ローム株式会社が主催するアイデアコンテスト「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」。このコンテストに登場する4つのキットの各開発担当エンジニアに、特徴やTips、開発秘話、コンテストへの期待をインタビューしました!
第1回目の本記事に登場するのは、センサ評価キットのセンサシールドやセンサメダルの開発リーダー、西山さんです。
国産の評価キットやデバイスって案外少ない
──センサシールドやセンサメダル開発のきっかけは?
最近、ものづくり手法が大きく変化し、ArduinoやRaspberry Piなどを使って超短期間でプロトタイプを作るようになっています。ハッカソンイベントには、我々が普段接しているハードウェア設計の方々だけでなく、ソフトウェア系の人など様々なジャンルの方々も多く参加しています。それを見た時に「ロームも何か出来るのでは?」と思いました。
──国産の評価キットやデバイスは少ないですよね?
そうなんです。ロームの豊富なセンサを使って、Arduino対応キットを作って欲しいというリクエストをもらって企画したのが、センサシールドです。ただ、どんなボードを作れば良いか全然わからず、多くの方々に穴の大きさやピンの形などのアイデアを聞きながら開発を進めていきました。
直径33mmの壮絶な戦い
──センサメダルはどのようにして生まれたんですか?
「有線でデータを取りにくい場所がいっぱいある」というお客さんからの声がありました。かばんの中の動きを検知したり、離れた場所のデータを取得したり…。また、当時はウェアラブル端末が流行り始めた頃だったんです。最初はウェアラブル端末に入れる前提で、「直径33mm」の中に収めることを目指しました。入れたいモジュールがなかなか収まらず、何度もレイアウトを修正し、最後はピン1本レベルのスペースを取り合っていました。
買ってたった5分でセンサが動く感動を!
──搭載しているセンサの種類は、どのように選んだのですか?
もともとロームは、加速度・地磁気・ジャイロ・気圧の「モーション系」センサと、照度・カラーなどの「環境(フィールド)系センサ」の両方を持っています。これらの中から「世の中に求められているセンサを」と考えるうちに、センサシールドに搭載の8つは自然に決まった感じです。センサメダルは、動きを検知するアプリケーション開発には必須のモーションセンサ4つを搭載しています。
──開発にあたっては、どんな点にこだわりましたか?
購入して箱を開けてから、5分でセンサを動かせる点です。昔なら1〜2日は掛かっていたことが、5分でできるようになる。アイディアを具現化するところに、時間と思考を集中してもらえるようにしたかったんです。
コンテストでは多彩なアイディアを期待!
──センサシールドでは、どんなアイディアが生まれると思いますか?
センシングしたいものごとの8割ぐらいは、センサシールドで測定できるはずです。また、モーション系のセンサと環境系のセンサを組み合わせると、面白くなるような気がします。特にカラーセンサは、ユニークなアイディアが生まれやすいんじゃないかな……なんて思っています。
──では、センサメダルでは?
スマホやタブレット向けのアプリケーション開発に使っていただけますし、人の動きを利用したアプリ開発はほぼカバーできると実感しています。自由落下や平行移動の物理量が測定できるので、地球の重力や回転がグラフの動きで目で見ることができ、知育にも役立ちそう。機器向けのセンサノードとしても、ちょうど良いサイズだとよく言われますね。
──最後に「ROHM OPEN HACK CHALLENGE」への期待を教えてください。
我々が思いつかないような突拍子もないアイディアとの出会いに、ワクワクしています。センサシールドやセンサメダルを使った応募作品を見るのが本当に楽しみです!