2枚の図です。

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普通のトランジスタを使ったLED駆動回路×4の例。ベースの電流を制限する抵抗によって電子部品の配置や配線が複雑になってしまう。

 

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デジタルトランジスタを使えば、抵抗を省略できるので回路規模を小さくできる。省スペースになって配線も減るので、同じ面積で機能を増やせるほか、配線トラブルも減る

 

通常のトランジスタだと配線18カ所・電子部品20個ですが、デジタルトランジスタに置き換えると配線が14カ所・電子部品12個に減ります。部品が減ったことでブレッドボードに挿し込む作業量も約30%少なくなります。
配線が少なくなれば、接触不良や間違いなどのトラブルも減ります。これはブレッドボードの例ですが、実際の製品に組み込むような大量生産の回路だと、部品が1個減るだけでも大きなコスト低減効果があります。このように、デジタルトランジスタはコスト低減や回路信頼性を手軽に実現できる電子部品なのです。

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デジタルトランジスタは回路図上だと、点線で囲んで、1つの電子部品の中にトランジスタと抵抗を内蔵している様子を表す記号を使うのが一般的です。回路図上での部品番号は DT1、DT2、・・・で表記されます。

 

4. デジタルトランジスタの選定方法

デジタルトランジスタはコレクタ電流・ベースに接続する抵抗の違いでさまざまなバリエーションがあります。デジタルトランジスタの選定は、通常のトランジスタをスイッチとして使用する際のベースに接続する抵抗を決める方法と同じ手順です。(抵抗の計算方法はLチカonラズパイで、オームの法則・GPIO・トランジスタをちょっと詳しく知るを参照。)
ROHMのデジタルトランジスタの製品ページではデジタルトランジスタ選定ツールが公開されています。極性・電源電圧・入力電圧・出力電流の4つのパラメーターを入力すると自動で最適なトランジスタを選定してくれるので、部品の選定に迷ったら一度使ってみると良いでしょう。

 

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デジタルトランジスタの選定ツール
Digital transistor selection tool|ローム株式会社

5. デジタルトランジスタまとめ

デジタルトランジスタと聞くと、普通のトランジスタより難しそうな感じもありますが、その中身はスイッチ動作につかうシンプルな電子部品で、実際に使ってみれば手軽で便利なのがわかります。
ブレッドボード上の電子工作でも、デジタルトランジスタを使えば部品点数を減らすことができ、接点不良等のトラブルも減らすことができるので、小規模の電子工作や動作検証でもメリットの大きい電子部品です。
トランジスタをスイッチ動作で使うことが多い方などは、デジタルトランジスタを常備しておくのもおすすめです。

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