ロボコン

「あの時のピットvol.10」高専ロボコン2023ローム賞受賞校編!
八戸高専に聞いた!高専ロボコンを振り返って!

「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2023(以下、高専ロボコン2023)」が2023年10月に8つの地区大会、そして11月に全国大会が開催された。試合会場、またテレビやライブ配信だけでは伝わりきらない、各出場チームが経験した舞台裏に光を当てる本企画「あの時のピット」!

ローム賞を獲得した高専の中から、全5校にインタビューしました。

2023年大会の本企画の最終校となるのは、八戸工業高等専門学校Bチーム「林檎補完計画」(以下、八戸高専)の川守田さんに「あの時のピット」を振り返ってもらいました。

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八戸高専の「あの時のピット」

Q:2023年大会に参加するにあたってのコンセプト、努力したポイントを教えてください。

A:今年のコンセプトはまさかの「悪の組織」。なぜこのテーマなのか、事の発端は今年の大会のルール発表にあります。

八戸高専は、2020年に「ねぶた」、21~22年は「イカ」といった郷土の要素をロボットに取り入れてきました。2023年の競技テーマ「もぎもぎ!フルーツGOラウンド!」というフルーツがメインであろう楽しげな競技名が目に入った時、これはリンゴを全力で推すしかない!!と意気込んでいました。しかし、青森が誇るリンゴの文字は悲しいことにルールブックにありませんでした。

我々は悲しみに暮れ、怒りに震え、ここから物語が始まりました。「大会にリンゴが無いのなら、リンゴ以外のフルーツをすべてもぎ取ってリンゴに変えてやる!」という悪の組織らしい大きな野望(目標)をかかげ、型にはまらない斬新な発想と組織内の団結を大事にしていきたいという思いでロボット製作に努めました。

Q:2023年大会に向けてマネジメント上、工夫したことはありますか?

A:強気な意気込みでとりかかったものの、チームは3年生を主力として次に工場作業以外は今年度初めて担当する2年生が入り、上学年は5年生がたった1人という状況。労働力としての人員も、ロボットを作る技術の蓄積もあまりない状態でした。

ロボットを作るには1秒たりとも無駄にできないと感じ、ルールが出た瞬間に見通しを立てて設計を始めました。また前から課題にあったコミュニケーション不足を解消するために、部内のホワイトボードを多く活用し、名前の書いたマグネットで担当している仕事を可視化したり、会議を円滑に進める為に毎回プレゼンテーションを用意したりと、情報伝達に気を配りました。

Q:大会準備でぶつかった壁と、乗り越えた方法を教えてください。

A:最大の困難は、夏の初めに行った大幅なロボットの設計変更でした。ルールが発表された時点で、ロープが大きな課題となると考え、他のロボコン大会からも情報収集。2019年学生ロボコン優勝校の京都大学のチェビシェフリンクと沿った形状の安定性の高い足回りに魅力を感じ、4足歩行型ロボットを設計、製作していました。しかし、新たにルールの詳細が発表され、その設計案は全て崩れることになりました。学生ロボコンではロープポールが床に固定されていましたが、今回は数㎏の重りがついているだけで、倒さず通過することが困難と判断。やむを得ず、これに対応するため足回りの設計を変更しました。スケジュールの遅れを取り戻すため、同じ部品を再利用し、前の設計で作ったフレームを転用するなど、設計と製作を同時進行で進めました。

Q:八戸高専にとっての「あの時のピット」とは?

A:設計変更とスケジュールの遅れという大きな壁を乗り越え、何とかロボットを完成させて大会へ出発しましたが到着して早々、会場で予期せぬ重量制限とサイズ制限の課題に直面しました。ルール通りに設計したつもりでしたが、急遽取り付けた部品やコンセプトのために多くの装飾や回路を追加した結果、制限を2㎏弱オーバーしてしまいました。その場で支障の無さそうなフレームや足回りに作った沢山の装飾を惜しくも取り外し、最終重量を29.1㎏まで減らしました。

少しでも調整に時間を割きたい中で痛手を受けたところ、次はロボットの顔とも言える電光掲示板に使用していたマイコンが壊れ、予備を持参していなかったことも発覚。重量制限でいろいろ減らした上にまた手放さなければならないのかと落胆していたところ、なんと仙台高専名取キャンパスのチームの皆さんがマイコンを貸して下さりました。今でも感謝しています。

大会本番では万全の体制ではなく、不安定だった走行はうまくいったものの、回収機構の調整までは時間が取れず、キウイを取ることができませんでした。

計画の抜かりがこのような結果を招いてしまったと、当時はメンバーへの申し訳なさと後悔が募りました。

 

Q:2024年大会の意気込みを教えてください!

A:今回は予選敗退となってしまいましたが、結果よりも自分たちに必要な得るべきものが分かりました。ほとんどのメンバーは経験が浅く、思い立ってはぶつかりながらのロボット製作でしたが、今回で得た経験を大切にして、2024年こそは全国を征服するような勢いで挑みたいと思います。悪の組織は一度やられただけでは止まりません!どうか次回大会も応援よろしくお願いいたします。

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