こんにちは、ヨシケンです!
今回は、自宅で過ごす時間が増える中、自宅を快適に過ごせる環境にしたり、在宅での仕事や作業を助けるようなデバイスを作っていきたいと思います。
自宅で仕事をしていると、ついつい座りっぱなしだったり、集中し過ぎて部屋の環境に目がいかず、効率的な働き方ができないこともあります。ここでは作業をするデスク周りの環境を様々なセンサで測定し、それをラズパイと連動させて空間の状況を見える化し、自動で快適な空間にしてくれるデバイスの作り方を紹介していきたいと思います。
今回の記事の流れ
- ラズパイとセンサで自宅や自室を快適に
- ローム・センサメダルとは
- センサメダルで値を測ってみる
- 今回の制作に必要なものと学べること
- まとめ
1. ラズパイとセンサで自宅や自室を快適に
それでは改めて、自宅で作業をしていてこんな事を自動でチェックできたらいいな、というものをあげてみましょう。そうしたらその改善方法も書き出してみましょう。
とりあえず以下のようなものを挙げてみました。
番号 | 計測機能 | 計測後にあったらいい機能 |
1 | 部屋の温度を測る | 室温に合わせて、扇風機などをコントロール |
2 | 湿度など部屋の快適度を測る | 湿度が高かったら、エアコンをドライに設定 |
3 | デスク周りの明るさを測る | 暗かったら自動でライトを点ける |
4 | 今いる環境の騒音度を確認 | うるさ過ぎたらリモコンでオーディオの音量ダウン |
5 | 椅子に座っている時間をチェック | 人が居続ける(座りっぱなし)だったら、席を立って動くように促す |
6 | 天気をチェック | 雨予報なら洗濯物を取り込むようにアラート |
7 | 決まった時刻に動作させる | 気分転換のメッセージ、音楽などを流す |
結構色々なものが出てきました。これらを何らかのセンサで測って、それをラズパイで解析し、様々なハードウェアを動かす仕組みを考えてみましょう。どんな組み合わせだと実現できるか、ワクワクしてきましたね!
2. ローム・センサメダルとは
部屋の環境をチェックするために、先ほど挙げた温湿度や明るさなどは、実はロームのセンサで測ることができます。ロームのセンサの中でも、小型でコイン電池駆動のモバイル型ながら、様々なセンサがぎゅっと詰まったセンサメダル(SensorMedal-EVK-002)があります。
このセンサメダルは、温湿度や照度、加速度など6つのセンサとBLEモジュールが一体化したセンサ評価キットです。ローパワーマイコンも備え、コイン電池一つで数ヶ月も駆動可能な設計になっています。
これを部屋の中に設置して環境を測り、ラズパイとBluetooth接続して様々な機能を付けることができます。
具体的には以下のようなスペックのセンサが、小さな基板の中に収納されています。
センサ
センサタイプ | 品名 | 動作電圧範囲 (V) |
動作温度範囲 (℃) |
備考 |
加速度センサ | KX126-1063 | 1.71~3.6 | -40~+85 |
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地磁気センサ | BM1422AGMV | 1.7~3.6 | -40~+85 |
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気圧センサ | BM1383AGLV | 1.7~3.6 | -40~+85 |
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照度センサ | BH1721FVC | 2.4~3.6 | -40~+85 |
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ホールIC | BU52072GWZ | 1.65~3.6 | -40~+85 |
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温湿度センサ | SHT31 | 1.7~3.6 | -40~+85 |
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Bluetooth® モジュール
品名 | 電源電圧(V) | 動作温度(℃) | ホストCPU | 対応規格 | 使用周波数帯 | 送信出力 | 受信感度 | 備考 |
MK71251-01 | 2.0~3.6 | -20~+75 | 同期シリアル or UART | Bluetooth® Core Spec v4.1 (Single mode) | 2.4GHz ISM Band | 0 / -6 / -12 / -18dBm | -85dBm | Bluetooth® 認証:QDID:77987(End Product)電波認証:TELEC/FCC/IC/CE |
ローパワーマイコン
品名 | 動作電圧(V) | 動作周波数 (Max.) | 最小命令時間 | 消費電(Typ.@HALT) | 動作温度(℃) | ROM/RAM | ||||
低速クロック | 高速クロック | ROM種別 | ROM(Byte) | Flash(Byte) | RAM(Byte) | |||||
ML620Q504H | 1.8~5.5 | 32.768kHz (内蔵RC発振) |
16MHz (内蔵RC発振) |
62.5ns (16MHz 動作時) |
0.45μA | -40~+85 | Flash | 64K | 2K | 6K |
今回はセンサメダルの中から、温湿度センサ(SHT31)と照度センサ(BH1721FVC)を使っていきます。
3. センサメダルで値を測ってみる
まず、ラズパイなどで電子工作をおこなう前に、スマートフォンとセンサメダルを接続して、センサが動いていることを確認してみましょう。スマホのアプリを使えばすぐにでもデータが測れるので簡単です!
