「アイデア対決・全国高等専門学校ロボットコンテスト2023(以下、高専ロボコン2023)」が2023年10月に8つの地区大会、そして11月に全国大会が開催された。試合会場、またテレビやライブ配信だけでは伝わりきらない、各出場チームが経験した舞台裏に光を当てる本企画「あの時のピット」!
ローム賞を獲得した高専の中から、全5校にインタビューしました。
第三弾は、茨城工業高等専門学校Bチーム「いばらきりん」(以下、茨城高専)の大山さんに「あの時のピット」を振り返ってもらいました。
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茨城高専の「あの時のピット」
Q:2023年大会に参加するにあたってのコンセプト、努力したポイントを教えてください。
A:全国大会出場を目指し、「障害物を確実に突破して勝つロボット」を作成しました。センターゾーンのフルーツを押し上げて採るアイデアから「キリン」がコンセプトのデザインとなりました。
タブレットを用いたコントローラー、チェーンを使った昇降機構など新技術を導入。以前の経験も生かし、足回りはエアシリンダーでホイールを上下させることで、角材を越える仕組みを構築しました。
Q:2023年大会に向けてマネジメント上、工夫したことはありますか?
A:週一の定例会議で、各タスクの進捗状況を確認。全体の進捗を共有することで、機構、回路、制御などのタスクがどれくらい進展しているかを分かりやすく把握できるようにしました。
ロボコンを楽しんでもらうために、ルール発表前に新入生に対して各分野の簡易的な講習を行い、積極的にタスクを任せて楽しく実践経験を積んでもらいました。
今回のロボコンでは、お助けアイテム、すり抜け機構、ROS2の通信などを新入生が担当して作成してくれました。
Q:大会準備でぶつかった壁と、乗り越えた方法を教えてください。
A:製作では2つの大きな壁にぶつかりました。
1つ目は、自作チェーンを使った昇降機構です。他社の実製品に倣って製作するという新たな挑戦をしましたが、チェーンの分離や昇降動作に問題が生じました。
これにはパーツの分離を防ぐための設計変更や、ウォームギアによるガタつきの防止とセルフロック機構の導入など、細部を改良。これらの努力により、完璧ではないものの、スムーズな昇降が可能となりました。
2つ目はロボットの重量制限。各機構が出来上がってきた9月ごろに、制限の30㎏をオーバーしてしまうことが発覚。アルミ角パイプ材を重量が半分ほどに抑えられるL字アングル材に変更、装飾も軽い発泡スチロールや紙を中心に行うことで重量を削減しました。
>>詳細は製作動画でご確認いただけます!
※動画は前編のものです。後編は後程公式Twitterで公開されます。
Q:茨城高専にとっての「あの時のピット」とは?
A:大会の数日前に副リーダーであり回路担当の最高責任者がコロナウイルスに感染、大会前日にはチームリーダーである私も発熱してしまい、帰宅を余儀なくされました。これにより、主要メンバーが2人も不在の状態で大会に臨むことになりました。
自身がリーダーとして十分に機能できなかった反省もあり、試合こそは皆を引っ張っていく意気込みもありました。そのため、仲間への申し訳なさと、半年かけて頑張ってきたロボットの舞台を現地で見届けられない悔しさという、2つの感情が入り混じっていました。
代理リーダーは、チームリーダーを務めることへの驚きと、全体を引っ張る責任に対するプレッシャーから緊張していたそうです。しかし、本番が近づくにつれて、緊張よりもロボットが正常に動作するかどうかへの焦りが募り、実際の本番ではそれほど緊張しなかったそうです。
自宅で大会を観戦する際に、代理リーダーや代理メンバー、そして新入生たちが一丸となって頑張る様子や、動いているロボットを見て、嬉しさで涙が止まらなかったのを鮮明に覚えています。
Q:2024年大会の意気込みを教えてください!
A:春のルール発表から長いようであっという間に半年が過ぎ、大会が終了しました。
楽しいことや苦しいことなど色々ありましたが、仲間とともに一つの目標に向かって努力するというかけがえのない経験ができました。
今回の大会での反省点を生かして、2024年大会では僕たちのロボットを全国大会に導きたいです!
公式HPのURL:茨城高専ロボット部 – GALLERY (google.com)
公式XのURL:茨城高専ロボット部【公式】(@NITIC_RobotClub)/ X (twitter.com)
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