2018年11月24日(土)、平成最後の高専ロボコン、”Bottle-Flip Cafe” が始まった。
東京・両国は快晴。これまでのように、街路の銀杏は黄金一色に変わり、青空と素晴らしいコントラストになっている。
11:00からの受付、搬入、セットアップ、オリエンテーション、開会式リハーサルと順調に進み、メインフィールドでは、テストランが始まろうとしている。本記事では、その模様をお伝えする。
これまでデバイスプラス誌上では、大会前日はテストランの情報のみを公開していた。2018全国大会は、それに加え、前日のピットの様子もレポートする。さらに、現在デバプラTwitterアカウントでは、(ほぼ)リアルタイムの情報もお届けしている。こちらもご確認いただきたい。
【速報】高専ロボコン2018 前日ピットレポ “これからの高専ロボコン”編
【リアルタイム更新】高専ロボコン2018 テストラン
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14:30、テストラン開始。
フィールドにいの一番に現れたのは、一関工業と神戸市立工業。今年は運営側の積極的なマネジメントにより、全校最低2回のテストランが用意されている。しかし、早いタイミングでテストランを行うことは、その後のタイムマネジメント上、間違いなく有利になる。
一関はピット前に用意されたパネル(デバプラTwitterにて既報)やマシンに施されたファイヤーパターンなど、本大会にかける意気込みを感じる。その試技は静かな始まり。順調に動き出し、着実に立てていく。指導教員の先生が拍手で盛り上げるものの、メンバーは「当たり前」とばかりの落ち着きぶり。点数対策用の2段上部テーブルへの複数乗せも行うハイクオリティなテストラン。
神戸市立は白ブタさんなどユルめの外装だが、もちろんその機能レベルとは関連がない。やはり次々と2段テーブルにペットボトルを立て、順調な滑り出しを見せた。
続いて産技荒川。手動機の赤いエアタンクが目立つ。地区大会では抜群の安定感を見せてくれた。その秘密は細かいエアの調整機構とのことだ。自動機はやや慎重な立ち上がり。ラインを探るように始動する。2段テーブルの手前でリトライ。なかなか投射動作まで至らない。
群馬工業は単発での投射に成功するも、全体を通してのテストランは行わない。個別の課題、特に2段テーブルに絞って調整しているのか。手動機の回転アームフリップが、見ていて心地良い。
今回のフィールドには、メインフィールドの他に、サブのフィールドが設けられている。おそらく大会当日には無くなるのだろうが(11/25追記 結局そのままだった)、これも試走の回数を増やす運営側の工夫だろう。
和歌山工業はメイド型マシン。いわゆるロマン機、合体機。自動機が巨大な手動機を持ち上げ、推定身長2300ミリのメイドに。その手には、内容物フルフルのペットボトル。投射、というかボトルを立てるのは、高さを生かした「置き」方式。2段テーブル下段に複数のボトルを立てていた。
香川詫間はゾウさんマシン。小気味よい音をたて、2段テーブルに複数のボトルを立てた。その後も2段テーブルメインの調整を続けた。
東京工業。関東甲信の優勝校は、時計マシン。いわゆるまとめ投げ型。暗色ベースにビビッドな配色の外装も美しい。1射目で2段テーブルを制覇、そしてまもなく移動テーブルの3ボトル×3箇所の9点を一発クリア。これはハイレベル。おそらく手動機も問題なさそうだ。
続いてフィールドに現れたのは、福島工業。フィールド外、ラインの延長線上に、センサ用のユニットが設置される。動き出しが早い自動機。ただ、2段上段が立ちづらい。その後移動テーブルへも向かうが、若干その「立ち」の精度に苦労しているか。ボトルが最高点に達したとき、やや傾いているようにも見える。手動機は回転アームフリップ。やはりこの形は、ビタ着が決まると心地良い。
長野工業。関東甲信で唯一の自動機+フリップ(回転させて立たせる)を成功させているチーム。直動射出でボトルを回転させずに立てるチームが多い中、我が道を進んだそのスタイルに敬意を払いたい。
呉工業は、高いアームを伸ばし、上段テーブルに「置く」スタイル。ペットボトルをうまく使い、ルールの縛りをうまく回避したアイデアを賞賛したい。
香川高松。電飾がパーティー風。もちろん、見た目だけではない。自動機はキビキビと位置取りをし、2段テーブルに確実に立てていく。その後移動テーブルも問題無し。
函館工業。ゾウさんとキリンさんマシン。いずれもゆったりと始動。ただしエア音はなかなか小気味いい。ゾウさんは鼻の長さを生かし配膳するスタイル。
豊田工業は昆虫マシン。やはり2段テーブルを中心に思想を行った。ボトルの内容物の量が、他のチームと比べ少ないように見えるが、その復元力はかなり高いように見える。このあたりの工夫は各校とも間違い無く時間を使ったと思うが、その中でも、より精度の高い解が存在したのだろうか。