簡単な使用方法はこちらの資料にまとまっています。これを見ながら進めていきましょう。
最初にセンサメダルに電池を入れ、起動させます。電池はCR2450という少し大きめのコイン電池です。これを電池のプラスと書いてある部分を上にして、センサメダルに挿入します。
次にスマホ(iOSかAndroid)を用意します。ここではiPhoneを使用した例になっています。
App Storeで「ROHM」と検索し、RHRawDataMedal2アプリをスマホにインストールします。
こちらのリンクからアプリのダウンロード画面を直接開く事もできます。
インストールしたアプリを開きます。既にセンサメダルに電源を入れているとROHMMedal2_xxxxのようなメダルが見えてくると思います。
メダルを選んで、プルダウンして情報をリフレッシュします。するとグラフのような画面が出てきて、少し待つとデータを計測しているのが分かります。上のタブを押してみると、加速度や温度や湿度、照度などがグラフとして表示されます。
これで、とりあえずセンサメダルの起動とデータが計測できているのが分かったと思います。本当に簡単に様々なデータ取れますね!これとラズパイをつないで、他のハードウェアも操作できると思うと、電子工作の幅が広がりそうです!
4. この制作に必要なものと学べること
それでは上記のセンサメダルも含め、自宅や部屋の環境をチェックし、快適にするデバイスに必要な部品をそろえます。今回は、以下のような部品を使いました。
番号 | 必要なもの | 説明 |
1 | ラズパイ4本体 | Raspberry Pi 4 Model B |
2 | ローム・センサメダル | SensorMedal-EVK-002 |
3 | 液晶ディスプレイ、またはLCDディスプレイ | Display-O-Tron HAT |
4 | モバイルバッテリ | 3000mAhバッテリ |
5 | ミニUSB扇風機 | 百均などで購入 |
6 | ミニUSBライト | 百均などで購入 |
このデバイスを作ることによってセンサ、ハードウェアに関して学べるのは、以下のことです。
1センサメダルでデータを計測する仕組み2BLEでラズパイと接続する方法3センサ・データをラズパイで解析、表示4センサの値からハードウェアを操る方法5その他ハードウェアと連動する仕組み
番号 | 学べる事 |
5. まとめ
自宅で仕事や作業をするような機会が多い方は、自分のデスク周りを快適にしておきたいという要望は結構あるのではないでしょうか。
今回はセンサメダルとラズパイを使って、仕事をする環境を測定し、それに改善が加えられたらという事で、快適空間を自動で作ってくれるデバイスの制作をおこないます。
デスク周りと言えば、明るさや室温、湿度などがあると思います。ロームのセンサを使えばそれらが簡単に測れます。その結果に応じて接続したハードウェアを操作もします。今回の例以外でも工夫をしてデスク周りが快適になるようなデバイスを考案してみてください。
それでは、次回は実際のデバイス作りに入っていきます。
お楽しみに!
今回の連載の流れ
第1回:ラズパイとセンサで作る「快適空間自動生成装置」(今回)
第2回:ラズパイとセンサで作る「快適空間自動生成装置」
第3回:ラズパイとセンサで作る「快適空間自動生成装置」
第4回:ラズパイとセンサで作る「快適空間自動生成装置」