ロボコン

「第21回全国ロボコン交流会」レポート

全国の高専ロボコンに関わる学生が一同に集まり、交流を深める「第21回全国ロボコン交流会」が、2024年1月20~21日、兵庫県立総合体育館(西宮市)で開催された。全国43校から約400人が参加し、各チームが工夫を凝らしたロボットを見学したり、技術についての意見交換を交わしたりした。現地入りした取材班より、レポートをお届けする。

 

12:30 開会式

今回の参加者は前年の倍となり、コロナ前の水準にほぼ戻ったという。開会式では、幹事団代表の塩田さん(広島商船)が「今日まで大変なこともありましたが、これだけの人数が集まってくださってうれしい。この2日間は全力で楽しんでください」とあいさつ。全国の高専から集った有志22人からなる幹事団のメンバーが、寒さを吹き飛ばすかのように元気よく大会への意気込みを伝え、参加者の期待は否応なく高まった。

コロナ前の交流会を知る幹事団メンバーは少ない。参加者の倍増に喜ぶ一方、大人数でのイベント運営に慣れておらず、部屋割りや会場の手配などに骨を折ったという。そんな苦労も感じさせず、塩田さんは「自分たちが準備してきたイベントに、全国から400人近くの人が集まってくれて、本当にうれしいです」と顔をほころばせる。

13:00 ブース展示

屋内の2か所の会場で、8校10チームが自慢のロボットや技術を紹介するブースを出展し、参加者と交流した。

高専ロボコン2023「もぎもぎ!フルーツGOラウンド」に出場したロボットが多数登場し、高所のフルーツをもぎ取るための工夫や、障害物を乗り越える足回りの機構など細部までを見学することができた。体育館の一室は、換気のために窓が開いているにもかかわらず、参加者の熱気が満ちて、寒さを感じないほど。どのブース展示も個性豊かだったが、いくつかをピックアップしてご紹介する。

会場の中でも特に存在感があったのは、2023年高専ロボコン全国大会で優勝した大阪公大高専Aチームが展示するロボット「鴉(カラス)」。お助けアイテムを伸ばすことによって、ロボットの高さが約30cmから10倍の約3mまで大きくなる、ダイナミックな機構だ。ブースの人の輪が途切れることはなく、興味津々なギャラリーが前から後ろから、はたまた下から覗き込んでロボットを見学し、質問が次々に飛んでいた。

リーダーの星川さんは「この半年、ロボコン優勝を目指して取り組んできた。皆が興味を持ってくれてうれしい」と笑顔がこぼれる。

また、近畿地区大会でローム賞を受賞した同高専Bチームは、「ぼくのかんがえたさいきょうのお助けアイテム」と題し、大会で活躍したお助けアイテムを展示。カメラで果物の位置を確認しながら、先端部分を細かく制御し、フルーツを確実に収穫するアイテムで、動力伝達の仕組みや、工夫を凝らしたワイヤの張り方に注目が集まっていた。リーダーの福田さんは「ロボット本体は持ってこられなかったけど、皆にじっくりと見てもらえるのはうれしいです」と話していた。

東京高専ブースは、ロボットの1/10サイズのミニチュアが注目を集めていた。手のひらに載る大きさにもかかわらず、特徴ある黒いボディや細かなデザインの完成度の高さに目を見張る。光造形プリンターでCADデータを印刷し、組み合わせたレジン素材の模型で、小さいながらもロボットを精緻に再現していた。

他にも、前進するだけで角材を乗り越えられる足回りの機構や、バッテリーが機体から脱落しないよう、ロックされるとLEDが黄色に光るバッテリーケースなども展示。見学者は、「こんなの良く思いつきましたね」と、驚きながらアイデアをたたえていた。

徳山高専は、2022年の高専ロボコン「ミラクル☆フライ」でロボコン大賞を受賞した「双宿双飛」の紙飛行機発射機構の一部を展示。ロボットとしての完成度が高く、「何年たっても自慢の一機」といい、何度も実演して見せた。スペースが限られるため、大会のようなダイナミックな飛行は難しかったが、短い飛距離でも、正確で無駄のない発射技術を体感することができた。

