若者の未来の働き方

“やりたい”を追求して行き着いた申し分のない職場で、画期的なロボット知能化に携わる ~エンジニアのリアルボイス

これから世に出るエンジニア候補生にとって、「ビジネスの現場」がどうなっているか、正確にイメージするのは難しいものだと思います。また、若手エンジニアにとっては、「どう成果を出すのか」、いまいち見えないものかもしれません。そこでデバプラが一計、今、現場で成果を残している人にお話をお伺いし、これからどう働いていくのが良いかを探っていくことにしました。

最終回となる第5回は、株式会社MUJINにて、モーションプランニングAIを用いた産業用ロボットの知能化業務に携わる、松岡伸太郎さんです。松岡さんがMUJINで働き出すまでの意外な軌跡を、そして“エンジニアとして輝くために必要なもの”を教えていただきました。
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自分たちの技術で世界を本気で変えようとしている

──学生時代はどんなことに熱中していましたか?

もともと飛行機や自動車など動くものが好きで、大学は機械工学を専攻しました。ただ、機械と同時にソフトウエアのプログラミングも好きで、趣味でオープンソースプロジェクトにも携わっていました。自分が手がけたパッチが実際に採用されることもあり、刺激的でしたね。考えてみると、その延長線上に今の仕事があるのかなと。

──その後大学院に進まれたそうですが、どんな研究を?

大学院では流体力学の研究室に入りました。物体周りの流れを数値解析するという研究で、どちらかと言えば、「数式とその解析」が重んじられる分野です。ただやはり自分はその数式を実際に解析するソフトウエアの構築自体にも興味があり、その部分も注力しました。

その後、株式会社本田技術研究所に就職しました。ホンダを選んだのは、純粋にHondaJetやASIMOなどのプロジェクトに惹かれたからでした。

──そこから株式会社MUJINに入った経緯を教えてください。

ホンダからMUJINに転職した先輩がいて、いつでも会社に遊びに来ていいよと言われていたので、ある日ふと訪問したんです。ベンチャー企業ってどんなところなんだろう?という好奇心からでした。でもそこでMUJINの社員それぞれが自分の仕事に没頭したり、真剣に議論をしていて、楽しさや“熱中感”がすごく伝わってきたんです。それで一気に興味が湧いて、後日面接を受けました。

──大企業からベンチャーへの転職は、なかなか勇気がいるのでは?

決め手となったのは、この会社のみんなが持っているロボティクスに対する情熱と、それを具現化するためのビジョンに共感したことです。労働人口の減少が深刻化している産業・物流の現場において、ロボットを自動化して、⽣産性向上に貢献するという使命のもと、自分たちの技術で世界を変えようと本気で思っていることが伝わってきました。私以外にも大手企業から移ってきた人が多くいますが、皆この情熱に魅力を感じ、入社してきたのではないでしょうか。MUJINは、壮大な夢に向かって、本気で取り組む、というある意味“変⼈”の集まりだと言えるかもしれません(笑)。
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画期的な“産業用ロボットの高度な知能化”に成功

──MUJINの事業内容について教えてください。

通常産業⽤ロボットを動かすためには、プログラミングによる動作教示(ティーチング)が必要になります。そのため、数カ月に及ぶティーチング期間が必要になったり、多品種のものを扱うような工程はそもそもロボットへの代替が難しい、という課題がありました。

そこで、MUJINはモーションプランニング技術を用いて、ロボットが状況を認識し、随時適した軌道を生成することを可能としました。これにより、これまで実現が難しかった製造業・物流業のお客様の工程を自動化する事業を行っています。

──どんな業務に就いていますか?

