展示会

「テクノフロンティア2014」デバプラ流、電子工作好き目線でその魅力に迫る。

電子工作ファンやエンジニアを目指している方に必見のイベントをご紹介する「EVENT PLUS」。今回はアジアを代表するメカトロニクス・エレクトロニクス技術が一堂に会する「テクノフロンティア2014」〈2014年7月23日(水)~25日(金)〉をピックアップ。「それってゴリゴリのプロ向けなんじゃない?」という心配はご無用。電子工作好き目線・そしてエンジニアの世界で活躍することを夢見る目線で、初心者でも楽しめる「テクノフロンティア2014」の魅力に迫る!

テクノフロンティア2014

梅雨明けとともに開幕!
エンジニアたちの熱気が東京に襲来!

関東甲信越地方が梅雨明け宣言をした翌日の7月23日(水)、東京はやっぱり快晴!気温33℃を超える猛暑となった。しかし、ついに開幕した「テクノフロンティア2014」の会場・東京ビッグサイトの熱気はさらに熱かった。多くのエンジニアたちが、アジアの最先端の技術に触れるために満を持して会場に詰めかける年に一度のビッグイベントなのだから、それも当然。

20回目という節目を迎える今年は、“世界最強の製品を目指して~Pursuit for SMART products~”がテーマ。出展社数は海外からの66社を含む491社となり、昨年を上回るスケールとなった。
電子工作ファンやエンジニアを目指しているみなさんに+1の情報をお届けしているDevice Plus(以後デバプラ)としても、第一線で活躍するエンジニアたちが注目するイベントは見逃せない!というわけで、開幕初日に会場に潜入!

前回を上回る491社が出展。大賑わいの会場。

前回を上回る491社が出展。大賑わいの会場。

世界初の自律型電動ヘリに
みんなワクワク。

多くの観客が詰めかけたのは、自律型電動ヘリのデモ。世界で初めてGPSを使わない自律飛行を実現した電動ヘリだ。従来の自律型電動ヘリはGPSで緯度や経度を把握して飛行するが、屋内や地下、トンネルの内部などではGPSで正確な情報を得られない。今回のヘリは、レーザーレンジスキャナやカメラを使って自らの位置を推定し飛ぶことができる。実際のデモは20mほどの距離だったが、バッテリの自動交換から離陸、障害にぶつかった際の軌道修正を経て目的地まで、すべて自律飛行で見事に着地。観客たちはその様子をスマホやカメラにおさめ、あるいは食い入るように見つめていた。
「千葉大学 野波研究室」を中心に産学官の連携で、日本の技術のみで開発された同ヘリは、福島第1原発の建屋内部の点検に使用予定とのこと。他に地下街での避難誘導、農薬・肥料散布、インフラ点検、プラント施設点検などにも活用が期待されるという。デモスペースの周りには、この開発に協力するその他の企業の自律型電動ヘリも勢揃い。眺めているだけで壮観、ワクワクするスペースだった。

1時間ごとに行われるデモには毎回多くの観客が詰めかけていた。

1時間ごとに行われるデモには毎回多くの観客が詰めかけていた。

ずらりと並ぶ自律型電動ヘリ。空撮用などとしても大活躍。

ずらりと並ぶ自律型電動ヘリ。空撮用などとしても大活躍。

ロボットのデモコーナーが充実。
ここにもロボコン王者が!

今回の特長として、前回も好評だった「最先端のロボティクスデモコーナー」がさらに拡大されている点が、電子工作ファンにはうれしいところ。人間の肘にあたる部分が無く、結果として狭いところでも動作できるロボットアームを実現した作業ロボ、リアルタイムで人間の腕の動作を再現し人をサポートするロボットなど、7つのロボットのデモを間近で見ることができる。なかでも、大学ロボコンを応援しているデパプラが注目したのが、ETロボコンで優勝したというロボット「じぇっとあーる」(株式会社ジェイテクト)。ETロボコンとは、ET(組込みシステム技術)分野の若手技術者の育成のために行われるコンテストで、各チームが開発した自律走行ソフトウェアの設計モデルの書類審査および、実際にロボットに搭載してセンサーで床の色を識別しながら黒いラインの上を走るスピードを競う。途中のシーソーでは、2輪+「しっぽ」で器用にバランスを取り続ける。また、ルールで許されたコースのショートカットのロジックも、勝負の決め手だった。その技術は車のモータ制御などに活かされているそうだが、「いずれはロボットへも」と語る担当者さんの目は輝いていた。

