目次
- ブレッドボードで作った回路をシールドにしてみよう
- シールドを自作するメリットとは?
- 自作シールド作成に必要なもの
- ユニバーサル基板を組み立てよう
- スケッチを調整
- 自作シールドを積み重ねれば自分だけのガジェットも
1. ブレッドボードで作った回路をシールドにしてみよう
以前、Arduinoを使ってマトリクスLEDを制御する方法について解説しました。
記事ではブレッドボードとジャンパーワイヤを使って配線を行ないましたが、今回はその回路を専用のユニバーサル基板に実装し、自作の「マトリクスLEDシールド」を作ります。
2. シールドを自作するメリットとは?
Arduinoのシールドを自作するメリットは「シールドの付け替えで簡単に回路を変更できる」ことです。
加えて回路自体のサイズもコンパクトになるので見た目も良くなるでしょう。
ブレッドボードは手軽に使えるのが利点ですが、容易に電子部品が抜き差しできてしまう分、回路としての信頼性は高くありません。
自作シールドは、半田付けによって回路を組み上げます。これにより部品が確実に固定され通電するので、回路の信頼性が高くなるだけでなく、振動や衝撃にも強くなって長期間の運用も心配ありません。
3. 自作シールド作成に必要なもの
Arduinoのシールドを自作するには、以下のものが必要です。
- Arduino用ユニバーサル基板
- ピンソケット(足の長いもの)
- スズメッキ線(ポリウレタン銅線や耐熱電子ワイヤ、ジュンフロン線なども使用可)
- シールド上に実装する電子部品
Arduino用ユニバーサル基板は、使用するArduinoボードのソケット位置に適合する専用の基板です。Arduinoボードに合わせて選定してください。ピンソケットはシールドがスタック(積み重ね)できるように足の長いものを使います。
本記事では基板上の配線にスズメッキ線を使用しますが、半田付けできる電線ならどんなものでも使用できます。被覆付きの電線を使う場合は、ワイヤストリッパーも準備すると良いでしょう。
さらに、半田付け作業のために以下の工具も必要です。
- 半田ごて
- 半田
- ニッパー
- ピンセット
4. ユニバーサル基板を組み立てよう
部品が揃ったら、さっそく自作シールドの製作に取りかかりましょう。
ユニバーサル基板の穴に部品を挿し半田付けします。ユニバーサル基板の基本は「部品を挿す→電線で配線する」です。
抵抗を挿したら、半田付けしてユニバーサル基板に固定します。
全ての抵抗の半田付けが終わるとこのような状態になります。
次は、ピンソケットを取り付けます。
ピンソケットも抵抗と同じように半田付けします。ピンに半田が付着すると、Arduinoのソケットに入らなくなるので注意しましょう。
ピンと抵抗を半田付けしたら、スズメッキ線で配線を行います。
ピンの根元に半田ごてを押し当てて半田を溶かし、スズメッキ線を差し込んだあとパターンに沿ってスズメッキ線を伸ばしていきます。90°曲がる部分は、ピンセットなどで抑えながらスズメッキ線を曲げたあとに半田で固定します。
スズメッキ線が長くなるところは、数か所半田を付けておくとしっかりと固定できて見た目も良くなります。
同様に配線作業を進めて、マトリクスLEDまで実装した基板がこちらです。
これで配線は完了です。
実装する回路によってはユニバーサル基板上に配線するスペースが足りなくなるので、被覆付き電線も準備しておくと便利です。
今回も一部の配線を被覆付き電線で行ないました。
5. スケッチを調整
以前紹介した回路をユニバーサル基板に実装し直したことでArduinoとマトリクスLEDの配線が変わりました。それに合わせて以前のスケッチを修正します。
以前の記事でも紹介したようにマトリクスLEDがつながるArduinoのピン番号はスケッチの2〜3行目の配列で定義しています。Arduinoボードとの配線の変化は、この配列を修正することで吸収できます。
スケッチの修正は以上です。
スケッチをArduinoボードに転送すれば以前の記事と同じようにマトリクスLEDが点灯するはずです。
もし点灯しない場合は「ユニバーサル基板の配線とArduinoのピン番号」「Arduinoのピン番号とスケッチの配列に定義したピン番号」を確認してください。
マトリクスLEDの点灯/消灯は、Arduinoボードのピンを「デジタル入出力」で使用しています。この場合、ユニバーサル基板に配線する際の回路の変更はスケッチで吸収できます。しかしPWMやI2Cなど特殊な機能を使用している場合はピンを変えると動作しない場合があるので注意してください。
6. 自作シールドを積み重ねれば自分だけのガジェットも
普段はブレッドボードで作っている回路も、ユニバーサル基板を使ってシールド化すれば、本格的な電子回路と変わりません。
また今回は足の長いピンソケットを使用したので複数のシールドを重ねることができ、手のひらサイズのオリジナルガジェットを作ることもできます。
例えば、上図のようにほかの電子工作で作成したリレーシールドと今回作ったマトリクスLEDシールドを組み合わせれば、リレーの通電状態をマトリクスLEDでグラフィカルに表示するような機器が簡単に作れます。
今回は、以前にブレッドボード上で組んだマトリクスLEDを駆動する電子回路を元に自作シールドを作成しました。
回路のシールド化は半田付けの手間がかかりますが、そのままの状態で保存しておくことができるので、上図のように組み合わせて全く別の機器を作成できます。
電子工作に慣れてきたら、ぜひ自作シールドに挑戦してみてください。