10月7日から10日まで、千葉・幕張メッセで開催されたCEATEC JAPAN。来場者は13万人を超え、なんだかんだと言っても、国内最大規模のテクノロジー系展示会だと言えるだろう。
その展示内容は、実に多彩。ITとエレクトロニクス、というのがCEATECのテーマだと思うが、もはやどんな業界もこの要素を無視できない。そしてもちろん、デバプラ読者も大いに気になる展示があるはず……ということで、今年もレポートをお届け!
人型ロボット競技 DARPAロボティクスチャレンジ日本版
Googleによる日本のベンチャーの買収や、6月に行われた大会で日本チームが「惨敗」したことがニュースになった、災害対応ロボットの競技会「DARPAロボティクス・チャレンジ」。その国内版とも言える「ジャパン・バーチャル・ロボティクス・チャレンジ」が、NEDO*1 のブースで行われていた。実際の競技はシミュレータによるもので、人型ロボットが動く姿は見られなかった。しかし、その構造を間近で見られるのは刺激的。大学はもちろん、高専からの出場も。
*1…国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構
そのすぐ隣では、あのスケルトニクスも。今回は残念ながら試乗はなかったようだが、代表であり高専ロボコン界の偉人でもある白久 レイエス樹さんが、壇上でロボットビジネスの赤裸々な実態について講演を行っていた。
人体HACK? 網膜に直接映像を投射
なんともサイバーというか人体HACK的というか……、メガネに装着したデバイスからレーザーを照射し、それを網膜に直接照射して、「見える」ようにする「レーザーアイウェア」。網膜に直接、ということで、いわゆる視力に依存しない。そのため、ひとまずはメガネ等では矯正できない人に向けた視覚支援機器としてリリースされる予定とのこと。しかし、もちろんデジタル機器からの入力が可能で、となれば無限の可能性がありそう。
http://www.qdlaser.com/retissa/
ベンチャー・大学エリアが濃い
大学の研究室やベンチャーの小さなコマが集まった「ベンチャー&ユニバーシティエリア」(そのまま)。大企業の作り込まれたブースのすごさに対して、こちらは開発者、現場のヒトとじっくり話せるのも魅力。
人体をHACKと言えば、H2Lも外せない。コンピューターでヒトの手を制御してしまう「PossessedHand」に続いて、今度はゲーム用デバイス。その名も「UnlimitedHand」。ゲーム内のキャラクターをなでたり、銃の反動を感じたりすることができ、さらにはArduinoやunityなどのツールで開発が可能。ただ今Kickstarter中!
http://unlimitedhand.com/
https://www.kickstarter.com/projects/1551369150/unlimitedhand-touch-and-feel-the-game-world
こちらは言わば「超音波空中触覚インターフェイス」。超音波を三次元で制御して、何も無いところに「触覚」を生み出す技術。この技術も、様々な応用が効きそう。共同研究を募集中とのことで、興味のある方は是非! 名古屋工業大学 星貴之博士の展示。
http://star.web.nitech.ac.jp/index_j.html
もうひとつのベンチャーエリア
「NEXTストリート」と題したエリアでは、大企業とベンチャーのマッチングを行うcrewwと、日本テレビのテクノロジー×エンターテインメント番組「SENSORS」がコラボして、注目のベンチャーを集めていた。中でも編集部が気になったのは、痛まくら……
……ではなく、SORACOMブース。いわゆる格安SIMを、IoT機器用に使いやすくした「SORACOM Air」。「IoTデバイスを作っても、通信費がかかるのはちょっと……」という人も多いだろうが、SORACOM Airなら1日10円から始められる。デバプラでも取材させてもらったAkerunなどでも、実際にサービスに使われているとのことだ。
https://creww.me/ja
http://www.sensors.jp/
https://soracom.jp/
ドローンも相変わらず人気
テレビで当たり前のようにドローン撮影の映像を見るようになった今日この頃。単純な映像だけでなく、その他の分野でもすでに実用段階に入っていると言ってもいいだろう。
DJIのブースでは、ドローン本体はもちろん、撮影機器が充実していたのが印象的だった。いちいちかっこいい。その他のブースでも、ドローンによる建物の検査、非接触充電、警備など多くのソリューションが見られた。
ABUロボコン(?)、真のアンドロイドフォン……その他いろいろ
そのデモに長蛇の列を作っていたのは、シャープの展示「RoBoHoN(ロボホン)」。ひと言で言えば、ロボット型電話。……「えっ?」と思った方は、公式サイトにある動画を一度ご覧頂きたい。「アリ」という感想に変わるのでは?
さらに、ひときわ大きなギャラリーを集めていたのが、なんと「洗濯もの自動折りたたみ機」。その名も「laundroid」。セブン・ドリーマーズ・ラボラトリーズ社の展示だ。その開発には実に10年の歳月をかけたという力作。おそらく、高度な画像解析が行われているのだろう。その実現する機能は「えっ」という感じかもしれないが、いざ作るとなると、その難易度は……、想像するだに恐ろしい。
http://laundroid.sevendreamers.com/
日立金属は、世界最高クラスの磁力を体験できるブースを用意。2016年の大学ロボコンは、非接触で子機を動かす必要があるとのこと。磁力は使えるか?
http://www.hitachi-metals.co.jp/
日本には未上陸のプロダクトも展示されている。こちらはG-Wearbles社の「gogo」。スポーツ用のデジタルミュージックプレイヤーだが、通話や、アプリと連携した心拍管理も可能。ハードそのものもだが、充電機にもなるケースと合わせて、美しい。
http://g-wearables.com/en/gogo.html
そして…、実はデバプラブースも! ローム「チャレンジコラボ」
実は今回、我がデバイスプラスもブースを用意(ちょっと言い過ぎ)。先日お知らせした、ユカイ工学とのコラボレーション企画を展示した。名付けて、「カラクリ音楽隊」。
木製ロボ6体が、指揮棒に合わせて踊り、メロディを奏でるというカラクリだ。中身はLazurite Sub-GHz。その中身の詳細は、近日公開予定だ。
カラクリ音楽隊は、「チャレンジコラボ」という企画のひとつ。スタートアップやベンチャーとロームがコラボする、という趣旨で、個性あふれるクリエイターを応援するのが狙いだ。
http://www.rohm.co.jp/web/japan/ceatec2015/challenge-collabo
そのひとつ、「ORIZURU」は、折り鶴が羽ばたいて飛ぶというなんとも優雅なプロダクト。超軽量・省エネマイコンボード「Lazurite Fly」が搭載されており、ラジコン制御が可能。Lazurite Flyは、Arduino互換の「Lazerite Basic」を小型・軽量化したもので、なんとわずか2.7グラム。記者も会場で初めて見たのだが……、正直、一台欲しくなった。……と思っていたらそれもそのはず、「CEATEC AWARD 2015 テクノロジ・イノベーション部門」で準グランプリを受賞したとのこと!
http://www.lapis-semi.com/wp/
http://trhk.exblog.jp/
そしてもうひとつのチャレンジコラボは……問題作(?)。エイプリルフールでのネタを、マジメに開発してしまったという、虚構新聞も真っ青の企画だ(←意味不明)。題して『君のハートを測っちゃう!?「ときめきセンサ」』。血流の状態をセンシングして、「2次元キャラとリアル異性、告白されたときにどちらがときめくか」を判定するというなんともエクストリームな性癖暴露マシンだ。こちらはTECHMAC社とのコラボレーション。