こんにちは、はじめまして私はヨシケン、こと吉田 顕一です!私は、普段は普通のサラリーマンですが、Raspberry PiやArduinoなど電子工作を趣味でやっている週末メイカーです。
そんな私ですが、2015年にひょんなことから発売当初のMESHに出会って、MESHを使っての工作やそれらをまとめた書籍MESHBOOK(Kindle/紙の書籍)を出すまでにハマってしまいました。さて、この4月の爽やかな季節に、色も形も鮮やかなMESHを使って、電子工作生活を始めてみるのもいいのではないでしょうか?
ところで、MESHって何?という方もいるかもしれません。
まずはこの動画を見てもらうと、MESHを使えば普段の1日の生活が、こんなに楽しく、便利になり、色々なモノが作れるのが少し分かってもらえるかもしれません。
どうでしょう、思ったより色々作れちゃうと思いませんか?
これから連載企画として、MESHを使ったモノ作り、電子工作、IoTガジェットの作り方を紹介しながら、MESHの魅力に迫っていきたいと思います。
MESHはソニーの新規事業創出プログラムから生まれたプロダクトで、こちらの公式サイト又はAmazon.co.jpから購入することができます。
MESHとは
さて、もう少しMESHについて説明したいと思います。
MESHは、消しゴムくらいの大きさの電子ブロックです。それぞれの箱にセンサーが入っていて、グリーンにはボタン、オレンジにはLEDなど、できる事が違っており、これをタグと呼んでいます。
この物理的なタグを、スマホ、タブレット上のMESHアプリを使って、タグが何かを検知したら、別のタグをこのように動かす、といったロジックを指でくっつけたり、離したりといった操作で簡単に作る事ができます。これだけでノン・プログラミングの(電子)工作のできあがりですね。
しかも、めんどうなケーブルや抵抗、LEDなど何も必要ありません。基盤やハンダ付けなどにハードルの高さを感じていた方は、とても気持ちが軽くなったのではないでしょうか?!
このMESHアプリ上には、AND条件やCOUNTなどのロジックを付けられるソフトウェア・タグと、スマホのカメラやマイク、スピーカーなども合わせて組み込む事ができます。
そして、IFTTTなどのアプリを使って、TwitterやLineなどインターネットとの連携もできますので、デバイス・タグとソフト・タグを繋ぐだけで、ハードやソフトの知識が無くても、簡単にIoTガジェットのできあがりです。
これにより例えば、朝出がけに鍵を取ったら、「いってらっしゃ~い」の声と共に、「今日は雨が降りそうだから傘も持って行って!」などとおしゃべりする、不思議な鍵置きがすぐにでも作れます。
他に、Software Development Kit/SDKも用意されていますので、JavaScriptなど少しプログラミングの経験がある人なら、独自のソフト・タグ、又は他社製のカメラなどとも連携でき、可能性は無限大!こんな面白いデバイスとアプリを組み合わせたツール・セットがMESHなのです。
今後は、ステップに応じて、幾つかの作品を実際作りながら、そのやり方を説明できたらな、と思います。例えば、基本タグ(LED・ボタン・動き)を使ったモノづくりや、人感、明るさ、温度タグを使った工作のアイデアなども今後ご紹介していきたいと思っています。
さて、ここから先は、今後の記事で詳しく見ていきますので、ざっくりと目を通しておいてもらえればOKです!