ロボティクスエンジニアというポジションなんですが、ロボットの制御・モーションプランナーを開発する役割です。基本的にはソフトウエアをコーディングする業務なので、学生時代に好きでやっていたことがかなり活きています。

──大まかな勤務形態を教えてください。

始業時間と終業時間は存在するものの働き方としてはフレキシブルな会社だと思います。ミーティングも少なく、毎朝決まった時間に⾏っているStandup Meetingのみが定例のものです。エンジニア全員が顔を合わせ、それぞれが30秒ずつ近況報告を行います。

終業は時には18時くらい、時には遅くまで働きます。とはいえそういう時は仕事に没頭しているので、「もうこんな時間か!」という感覚です。

──これまでの成果で印象的だったものは?

ドラッグストアに商品を卸販売するクライアントさんの大規模な物流センターに作業ロボットを導入した際は、数週間お客様の倉庫に常駐して作業しました。やはりシミュレーションではうまくいっても、現場で実際に動かすとうまくいかないということが山ほどあるからです。

理想的な条件とは違い、現場では荷物同士がかみあってしまうこともあるし、数ミリのわずかな位置のズレが問題になったりもします。そうした中、最終的には99.9%よりも高い成功率にもっていかなくてはいけません。そのために何千回とトライ&エラーを繰り返し、一つ一つ問題を解決していきます。そこがロボット技術を実用化することの難しいところであり、面白いところでもあります。だからこそ、その倉庫で自分のコードが入った4台もの巨大ロボットが安定的に動くようになった時は、ものすごい達成感がありました。

自分の価値を高め続ける。就職した後が大事!

──そうした障壁を乗り越えるのに必要なものとは?

やっぱり技術で解決していくことになるので技術力が前提にはなりますが、アカデミックな世界ではうまくいくようなことが、実際にうまくいかない、という壁にも直面します。そんなとき、結局のところはその人が持つエネルギーや根気が必要だと。絶対にこれを動かして、世に出してやるんだという情熱ですね。それが根底にあるからこそ、技術が付いてくるんだと思います。

──松岡さんにとってエンジニアとはどんな仕事ですか?

自分の好奇心を追求し、それがお客さんや、会社や、世の中の利益に繋がるのであれば、自分にとって最高な仕事です。今のポジションはそれがまさに実現できているので、本当に恵まれていると思います。自分が没頭できることをして、お客様が喜んでくれるので、大変なことでさえも終わったら楽しかったな、と思う自分がいます。

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──エンジニアとして活躍するために、若いうちからやっておくべきことはなんだと思いますか?

ロジックを大事にし、物事がなぜそうなっているのかを突き詰めることではないでしょうか。ロボットの制御は、結局のところすべてロジックで組んでいくものなので。たとえば、法則や方程式を表面的に暗記するのではなく、そのロジックを考える。ものごとを表面だけでとらえるのではなく、なぜこうなっているのか、改良の余地がないかといったところまでを考える。それをすべてのことで行うのは難しいかもしれないので、好きな分野を深掘りするのがいいと思います。自分の場合はそれがロボティクスとか、数値解析のソフトウエアでした。

──働くうえで、特に大切にしていることは?

MUJINのような新しく、状況が急速に変化していくような環境で活躍するには、その変化を楽しむ、ということが重要だと思っています。
また、これは前社の上司に教わったのですが、「自分自身の価値を高める」というのも大切にしています。会社にいると、社内で価値を高めることにフォーカスして目の前で必要なスキルやノウハウに固執しがちです。しかし、外の世界の動向を把握し、そのニーズにも自分は応えられるのかと意識しておくことは大切だと思います。外で必要なものは、いずれ社内で必要になってくることもありますし。だから新聞やニュースなどにも目を向け、そこで必要とされているものも学ぶようにしています。

──どのように学んでいますか?

完全に新しい分野となると難しいので、自分の専門に近い領域から徐々に広げるようにしています。たとえば人工知能の需要が高いので、機械学習を学んでみよう、とかです。最近はコーセラエデックスなどのオンライン講座も充実していて、時々利用しています。そうやって外からの視点で自分の価値を高めておけば、様々な状況においても、自分の力を発揮できますし、結果的にそれが会社への貢献につながるのだと思います。

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Device Plus 編集部

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