佐世保工業はリボルバー式カートリッジがクール。蜂がモチーフだ。その投射は、フリップ。回転させたうえで、立てていくスタイルだ。ノーミスで次々と立てていく姿に、会場からは思わず拍手が。途中で会場のライトがだいぶ暗くなる時間があったが、それでも問題無く動作していた。これは完成度が高い。
国際。手動機は、「そっと」配膳するアームがかわいい。自動機はスタート位置で調整を続けていたが、ほどなく始動。しかしまもなくリトライ。調整が続いた。
広島商船。大きなカニがモチーフ。手動機はスクエアに、自動機は丸く仕上がっている。そしてフィールド外には大きなセンサユニット。手動機がペットボトルを足にして、自動機フィールドまで進入するというアイデア。そして自動機も、スムーズに2段テーブルを攻略。カーキのツナギが頼もしい。
熊本八代も、同じく大きなセンサユニットを用意。この真価は、相手にテーブル位置をずらされる本戦で発揮されるだろう。そしてそのマシンは、ある意味合体ロボ。高い位置から、ラテ色のボトルをまとめて打ち出すことができる。高得点が見込めるだろう。
東京工業が2回目。速い。やはり、きっちりとマネジメントされた試走を展開した。移動テーブルは問題無しと見たか、2段テーブルのみの調整。隙が無い。フィールド外に置かれたセンサユニットには「OTOSAN SWITCH」とあるが、その意味は。
一関も2回目。こちらも2段テーブルを、しかも上段を中心にテスト。精度を高めていったのだろう。
鈴鹿のセンサユニットは超巨大。カメラがテーブルの位置だけでなく、ボトルが立っているかも検出するという。そして……、しゃべるAI(愛)さん! テストラン初手は、おそらくセンサチェック。人力で位置取りをし、そのデータを確認するところから始まった。この壮大なシステム、ぜひその真価を発揮しているところを見てみたい。
津山手動機は「超」フリップ。自動機も「めちゃ」フリップ。なかなかのチャレンジ。テストランではなかなか精度が高まらなかったが、これがキマったあかつきには、大きな賞賛を得るだろう。
神戸市立、2回目。センサユニットに可動式のアームのようなものが見えるが、その意味は。2回目は、そのセンサユニットの状況を細かくチェックしていた。
和歌山工業、2回目。巨大メイドは問題無く立ち上がりその後の配膳の動きを確認。
明石工業は、どこか未来感のあるマシン。2段テーブルを中心に投射を繰り返した。手動機でも2段テーブルを狙うスタイルだ。
旭川工業、「よろしくお願いします!」と元気な挨拶でスタート。真っ黒で、ほぼフルになった小さめのボトルが特徴。装填前にシェイクする必要があるようだ。直動カタパルトが、着実にテーブルの上に立てていた。
仙台名取。学生ロボコンで自動機を製作している名取。そのアドバンテージはいかほどか。飾り気の少ないマシンは、学生ロボコンを思い出させる。試走では、打ち出したボトルが傾いてしまい、うまく乗らないシーンが見えた。これからの調整に期待。
香川詫間2回目。ゾウさん手動機の鼻は、フリップさせつつ、確実に立てていた。自動機も2段テーブル上下へ複数乗せ。
岐阜工業が間に合った(記者たちのタイムリミットに)。記者のポジションからは巨大なぬいぐるみ、羊の執事に見えるモチーフ。自動機はシンプルで美しい。試走がスタートするも、すぐには動き出せず。しかしロマンの合体をこなし、そしてパトランプと共に立ち上がるアーム。そしてなんとか2段上段へ立てることに成功。
香川高松2回目。間近で見るとパーティー感が増す。ボトルも色とりどりで美しい。トゥルーカラーズ。
長野工業2回目。間近で見る手動機の、「流し立て」ギミックは楽しい。そしてローラー射出自動機は、位置取りに要調整、という印象。
北九州工業、前回チャンピオンがこの順番で登場。トラブル発生か、余裕か。スタート、拍子木のような投射音を響かせ、続々と2段テーブルへ。しかし、立たない。若干、テーブルの上で滑ってしまうようにも見えた。ただ、「もう一歩」という印象で、細かな調整で対応可能なのではないか、と記者には見えた。
広島商船2回目。やはりスムーズな立ち上がり。こちらはあきらかに余裕を感じる。
1回目の最後のチームは、都城工業。クジラモチーフの手動機が投げるボトルを、自動機がトランポリンのように跳ね返し立てる、連携方式。公式動画のトリを飾った遠距離&連携のスーパーフリップを再現できるか。試走ではひたすらその2段上段のテストを繰り返した。沸く会場。1投1投に期待がかかる、あまりにも「魅せる」スタイル。テストラン中、惜しいシーンを何度も見せてくれた。
ここまで、17:16。フィールドでは、2回目3回目、そして対戦形式と、まだまだテストランが続く。