ドローンメーカーとして有名なDJI社が中国で主催している、学生向けロボットコンテスト「ロボマスター(ROBOMASTER)」がアニメになりました! 全6話、10月13日(金)から、WOWOWやアニマックスなどで放送開始です。
本作品では、ロボットコンテストやロボット技術に熱中している等身大の学生たちの姿が描かれており、ストーリーの中に出て来る技術や会話、エピソード、さらにビジュアル面においてもリアリティを出すため、日本のロボコン経験者(ロボコニスト)の意見を参考に制作されているそうです。
また、アニメの舞台は、今年のABUロボコンでも、フルカーボンのスタイリッシュなマシーンで驚かせてくれた香港科学技術大学を参考に制作しているということで、「ロボコニストのリアル」を追求した作品となっています。
今回この作品作りに関わった、ロボコニストのお二人に、見どころや、このアニメの舞台である実際の大会、「ロボマスター(ROBOMASTER)」についてお聞きしました。
取材・技術監修協力 東京大学RoboTech OB 堀本さんによる見どころ紹介! 「Robomsters:The Animated Series」とは?
制作協力として関わらせて頂いた堀本と申します。NHK学生ロボコンや水中ロボコンに参加経験がありまして、ロボマスアニメにロボコン経験者の意見を取り入れたいとのことで、今回脚本打ち合わせや設定制作などに関わらせて頂きました。
いつかロボコン学生をテーマにしたアニメができるといいのになぁ、なんて昔思っていたのですが、本当にできるなんてびっくりです。
このロボマスアニメについて、ロボコニスト目線から見てオススメな点を紹介します。
ロボマスアニメは、中国で行われているRoboMasterというロボットコンテストをモチーフにしたアニメです。この大会の特徴としては、対戦型・ロボットが多い(7台)・手動ロボット操縦者も多い(5名)・フィールドが大きい、というのがあります。僕のイメージとしてはロボットでやるe-sportsですね。e-sportsライクな操縦席とかかっこいいです。日本のロボコンとはかなり違う切り口の競技なので新鮮かと思います。
また、このアニメで描かれているキャラクターは、みんなロボコン学生っぽい(一部例外もありますが)個性豊かなキャラクターばかりです。メカが好きな人、プログラミングが好きな人、電子回路が好きな人、寡黙な人、一人暴走しちゃう人……、共感したり、反面教師にしたりと、色々楽しめるのではないかと感じました。
さらに、中国を舞台としているので、中国のロボマス大会に出場している学生やエンジニアの意見も取り入れられています。製作シーンや舞台背景など、日中の文化の違いなどにも注目してみると面白いのではないでしょうか。
最後に、ロボコンと言えば、やっぱこんなことあるよなぁ、というものがこのアニメには盛り込まれています。学生同士のぶつかり合いやトラブルなど、是非見て楽しんで頂けたらと思います。(トラブルは真似しないでくださいね!)
ということで、ロボコニスト目線からロボマスアニメを紹介させて頂きました。このロボマスアニメ、日本で放送するのはロボマスを知ってもらって是非日本のチームにも出場してほしいという思いもあるそうです。興味を持った方は是非、公式サイトから調べてみてください。いつか日本のチームが中国No.1チームにRoboMasterで勝つ時が来てくれたら、そのきっかけになってくれたら、このアニメをお手伝いした者としても非常に嬉しいです。まずはロボマスアニメ、是非見てみてください!
取材・協力 東京大学 RoboTech 田中敬さんによる見どころ紹介! 「ROBOMASTER」と「NHK学生ロボコン」との大きな違いとは
ABUロボコン2016年大会の東京大学RoboTechのチームリーダーをしていた田中です。最近デバプラで、ロボコン解剖計画のコメントとか書いている人です。
2016年の中国で開催された大会を、現地にて見学させていただき、またNHK学生ロボコンの実際の活動や、ROBOMASTERとの違いをお伝えする、というので活動で関わらせていただきました。
実際に大会を見学した人からのコメントということで、自分が気づいたことを紹介します。
大会を見学させて頂いて一番驚いたのは賞金が出ることで、しかも20万元(約340万円※1) というのに驚きました。賞金だけでなく大会参加にあたってDJIから部品等の支援も頂けるということで、このコンテストの環境はかなり恵まれていると思いました。
ロボコニスト的には気になるルール等、大会の雰囲気に関して、自分が参加していたNHK学生ロボコンと大きく違うと感じたのは
- ドローン1台と(800mm立方程度の)手動マシン4台と簡単な自動ロボット2台とかなり大規模である
- 自動プログラムで組まれている所は非常に少なく、操縦者4人の力量が大きく勝敗に直結する
- 競技フィールドがとても広く、立体的である
- 運営側の試合の判定システムが非常に高度であった
- 企業が中心に行っているロボットコンテストなので、大会後企業見学などのプログラムがあったり、学生間でのコミュニティ作り等にも力を入れていると感じる(自分が見学したときは他の海外の見学者とのツアーになっていて、様々な所に見学したり一緒に昼食等食べながら交流するというのをさせて頂けました)というところでした。あと競技に関係ないですが、とにかく操縦席はかっこいいです(大会動画をご参照を)。
このコンテストはまだ出来てから日も浅く、優勝を目指すという意味でも新規に参加するハードルも他のロボコンに比べて低いと感じました。
またABUロボコン中国代表常連の電子科技大学や東北大学も出場していて,交流できるチャンスもあるかと思います。
深センで開催されているというのもメリットが大きいです。中国のシリコンバレーとも呼ばれていて技術者には見学していて絶対飽きない都市だと思います。
実際に自分も大会を見学したあとに巨大電気街「華強北」を見学できて、非常に興味深い体験ができました。
こんな感じで日本のチームも参加するメリットもかなり大きいと思います。
日本のチームが、ROBOMASTERに参加して中国のチームを倒す姿が見れる日が来たらいいなぁと密かに思いながら、以上とさせていただきます。
※1・・・上記 田中さんのコメントは、2016年大会での内容になります。2018年大会では、優勝賞金は50万元(日本円で約850万)となっています。
詳細は下記情報をご覧ください
https://www.robomaster.com/en-US/robo/2018
アニメのモチーフとなったROBOMASTER(ロボマス)大会2018年情報
数年前から始まったこの大会は、現在ではアメリカ、イギリス、ドイツやアジア等、世界各国のチームが参加しています。2017年大会は7/31~8/6、中国のシリコンバレーと呼ばれる深センにて決勝戦が行われました。2018年大会も開催される予定です。エントリー情報は以下サイトより順次公開予定とのこと。
https://www.robomaster.com/en-US/robo/2018
まとめ
中国では、大学を卒業すると、周囲の期待もあり、金融業界などの「花型」企業を目指そうとする学生たちに、モノづくりをする楽しさやその経験を通して得られる学びを大切にしてほしいという想いが発端となって始まったというこの「ROBOMASTER」の大会。そんな学生たちの熱いモノづくりのドラマは、NHK学生ロボコンにも通じるところがあり、デバプラ編集部としてもかなり気になるところです。ロボコニストの皆さんも、そうでない皆さんも、まずは10月13日から放映されるアニメで、ROBOMASTER(ロボマス)の面白さを感じてみてはいかがでしょうか。
関連リンク
Robomasters:The Animated Series
Robomaster
アニメーション制作:ダンデライオンアニメーションスタジオ×ゴンゾ
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