ドローン

最新テクノロジーとセンサが満載!産業用ドローンを見てみよう!【前編】

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目次

  1. モデル機の紹介
  2. センサを使った全方向障害物検知機能
  3. サーマルカメラで空撮に挑戦
  4. まとめ

 

昨今、さまざまなシーンでドローンが活用され、ドローンで撮影された映像を見る機会も増えてきています。また、ドローンは単に空撮をするだけではなく、多くの産業で使われるようになってきており、さまざまな用途に特化した機体の開発も進んできています。

例えば、ドローンの飛行性能や空撮性能は日々進化しており、数年前のものと現在の機体ではその性能の違いに雲泥の差があります。それだけドローンの進化は著しく、産業用として活用されるに当たり、求められる性能も高くなってきています。

今回はそんな最新テクノロジーを満載した最新ドローンの仕組みと、その活用シーンについて、前後編2回に渡ってお届けしていきたいと思います。

 

モデル機の紹介

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今回は、ドローン市場で世界トップシェアを誇るDJI社の「Mavic2 Enterprise Advanced」をモデルに、最新ドローンの性能について見ていきたいと思います。

DJI社は中国の深センを本拠地とする企業で、ドローンで世界的なシェアを握っている企業となります。コンシューマ向けの空撮ドローンだけでなく、産業用ドローン、カメラ、カメラジンバルなどプロの世界でも通用するような素晴らしい性能を持ったプロダクトを、(性能を考えれば)非常にリーズナブルな価格で提供している企業で、日本でも同社のドローンが数多く活躍しています。

今回モデルとする「Mavic2 Enterprise Advanced」は、2021年に発売された産業用ドローンで、4本のアームを折りたたむことで非常にコンパクトなサイズになる一方で、その性能は産業用として十分に通じるものがあります。

この機体の最大の特徴はビジュアルカメラとサーマルカメラの両方が搭載されており、一般的な空撮だけでなく、上空からサーマルカメラでさまざまなものの温度を計測することができるドローンとなっています。

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このサーマルカメラの性能や活用方法は後に譲るとして、まずは「Mavic2 Enterprise Advanced」の機体そのものを見ていきたいと思います。

 

センサを使った全方向障害物検知機能

「Mavic2 Enterprise Advanced」には、全方向障害物検知機能が搭載されています。これは前後、左右、上下すべての方向の障害物を機体が検知することで、障害物への衝突を回避し、安全に飛行をさせることができるシステムです。

具体的に見ていきましょう。まず、前方には前方ビジョンシステムが搭載されています。ビジョンシステムは、可視光線の光学センサによって機体と障害物の間の相対速度と距離を常に計算しているもので、これでドローンが前へ向かって飛行する際に、障害物がないかを常に監視しています。

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同様に後方にも後方ビジョンシステムが搭載されています。ドローンは前進だけでなく、後進もおこなえます。バックしながら飛行する際に、後方を監視して万が一の衝突を回避することが可能です。

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次に左右側面になります。機体の側面後方に左右それぞれ側面ビジョンシステムが搭載されています。これにより、機体が左右に移動する際に、その方向の監視を担ってくれます。

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また、「Mavic2 Enterprise Advanced」には上方を警戒するための上方赤外線検知システムが搭載されています。これは機体の上部に赤外線センサが搭載されているものです。空を飛ぶドローンでなぜ上方を警戒する必要があるのか?と感じる方もいらっしゃると思いますが、例えば屋根のある屋内での飛行や、橋梁の下部で橋桁の調査のために撮影をおこなう際には、上方に障害物があることになります。そういった障害物への衝突を回避するためのセンサとなります。

