Arduinoその他工作

Arduinoを制御デバイスにしてさまざまなモノを動かそう!

第3回:自作電磁アクチュエータの制作

Arduinoを使った簡単工作を通して、電子工作の原理や基本を学ぶこの企画。教えてくれるのは、メディアアートの分野で、また「ちょっと深い仕組み」を解説する書籍の世界で活躍している、伊藤尚未さんです。第3回は自作電磁アクチュエータの制作を紹介していきます。

 

目次

  1. はじめに
  2. 自作電磁アクチュエータの制作
  3. Arduinoで制御して楽しむ

 

1. はじめに

みなさん、こんにちは。伊藤尚未です。

私が好きなものの一つに電磁石があります。「磁力」自体がそこにあるのに見えない、離れていてもくっついたり離れたりと、まるで魔法のようにものを動かす力なので、何かそこにフシギな魅力を感じてしまうわけです。

過去に「MY CASTLE」と名付けたサウンドオブジェのインスタレーション作品で1993年に名古屋でおこなわれた国際ビエンナーレでグランプリを受賞することができたのですが、この作品も電磁石を使ったものでした。

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MY CASTLE(1993)

 

すでに30年近く以前の作品ですが、いまだに現役で時折展示の機会をいただきます。当時は制御にMSXを使っておりましたが、実はこのMSXも現役でして、とても優秀なコンピュータです。

さて、この連載第1回のクリップモータも、いわば同じ電磁石の力を使ったものですが、今回はコイルを使って、さらに電磁石にしてみましょう。

 

2. 自作電磁アクチュエータの制作

電磁石と言えば、適当な釘を芯にしてエナメル線を巻いて電池につなげるだけのものを子どもの頃に作った人もいるでしょう。ゼムクリップをいくつ付けられるか実験したものです。残念ながら今の子どもたちはこのようなアソビをなかなかしません。実験教室で工作させてみるとコイルを巻くのに苦労し、絡まったり、嫌になって諦めてしまう子もいますが、出来上がると非常に楽しげに遊んでいます。

デジタル教材もよいのですが、実際のモノを触らないと電線の硬さや扱い難さを体感することができないでしょうね。ものづくりの楽しさや難しさは実際に手を動かし、触らないと分かりません。

さて、釘に巻くだけの電磁石でも十分ですが、今回は芯を可動させたいのでストローに巻いてみました。これで電気をつなげればコイルが電磁石になって芯を可動させることができるアクチュエータにすることができます。

製品ではソレノイドといい、国内ではタカハ機工さんが有名です。

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コイルの中心に挿入するような可動鉄片を置き、コイルに電気を流すと磁力が生じ、鉄片を吸い寄せます。単に磁石が鉄にくっつくのと同じですから、反発はしません。

ソレノイドはこの磁力を「可動鉄片を引く」ことを目的としますので、フレームや内部に固定鉄心を置き、効率よく可動部品としています。

これを簡単に自作しようと考え、ストローにコイルを巻き、可動鉄片として釘を用いました。実際に電池につないでみるとちゃんと動きますね。

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ここからは実際に作り方を紹介していきます。まず、コイルを巻くのにある程度大きさを決めておきたいのでボール紙でワッシャを作り、エポキシ系接着剤で固定します。

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サークルカッターで直径約15㎜程度にボール紙で次に円盤を切ります。

 

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さらに1穴パンチで穴を空けて、ストローに通します。5.5㎜径の穴は今回使ったダイソーさんで購入したストローにはぴったりでした。

ストローの素材がポリプロピレンなので、エポキシ系接着剤でも接着はできないのですが、エナメル線を巻く間だけでも仮に付いていれば良いかと思い接着しました。

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これにぐるぐるエナメル線を巻いていきます。エナメル線はホームセンターでも購入可能なELPAさんの0.4㎜径10mを使いました。

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ぐるぐると根気強く巻くと320回程度巻けました。

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巻き終わりはほつれないように巻きはじめの線とちょっと捻っておくと良いでしょう。

エナメル線の端を紙やすりやカッターで被覆を剥がします。軽くハンダをのせておくとブレッドボードにも刺さります(ハンダのせすぎて太くなってしまうと刺さりません)。

これでひとつ分のアクチュエータができました。ストローの中に釘を置き、電池を直接つないでみると確かに釘が動きましたので、今回は調子に乗って(?)これを4個分作ってみました。

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3. Arduinoで制御して楽しむ

これをArduinoでコントロールするためにこのコイルをトランジスタドライブできるよう回路をつなげます。

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トランジスタはダーリントン構造でコレクター電流が2Aまで流せる「2SD1866」を使いました。データシートには「モータ・リレードライブ用」と記述があります。モータもリレーもコイルですし、リレーに至ってはいわば電磁石で接点を開閉するアクチュエータとも言えますので、今回の電磁石には最適かと思います。表示面に向かい左からE、C、Bです。

回路はArduinoのそれぞれの出力ピンから20kΩの抵抗器を通し、「2SD1866」のベースに接続、コレクタに自作コイルを直列にします。コイル側の電源は乾電池2個直列の3Vにしました。

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これで10~13番ピンの出力をON-OFFさせることでコイルの中の釘がピョコピョコ動き出すはずです。

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回路はブレッドボードに組みました。

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4個分同じ回路の並列ですから、並んでいると美しくも感じられます。

上向きに釘を入れたコイルを並べてボール紙に固定し、台座を写真のように作りました。ブレッドボードも組み込んでいます。雑音を軽減させるために可動釘の下部にはフェルトを敷いています。

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Arduinoのスケッチは0.1秒だけそれぞれのコイルに通電し、あとは通電のタイミングを調整するようDelayしています。

void setup() {

  pinMode(13, OUTPUT);
  pinMode(12, OUTPUT);
  pinMode(11, OUTPUT);
  pinMode(10, OUTPUT);
}

void loop() {
  digitalWrite(13, HIGH);  
  delay(100);               
  digitalWrite(13, LOW);    
  delay(500);               
  digitalWrite(12, HIGH);  
  delay(100);             
  digitalWrite(12, LOW);  
  delay(500);               
  digitalWrite(11, HIGH);  
  delay(100);          
  digitalWrite(11, LOW); 
  delay(500);           
  digitalWrite(10, HIGH); 
  delay(100);                
  digitalWrite(10, LOW);   
  delay(500);              
     
}

 

早速通電してみると、とてもリズミカルに動き出しました。

一応順番に通電するようにしていますが、複数同時に通電させようとしても動きません。これはおそらく、乾電池側で流せる瞬間電流の限界なのかもしれないと想像しています。

なかなか面白いのでスケッチを変えてこんな動きも出してみます。

このように物理的に動くものを制作すると、いろいろな可能性を感じます。今回のように、専用の部品がなければいけないわけではなく、部品から作ることができるさまざまな可能性を秘めた装置は、探していけばまだまだいろいろありそうです。ぜひ皆さんもオリジナルのアイデアで工作してみてはいかがでしょうか?

【おまけ】

こんな表現も面白かも?と思い制作してみました(笑)。良かったら見てみてください!

自動水やりマシンを作ろう
伊藤 尚未

日本電子工作普及推進委員会代表、メディアアーティスト。サイエンスライター、動物園の飼育員のフリした電気工事士、理科実験教室講師、ワークショップ講師、教材開発など、幅広く活動中。 月刊「子供の科学(誠文堂新光社)」で電子工作の連載を続けて19年、代表的な書籍は「電子工作大図鑑」「電子工作パーフェクトガイド」があります。