産業用・介護用などの最先端ロボットを間近で体感。

産業用・介護用などの最先端ロボットを間近で体感。

障害物も軽々と乗り越える自律走行ソフトウェア搭載ロボット。

障害物も軽々と乗り越える自律走行ソフトウェア搭載ロボット。

ワイヤレス給電の便利さに納得!
大学生たちの初々しい姿にほのぼの。

デモコーナーのもうひとつの目玉が、「ワイヤレス給電技術」のコーナー。普及が期待されるEV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド自動車)へのワイヤレス給電技術にスポットを当てたデモだ。赤く光る部分(送電コイル)の上に、受電コイルを搭載した電気自動車を停車させるだけで、ワイヤレスで自動給電ができる仕組みは、手間もかからず確かに便利だなと納得。早く街中で見てみたいと夢が膨らんだ。

 

「ワイヤレス給電技術」のデモ(昭和飛行機工業株式会社)。

 

また、国内外の企業に交じって大学の研究室も多数出展。なかには、「PEOPLE PLUS」に登場した「AgIC」の技術アドバイザーを務める川原准教授(東京大学)の研究室のブースも。第一線のエンジニアたちに囲まれて質問に答える大学生たちの初々しい姿が印象的だった。ちなみに、同ブースで紹介していたのが、「AgIC」の記事でもお馴染みのインクジェットプリンタで印刷してつくった水分センサー。環境中の微弱なエネルギーを利用して電子機器を動かす技術を応用した製品で、電池なしで土の中の水分量を計測できるという。「目ではわかりにくい土の中の水分量を、スマホで確認できるので便利ですよ」とのこと。

エンジニアの質問に答える大学生たち。

エンジニアの質問に答える大学生たち。

今回イチ押しの水分センサー。

今回イチ押しの水分センサー。

 

ショットモリテックス株式会社のブースの展示で見つけた、振動発電機のアプリケーション例。電車が通過する振動により発電し、過疎地の鉄道の信号機などの電源として利用されているそう。電車の模型に癒されてパシャリ!

ショットモリテックス株式会社のブースの展示で見つけた、振動発電機のアプリケーション例。電車が通過する振動により発電し、過疎地の鉄道の信号機などの電源として利用されているそう。電車の模型に癒されてパシャリ!

エンジニアリングの
深淵なる世界へようこそ!

最後に、エレクトロニクスの要となる半導体メーカーの出展ブースにも潜入。スマートコミュニティのトレンドを受けて、家庭内のエネルギーマネジメントシステム「HEMS」をさらに効率化する製品が目立った。「ローム」では、これから話題を集めるであろう汎用無線通信モジュールや、コンセントや電力ケーブルをデータ通信回線として使用できる「HD-PLC」などの製品も出展。おすすめは、従来のWi-Fiよりも低消費電力でよりつながりやすいWi-SUN通信に対応したモジュールで、家庭内の電気機器同士やスマートメーターとのネットワーク構築に最適だという。他にも……と広がっていく半導体の話は、そのままエンジニアリングの奥深い世界につながっていく。
電子工作好きのみなさん、エンジニアを目指すみなさん、続きはぜひ自分の目で。耳で。そして、いつかはその手で。

ローム Wi-SUNモジュール
会場風景

テクノフロンティア2014

■会期:2014年7月23日(水)~25日(金)10:00~17:00
■会場:東京ビッグサイト 東1~3ホール
■主催:一般財団法人 日本能率協会
http://www.jma.or.jp/
※入場登録料3,000円 ただし事前登録した人と学生は無料!

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https://deviceplus.jp

電子工作マニュアル Vol.5