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そして最後が下方です。「Mavic2 Enterprise Advanced」には下方ビジョンシステムと下方赤外線検知システム(赤外線センサ)が搭載されています。これにより機体の真下の地形がどのようなものか把握することができ、着陸モードになった際に、地形が着陸に適していない場合に着陸を中止したり、GPSが入らない屋内の飛行の際でも、ビジョンシステムと赤外線センサで地面との距離で高度を測定し、高度の維持をおこなうことでその場で安定したホバリングができるようになっています(高度の維持には気圧センサも活用されています)。

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それでは実際に前方に障害物がある場所で、ドローンがどのように障害物を検知するか見てみましょう。

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離陸した機体をそのまま前進させ、飛行場所の周囲にある崖の近くまで持ってきました。下記の画像のように、筆者の手元の送信機に機体のカメラからの映像が伝送されてくるのですが、崖の藪がもう目の前に迫っています。同時に手元の画面には検知された前方の障害物とその距離、そして警告が表示されています。実際にこの後さらに近づけてみると、いくら送信機のスティックを倒して前に進むように指示を出しても、機体はまったく進まなくなります。前方を警戒するビジョンシステムが動作しているので、このように障害物への衝突を回避してくれるのです(画像は機体の後方にいる、操縦している筆者に反応しているため、後方の警告も表示されています)。

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実際に飛行させていると、何も障害物がない大空だけでなく、周囲にさまざまな障害物がある環境での飛行も十分に考えられます。また、機体を見えない場所で飛行させる目視外飛行の際にもこのような障害物検知システムは非常に重宝するものとなっており、フライヤーは安心しながら飛行させることができるようになっています。

 

サーマルカメラで空撮に挑戦

それでは次に、「Mavic2 Enterprise Advanced」の特徴であるサーマルカメラを使って上空からさまざまなものの温度を見てみましょう。

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このサーマルカメラの凄いところは、上空で撮影する際に通常の可視光のビジュアルカメラとサーマルカメラの映像を横に並べて見ながら撮影できるだけでなく、同時に録画もしているところです。サーマルカメラの映像だけではどこを撮影したのかわかりづらいのですが、ビジュアルカメラの映像によって撮影箇所を簡単に確認することが可能です。上の画像は送信機の画面のスクリーンショットになりますが、木々の暖かい部分が高度60m弱からの撮影でもはっきりと表示されています。

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機体を離陸させ、上空からサーマルカメラとビジュアルカメラを並列させた画面で見てみることにします。カメラのパレットは10種類ほど用意されており、対象物や測定する温度によって上空で切り替えることが可能です。上空から見てみると、太陽の光が当たっているところは暖かく、当たっていないところは冷たい表示となっているのがわかります。

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一方、パレットを切り替えると今度は温かいものだけを表示させることができます。これによって、屋外で温かいもの…つまり人間を含む動物の体温を測定することが可能です。上の画像はドローンを飛行している筆者を撮影したものですが、周囲に温かいものがない中で、体温で温かい人間をしっかりと捉えているのがわかります。これを応用すると、森の中の動物たちの生態を調べる基礎データに応用することで鳥獣対策に活用したり、山などで遭難した人を探すのに活用したりすることができます。

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また、ドローンのサーマルカメラを使ったソーラーパネルの点検も可能です。上空からサーマルカメラでソーラーパネルを撮影することで、異常発熱しているパネルがないか、損傷しているパネルがないか、といったパネルごとの状況を素早く見ることができます。地上から一枚一枚点検するのではなく、上空から一気に検査することによって、効率性は非常にアップすることでしょう。

 

まとめ

今回はDJI社の「Mavic2 Enterprise Advanced」をモデルに、最新ドローンのテクノロジーとサーマルカメラの活用事例を紹介しました。次回は、他の産業にどのような機能を持ったドローンが活躍しているか、そのテクノロジーも含めて紹介していきたいと思いますのでご期待ください。

 

 

今回の連載の流れ

前編:最新テクノロジーとセンサが満載!産業用ドローンを見てみよう!(今回)
後編:最新テクノロジーとセンサが満載!さまざまな産業用ドローンの魅力

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