7種類のカラフルなタグたち
MESHの種類ですが、2017年4月現在、それぞれ様々な機能、センサーが入った7種類のタグがあります。
- LEDタグ(オレンジ): マルチカラーのLEDが内蔵されており、条件により色々な色に光らせる事ができます。
- ボタンタグ(グリーン): 大き目のボタン一つがついたもの。シングルクリック、ダブルクリック、長押し、の三種類の押し方があります。
- 動きタグ(水色): 中に加速度センサーが入っており、動きを検知することができます。上、横、裏に置いた時、またはひっくり返した時、などに合わせて信号を送る事ができます。
- 人感タグ(ミント): 箱から少し飛び出した部分に人感センサーがついており、人の動きを捉える事ができます。検出時間、頻度なども調整する事ができます。
- 明るさタグ(ブルー): 明るさセンサーにより、明るくなったら、暗くなったらといった光の変化を捉えられます。箱の中に入れておいて、そこが開いたら(光が入ったら)、何かを動かす、などにも使えます。
- 温度・湿度タグ(パープル): 温湿度センサーにより、気温、湿度を測る事ができます。その数値を外部に飛ばす事もできます。
- GPIOタグ(グレー): 全部で10個の穴が空いており、デジタル、アナログ信号のINとOUT、及び出力をコントロールする事ができます。Arduinoのように電子工作的に使う事ができます。
MESHアプリとソフトウェア・タグ
さきほどの説明のように、カラフルなタグたちを、スマホ、タブレット上のアプリ(アンドロイド、iOS両方で出ています)で紐付けます。このアプリ上にはソフトウェア・タグというものもあって、それらを組み合わせる事ができます。
- デバイス・タグ: MESHアプリが動いているスマホ(タブレットも同様です)の機能を、MESHと一緒に使う事ができます。画面をスリープにしていても、バックグラウンドで動かす事ができます。
- カメラ・タグ: スマホに付いているカメラ(背面、前面)から写真を撮る事ができます。
- マイク・タグ: スマホのマイクから、音の大きさをとる事ができます。大きな音がしたら、次の動作につなげる、などと使う事ができます。
- スピーカー・タグ: スマホのスピーカーから、効果音や録音した音を再生する事ができます。
- 通知タグ: スマホの通知機能に、MESHからの信号をプッシュする事ができます。
- ミュージック・タグ: スマホの音楽機能から、音楽を再生する事ができます。
ロジック・タグ
- ANDタグ: 何かのタグと何かのタグ、両方が動いた時に、次のアクションに移るタグです。
- タイマー・タグ: 10秒待った後、朝7時に、何秒間隔でといった時間にまつわる事を定義できます。
- スイッチ・タグ: この信号の後は、この信号、と複数の信号を順番に切り替えて、次のアクションにつなげる事ができます。又は、ランダムに複数のアクションに移るようにもできます。
- カウンター・タグ: 前のタグからの動きが何回来たかを数え、そのカウントにより次のアクションにつなげる事ができます。3回動きタグが振動を検知したら、次に行く、などです。
- 連携タグ: MESHアプリの方で予め外部デバイスなどが定義されており、それらと初めからつなぐ事ができるようになっています。
- Gmailタグ: タグからの信号を受け取ったらGmailを送る、又は特定の表題のGmailを受け取ったら次のアクションに移る、などを設定する事ができます。
- IFTTTタグ: 様々なインターネット・サービスとつながるIFTTTと組み合わせることにより、IoTなガジェットを作る事ができます。例えば特定のタグのTwitterを受け取ったらLEDが光る、や、LINEからのメッセージによりタグを操ることができます。この機能は2017年3月に大幅アップデートしたので、後ほどの回で特集して様々な使い方を説明します。
- Hueタグ: Philips社のHueというワイヤレスで電飾の色を変える事ができるデバイスと連携する事ができます。
- OLYMPUS AIRタグ: OLYMPUS社のOLYMPUS AIRカメラと連携して、写真を撮ったり、設定を変えたりする事ができます。
- MESH Software Development Kit/SDK:
JavaScriptが少し分かれば、自分でソフトウェア・タグを作る事ができます。現在β版(https://meshprj.com/sdk/)となっており、ユーザー登録すれば無償で使うことができます。
天気予報取得などのサンプルタグが初めからあったり、既に有志が無償で様々な機能のカスタム・タグを作ってくれているので、それを使うこともできます。自分自身で独自のインターネット・サービスと連携させたり、他社製(ソニー製も)のカメラ、デバイスなどと連携機能を作る事もできます。こちらは少しアドバンス機能なので、連載後半で触れる事にします。
さあ、ここまでちょっと長い説明でしたが、次回以降様々なガジェットを作っていきましょう!
今回の連載の流れ
第1回:SONY MESH で始めるIoT新生活!はんだ付け不要、ノン・プログラミングで電子工作(今回)
第2回:SONY MESHアプリの5分でできるセットアップ!
第3回:SONY MESHとIFTTTを使って、雨を知らせるIoT鍵置きを作ろう!
第4回:SONY MESHを使って、IoT鉛筆立てを作ろう!
第5回:SONY MESHのGPIOタグを使って、リモートで動くロボットを作ろう!
第6回:SONY MESHのGPIOタグとスマホで本格IoT!大事な人の位置を知らせるメーターを作ろう!
第7回:SONY MESHとArduinoを連携させて遠隔操作ができるメイド・ロボを作ろう!
第8回:MESHでここまでやる? 話題のスマートスピーカーGoogle HomeやAmazon Alexaとつないで、声でMESHを操作しよう!
第9回:MESHでここまでやる? Raspberry PiでMESHが動く!話題のラズパイ版MESHをいち早く使って、スマート・ホームを実現しよう!
第10回:MESHでここまでやる? MESHハブアプリを使って、玄関に置けるIoT灯篭を作ろう!
第11回:MESHでここまでやる? MESH拡張基盤で、USB機器やサーボモータをつないで、面白ピタゴラ装置を作ろう!
第12回:MESHでここまでやる? Seeed Grove、littleBitsなどを使って、ピタゴラ装置を完成させよう!