パワーマネジメントスイッチとは? 電源供給のON/OFFや電源ラインの保護に活躍

電子回路の設計に慣れてくると「回路の部分ごとに電源供給を制御して消費電力を下げたい」、「過電流から回路を保護して製品の事故を防ぎたい」などの希望が出てきます。ところが、これらの回路をトランジスタやシャント抵抗で実装すると設計コストや検証などに多くの時間が取られてしまいます。
本記事では、手軽に電源ラインの制御や保護を実現するパワーマネジメントスイッチを紹介します。

 

目次

  1. 電子回路を保護するロードスイッチを内蔵したIC
  2. パワーマネジメントスイッチが搭載している代表的な機能
  3. まとめ、低コストで電源ラインを保護

 

1. 電子回路を保護するロードスイッチを内蔵したIC

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パワーマネジメントスイッチとは、電源と負荷(LED・リレー・外部電源出力)の間に配置して、電源ラインのON/OFF制御や、回路に異常が発生した時に遮断を行うICです。この電源ラインのON/OFFを行なう電子回路のことを「ロードスイッチ」と呼びます。

ON/OFF制御だけでも便利なICですが、回路に何らかのトラブルが発生して電源ライン上に大きな電流が流れても、回路全体が壊れないように通電を遮断する保護機能を搭載しているものもあります。

ロード・スイッチのみをIC化した製品だけでなく、ロード・スイッチに保護機能を付加してIC化した製品も含めてパワーマネジメントスイッチと呼ばれます。本記事では混乱を避けるため、どちらのICも「パワーマネジメントスイッチ」と呼びます。

ON/OF制御や過電流の遮断機能は、トランジスタやシャント抵抗を使って自分で設計することもできますが、パワーマネジメントスイッチは、それらの電子部品を内部にパッケージ化しています。

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左図はロードスイッチ回路を電子部品の組み合わせで作る例。パワーマネジメントスイッチ(右図)は左図の回路がICの中にパッケージされている。
画像参考:(左) ロードスイッチ | トランジスタとは? | エレクトロニクス豆知識 | ローム株式会社、(右) 1ch小型ハイサイドスイッチIC – BD2242G

 

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パワーマネジメントスイッチを使用する回路のブロック図。電源ラインと負荷の間にパワーマネジメントスイッチを挿入し、マイコンからON/OFFを制御している。

 

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表面実装のパワーマネジメントスイッチ ROHM BD2242G。パワーマネジメントスイッチは表面実装のICだが、変換基板を使えばブレッドボードやユニバーサル基板でも使用できる。

 

2. パワーマネジメントスイッチが搭載している代表的な機能

ON/OFF制御

負荷への電力供給をマイコンなどでON/OFFする機能です。この機能をロードスイッチと呼びます。
近年のバッテリー搭載機器は、少しでも消費電力を抑えるため、使用していない電子回路の一部分の通電を遮断するケースが多くなっています。そのような用途では、省スペースでシンプルなON/OFF制御回路を実現できるパワーマネジメントスイッチが活用されます。

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過電流保護

回路の異常によって大電流が発生する例として「落下による衝撃でセラミックコンデンサが割れてしまう短絡」、「コネクタの着脱時に接触不良で発生する短絡」など、さまざまなケースが考えられます。
異常な電流が流れ続けると、電圧低下によって動作が不安定になり、電子部品や基板が発熱して発煙・発火する原因になります。

過電流保護機能は過電流の状態を検知すると、出力を制限もしくは停止します。また、パワーマネジメントスイッチ自体が高温になることを検出して電力供給を遮断するものもあります。

ソフトスタート機能

突入電流(電源をONした瞬間に大きな電流が流れる現象)を防止する機能がソフトスタート機能です。
突入電流は、スイッチがOFFからONに切り替わった瞬間に、回路の中にあるコンデンサ(CL)を一斉に充電することによって発生します。

突入電流は、一時的な短絡状態で、大きな電圧低下が生じ回路に悪影響を与えることがあります。
突入電流は、コンデンサ(C2)の追加によって抑えることができます(ソフトスタート機能)。多くのパワーマネジメントスイッチは、このソフトスタート機能を内蔵しているので、外付けのコンデンサを使わなくても簡単に突入電流の対策ができます。

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画像参考:ロードスイッチ | トランジスタとは? | エレクトロニクス豆知識 | ローム株式会社

 

パワーマネジメントスイッチはこれらの機能のほかにも「過電流状態を外部に通知」、「過電圧(Over Voltage Protection)・低電圧誤動作防止(Under Voltage Lock Out)」など、さまざまな保護機能があり、電源ラインの保護・制御に幅広く対応できる万能ICといえます。

 

3. まとめ、電源管理を手軽にするパワーマネジメントスイッチ

最近の電源回路は省エネを考慮した遮断回路や異常時の安全保護など、さまざまな機能が求められています。
こういった回路を追加すると、回路の規模が大きくなってしまいコストアップに繋がります。パワーマネジメントスイッチを使えば、手軽に保護機能を実装できるだけではなく、低コスト・信頼性の向上など数多くのメリットがあります。

パワーマネジメントスイッチは、遮断電流や搭載している保護機能の違いによって、さまざまな製品が展開されているので、用途に応じた最適な製品が見つかるはずです。

パワーマネジメントスイッチは表面実装のICですが、変換基板を使えばユニバーサル基板やブレッドボードでも使うことができます。配線の短絡や電源の逆接続で高価なICを破損することも防止できるので、電子工作でも使用してみてはいかがでしょうか。

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電子工作マニュアル Vol.3
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