■ロームも出展

協賛各社もブースを出展し、参加した学生たちは熱心に技術について質問をしていた。

ロームのブースには、ロボコン担当のスタッフや高専ロボコン経験者、そしてTechWebでおなじみの「スギケン先生」も登場!会社の特長や事業、デバイスについて紹介をしたり、技術や進路の相談に乗ったりした。ロームが開発、提供しているロボコンオリジナルのモータドライバを実際に活用しているという参加者からの質問に、エンジニアが直接アドバイスする場面もあった。

モータドライバの仕組みについて質問した呉高専の馬場さんは、「他の学校や企業の人と話す機会はなかなかないので、技術の話を聞ける貴重な機会。ロームのことはロボコンの部品提供で知り、技術についてもわかりやすく答えていただいて参考になった」と話す。

今回初参加という都立産技高専の宇山さんは、「強い高専の技術を知りたくて参加しました。いつもロームの半導体に助けられています」といい、熱心に質問。エンジニアへの質問を一緒に聞いていた初対面の参加者同士が意気投合し、「全国大会で会いましょう!」と握手する、といった見ているだけで胸が熱くなるような場面もあった!

「スギケン先生」ことロームの杉浦さんは、「技術の質問のほか、こんな製品提供があるとうれしいという要望も伝えてくれて、皆さんの学びたい、知りたいという意欲を感じました。ロボコンに取り組んでいる方々は今後の日本の産業を支えていく人。ぜひ今日得た知識を仲間に持って帰って伝えてほしい」と感心していた。

16:00 フリー交流タイム

ブース展示が終了した後、参加者は、設計、加工、回路、制御の4グループに分かれて交流を行った。5~10人ほどの輪になり、技術に関する雑談から悩み相談まで話題が広がり、初対面とは思えないほどに盛り上がっていた。

回路班では、あいさつもそこそこに、自作の基板を見せ合って盛り上がる姿も。基板が名刺代わりになるとは、さすが全国から集結したロボコニストたちだ。

名刺交換をしたり、「X(旧Twitter)フォローしました」と声を掛け合ったりして、交流の輪が広がっていく様子に、対面で交流することの意義を感じた。参加者は皆、普段なかなか知ることができない他チームの取り組みについて、興味津々の様子だ。

ある設計班は、スマホで写真を見せ合って自身の失敗談を紹介していた。「制作しているうちに、回路のスペースをどんどん侵食してしまった」という話から、どのようにして機構全体を設計しているかという質問に発展し、「先に機構のサイズを決めてしまう」「機構が複雑になるほど動かすのが難しくなるので、シンプルな機構にするよう心掛けている」など次々飛び出す意見を熱心にメモしていた。

「2024年のロボコンのテーマは?」というテーマで盛り上がるグループも。各チームとも、今年のロボコンに向けて動き始めていることだろう。今回の交流会で得たアイデアと学び、そして全国の仲間とのつながりを生かし、きっとすばらしいロボットが生まれるのだろうと、期待が高まった。

■おわりに

2日間のうち、取材班がお邪魔したのは初日のみだったが、以降も参加者によるプレゼン発表やロボコンOBによる技術講習会など、プログラムは盛りだくさん。SNSでも「とても充実した2日間だった」「全国大会へのあこがれが増した」「必ずまた会いましょう!」といったコメントにあふれ、満足度の高さがうかがえる。

今回のイベントの成功は、縁の下の力持ちである幹事団の皆さんのすばらしい働きの賜物だ。400人近くの参加者に対応することは容易ではなかったと思うが、導線の確保、声掛け、誘導、あらゆる対応のスムーズさに感心した。予定通りいかなかった点もあると思うが、協力し、臨機応変に課題を解決していく姿がとても頼もしかった。この経験はきっと将来に生かされるはずだ。

年々進化し、盛り上がりを見せるロボコン。伝統を守りながらも、常に新しい知識を得ようとする姿勢が、よりよいものづくりにつながっているのだろう。交流会をきっかけにできた仲間と切磋琢磨し、よりレベルアップした皆さんに大会で再会できるのが楽しみだ。全国から集まった参加者の皆さん、幹事団の皆さん、お疲れ様でした!

高専ロボコン2019出場ロボット解剖計画
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